中小企業・個人事業主(以下「中小企業等」)を取り巻く環境は、厳しさを増しています。その影響で、さまざまな経営課題に直面している中小企業等が少なくありません。
- 取引先が倒産して経営に大きな打撃を受けている
- 仕事の受注量が減ってきた。不振の状況が長引きそうだ
- 取引金融機関から新たな融資が受けられない
- 廃業すべきか迷っているけど、まわりには相談できない
経営の先行きが見通せず、破産・倒産の不安を感じている方は、経営安定特別相談室に、『お早めに』『お気軽に』ご相談ください。
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経営安定特別相談室とは
経営安定特別相談室は、破産・倒産の不安を抱える中小企業等のための相談窓口です。
中小企業等からの相談を受け、破産・倒産の危機を回避できる見込みのある事業者については経営改善などの支援を行います。一方、経営破綻が避けられない場合は円滑な事業整理をサポートします。
秘密厳守を徹底しているため、相談したことが取引先や金融機関に知られる心配はありません。
原則、経営者の方に限りますが、やむを得ない場合はご家族や役員の方々のご相談も受け付けます。
なお、相談は無料です。
※経営安定特別相談室は、185の商工会議所と47都道府県商工会連合会に設置されています(2021年4月1日現在)。
経営安定特別相談室の構成
経営安定特別相談室は、商工調停士を中心に、弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士、企業再建コンサルタントなどの専門家で構成されます。経営状況にあわせて最適な支援ができるよう万全な体制を整えています。
商工調停士とは
商工調停士とは「経営安定特別相談室」の責任者です。倒産に係る諸問題を円滑に解決するために相談・指導を総括します。商工調停士は、商工会議所会頭よりその職務を委嘱されています。
ご相談の流れ
まずはお問い合わせいただき、相談日時をご予約ください。その後は「初回相談・事業継続の見極め(一次対応)」→「専門家による支援(二次対応)」の流れで進めます。
初回相談 |
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以下の観点より、一緒に事業継続を見極めします。 ①商売はこれから儲かるか 安定的な営業黒字の見通し ②経営者の意欲、覚悟、余力 事業継続への意思の有無 ③関係者の理解、協力、支援 取引先・金融機関等との良好な関係性 |
東京商工会議所の相談員が、1時間半から2時間程度、個室にて現在の経営状況を丁寧に聞き取ります。 相談者とともに課題整理や対応策などを考え、二次対応のA~Dの順番で「事業継続の方向性」を決定します。
事業を続けられる (続けたい) |
事業を続けられない (続けたくない) |
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負債を自力完済 できる |
経営改善 (A) |
事業承継・譲渡 (C) |
負債を自力完済 できない |
事業再生 (B) |
廃業・破産 (D) |
事業再生(B):経営改善は難しいと判断した場合は、金融機関等への借入金条件変更(リスケジュール等)の交渉を検討します。場合によっては、中小企業活性化協議会へおつなぎします。
事業承継、事業譲渡(C):経営者に事業継続への意欲や余力がない場合は、親族や従業員への事業承継、もしくはM&A(株式譲渡や事業譲渡など)を検討します。
廃業・破産(D):債務超過で事業の存続が厳しい場合は廃業を検討します。特定調停(経営者保証ガイドライン)、破産手続、通常清算などから適切な手段を選び、経営者の傷口を最小限に抑える方法を考えます。
お問い合わせ・相談日時の予約
相談日時の予約を行います。以下のお問合わせフォームでお気軽にお問い合わせください。電話やFAXでも相談可能です。お問い合わせ後は、後述する必要書類のご用意を進めてください。
専門家による支援事例
相談員と相談の決めた事業の方向性に沿って、弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士、企業再建コンサルタント等の専門家が親身にサポートします。
東京都内で4店舗の飲食店を展開するB社は業績が伸び悩み、従業員のモチベーションも低下。事業の継続に懸念を抱いていました。
相談を受けた税理士は現状を正確に把握するため、店舗別損益を調査しました。すると、4店舗のうちの1店舗は損益ゼロ、さらに1店舗が大きな赤字を計上していることが明らかになりました。
税理士の支援のもと、B社は不採算店舗を撤退。損益ゼロの店舗については、メニューごとの採算性と売れ筋を分析し、利益率の高いメニューの売上シェアが高くなる施策に着手しました。その結果、B社の売上・利益は堅調に推移し、従業員に賞与を支給する余力も生じました。
引用:『未来にのぞむ経営のために』(東京商工会議所 中小企業相談センター発行)P.40より※一部改編
<支援例②(廃業・破産(破産および創業))>
業歴40年の鶏肉専門飲食店で、元々資金繰りが厳しい状況でしたが、新型コロナの影響により、売上が6割以上減少してしまいました。その結果、税金等の滞納も多額になり、大幅な債務超過に陥りました。
弁護士の支援のもと、これ以上、事業継続しても債務が増えるだけであることを再確認した上、事業整理(破産)の手続きやタイミングについて助言を行いました。
その結果、事業整理を行うことと同時に、代表者息子による再出発(創業)を図る道筋が明確となりました。
引用:経営安定特別相談室(東京商工会議所)の実例に基づき作成
<支援例③(廃業・破産(特別清算))>
業歴25年のソフトウェア開発会社で、主要取引先(大手1社、中堅2社)に、技術者を派遣していました。2021年派遣法改正を契機に取引終了し、受注大幅減少による資金繰り難となり、事業継続の危機となりました。
弁護士の支援のもと、借入先が金融機関でかつ、良好な関係が伺えることから、特別清算手続が提案されました。併せて、代表者の保証債務の整理は、「経営者保証に関するガイドライン」の活用が助言がされました。
その結果、法人・個人ともに破産手続きを免がれ、より円滑な代表者の経済生活の再生につながることとなりました。
引用:経営安定特別相談室(東京商工会議所)の実例に基づき作成
必要書類
事業継続の方向性を適切に見極めるために、下表の書類をご用意いただきます。
初回相談時に必ずご持参ください。 ※必要書類の印刷はこちら
必要書類 | 備考 |
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会社案内 | 会社の特長や強みがわかる書類、パンフレットなどをご準備ください |
確定申告書(別表、決算書、勘定科目内訳明細書等一式) | 直近2期分をご持参ください |
試算表(※) | 決算月から6カ月過ぎている場合に必要です |
返済予定表(※) | 金融機関借入がある場合に必要です すべての借入についてご持参ください |
不動産登記事項証明書(※) | 会社もしくは経営者が不動産を保有している場合に必要です |
公租公課の関連書類(※) | 滞納、延納、分納の場合に必要です |
資金繰り表(※) | 作成している場合はご持参ください |
預金通帳(※) | 面談にて資金繰りを正確に把握されたい場合は、ご持参ください |
各種ツールをご用意しています
経営安定特別相談室では、破産・倒産の不安や危機を軽減するためのチェックシートや冊子を用意しています。リーフレットや冊子は窓口での相談時にお渡ししています。経営安定特別相談室の専門家による解説動画もご覧いただけます。
未来にのぞむ経営のために
事業を継続する見極めポイントや手続などを記載した冊子です。
専門家によるコラム記事はこちら
- 相談事例1「代表者が緊急入院(その後死亡)、会社はどうなる?」
- 相談事例2「破産したら経営者はどうなる?」
- 相談事例3「経営者の個人保証を外すことができる?」
- 相談事例4「廃業の判断のタイミングは?自分の会社はいつまで持つの?」
- 相談事例5「自力再建はできないが、なんとか事業を残せないか?」
新型コロナ禍における事業経営の危機を回避するためには(動画)
専門家による解説動画を公開中です。
東京商工会議所のホームページでもご覧いただけます。
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1. 事業継続の見極めポイント
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2. 経営改善のポイント
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3. M&Aのポイント
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4. 事業再生のポイント
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5. 廃業のポイント
ご相談者の声
経営安定特別相談室は1979(昭和54)年の開始以来、全国で約10万8500件の相談実績があります。ご相談された方からは「役に立った」という声を多数いただいております。
▶経営が悪化する前にその予兆を把握できました。おかげで、専門家のサポートを受けつつ、適切な対策を講じることができました(飲食業)
▶専門家がメインバンクと相談し、特定調停手続きを利用し、老舗旅館を第2会社方式により再生した上、代表者の保証債務も「経営者保証によるガイドライン」により、免除を受けることができました(旅館業)
▶後継者が親族や社内におらず困っていましたが、事業承継・引継ぎ支援センターの専門家の支援を受けながらM&Aを実施。譲渡後の会社についても清算手続きが円滑に行えました(製造業)
▶代表者が病気になって会社の業務が立ち行かず…。そんなときに経営安定特別相談室に相談して、廃業の手続きをスムーズに進められました(不動産業)
破産・倒産の不安は早めにご相談ください
もう少し早く相談しておけば倒産を回避できたのに・・・という事例も少なくありません。病気と同様、「早期に適切な手を打つ」ことが最悪の結果を回避する重要なポイントです。破産・倒産の不安を少しでも感じたら、経営安定特別相談室に、『お早めに』『お気軽に』ご相談ください。
経営安定特別相談室では、以下のフォームからご相談のお申し込みができます。お気軽にご連絡ください。