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<エネルギー・環境委員会>
環境ビジネス展開支援 事例紹介

環境ビジネス展開支援 事例紹介

企業基本情報

事業者名
株式会社エコファクトリー
所在地
<本社>
〒862-0950 熊本県熊本市中央区水前寺2-17-7
<東京支社>
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-22-3
早稲田大学インキュベーションセンター12室
主な事業内容
・輻射式(放射式)冷暖房装置の製造、販売及び保守点検
・省エネルギー機器、自然エネルギー機器の研究、開発、製造、販売及び保守
代表者
代表取締役社長:村上 尊宣
従業員数
17名
創業年月
1996年4月
資本金
4,350万円
URL
会社沿革
1996年    有限会社アクアとして設立
2004年 4月  除湿型放射冷暖房の開発に着手
2006年12月  株式会社エコファクトリーを資本金1,000万円で設立
財団法人熊本県起業化支援センターより出資を受け、資本金2,200万円に増資
2011年 7月  中国に合弁会社を設立
2012年10月  グローバル技術連携支援事業 採択
2013年 4月  資本金4,350万円に増資
2013年 9月  香港に合弁会社「ecofactory(Asia)Ltd」を設立
2014年 6月  世界初となるエアコンと輻射式冷暖房設備を融合した新商品「ecowinHYBRID」を発売

環境・エネルギー分野における主な事業内容、特徴のある事業内容

<輻射式冷暖房システム「ecowin」>

輻射式冷暖房システムecowinは、直径6cmのアルミニウム製の管「ハイブリッドサーモエレメント」に冷水や温水を通すことで放射される遠赤外線によって、部屋を暖めたり、冷やすことが可能である。独自開発したコーティングを管に施すことで放射性を向上させている。
主にecowinは3つの種類があり、お客様の使用用途により使い分けを行っている。

呼称
特徴
ecowin
温水・冷水が通る熱導管がアルミ製で最もシンプルなモデル。
ecowinornament
温水・冷水が通る熱導管が樹脂製のモデル。
ecowinHYBRID
一般的な空調システムに後付で設置することで、快適性と速乾性の両面を兼ね備える機器。主に家庭向け。

エコ物件(マンション)の設計・製造・販売

ディベロッパーとしてマンションを建設したエコファクトリーが、当該物件を賃貸用として入居者を募り、ある程度の入居者を確保したところで、オーナーを募集し引渡しを行うモデル。これにより、オーナー側は入居率の不安などなく、マンションを購入することができる。 こうした取り組みから、ecowinの良さを体感してもらい、入居者が住宅を購入する際にecowinを導入されるような相乗効果を狙っている。

事業詳細

事業開始の契機

2000年に、住宅の管理のため物件を見に行った際、ヒートパイプの快適性を体感した。この技術に意匠性を合わせることで、室内設置が可能となり、冷暖房能力を上げることができるのではと考えていた。しかし、当時は設計業務のみを行っていたため、暖房などの機器には興味を抱いてなかった。
その後、2005年に地球環境に関するセミナーに参加し、地球環境の現状に強い危機感を覚え、環境に配慮した建築を行いたいと考え、社員を交えてどのような事業が良いのか検討を行った。その時に、ヒートパイプ技術での着想を思い出し、空調分野のエネルギー消費量削減を目指して、ハイブリッドサーモシステムecowinを開発するに至った。

事業拡大までの経緯


(1) 事業展開の経歴

建築業界は実績重視の企業が多く、開発は行ったものの、当初は販路獲得が非常に難しかった。そのため、まずは設計事務所として関わったお客様に、オプションとして導入を行っていた。
その後、幼稚園や老人ホームなど少しずつ業績を増やし、熊本県の産業技術センター、熊本市の城彩苑での導入にこぎ着けた。こうした公的施設への導入実績が、民間企業からの信頼性の向上に繋がり、関東への販路拡大に繋がった。



(2) 他社との差別化

  • 熱容量の低さ
    従来の輻射式冷暖房設備は、立ち上がりが遅く、温まる(冷える)のに時間が非常にかかる。しかし、ecowinは独自技術により、熱容量を抑え、立ち上がり時間を大幅に短縮し、利用者の使いやすさの向上を図っている。
  • アルミ製によるパネル
    鉄製の従来品と比較して、アルミ製のecowinは非常に軽い。そのため、工事などの施工性が高く、コストダウンにつながっている。
  • 意匠性
    もともと、設計事務所で意匠を業務として行っていたため、結露に濡れない、デザインが優れているなどの意匠性にこだわった作りにしている。

(3) 現状の改善点

  • 認知度、ブランド力の低さ
    輻射式冷暖房事業を20年以上手がけている古参企業などがあり、比較すると、認知度・ブランド力共に低い。そのため、積極的にイベントへの出展を行っている。また、多くの賞へ応募しており、数々の大賞を取得し、認知度・ブランド力の向上に努めている。


これまでに直面した壁

  • 結露イメージの悪さ
    輻射式パネルは、冷房時に結露が発生する。そのため、結露に触れた際に、衣服の濡れや、雑菌の付着などを気にする声があがり、一般的な強制対流に慣れた所への導入は非常に難しかった。しかし、第三者による評価機関による結露への雑菌の有無の評価を行い、全く問題ないことを数値で示すことで、安心して導入して頂けるようになった。また、併せてecowinornamentを開発することで、結露へ直接触れることを防ぐ形とした。

今後伸ばしていきたい点

無風のため、体育館との相性が非常に良い。そのため、東京オリンピック関連の需要を獲得していきたい。
また、大型物件として並行して、一般住宅を対象としたecowinHYBRIDの展開を加速させていきたい。 今後は、

環境・エネルギー分野での新事業を検討している事業者に対するメッセージ

経営体力、マンパワーなどが不足する初期の頃は、身の丈に合った経営を行うべきである。無理して資金調達を行うことで、本来の業務がおろそかになり、うまくいかないことが多い。 また、独自技術の場合は、特許取得などの知的財産の管理をきちんと行う必要がある。
最後に、あまり外部リソースに頼らず、市場やユーザーの意向などをきちんと把握している社員で、できる限り業務を行ったほうが結果的にいいものができる。