Hire Planner

取り組みのポイント

  • 常にユーザーとの対話を大切にし、ニーズを踏まえたシステムリニューアルを実施
  • ものづくり補助金を活用して効果的な先行投資を実現
  • 人材採用が難しく、雇っても人材定着しない
  • 利用者目線の採用イベントを企画し、新規システム契約と継続利用につなげる



工藤取締役


顧客の声を反映しながら、バイリンガル対応の採用管理システムを展開


当社は2014年に創業し、主にバイリンガルを採用する際の活動全般をサポートするための、採用ブランディングサービスを展開しています。主な事業は採用管理システムの運営、キャリアイベントの開催、企業向けの採用ブランディングで、その中心を担うのが「Hire Planner」という採用管理システムです。本システムは日本語と英語のバイリンガル対応が可能で、日本の採用慣習に特化しながら、外国人の採用も円滑にサポートできる点が特徴です。
  当社の社長であるファビアン ブロガード – シプリアーニ氏は、時代の変化に対応するため、常に顧客のニーズに耳を傾け、顧客のフィードバックをサービスに反映させることを大切にしています。当社のシステムも細かな要望を反映することで、顧客を増やしてきました。


採用管理システム「Hire Planner」


コロナを先行投資の時期と考え、採用管理システムのリニューアルを実施

2020年の新型コロナウイルスの影響で、経費削減などの理由から当社のシステムを解約する顧客が増加し大変な状況に陥りました。当時は採用活動も見通しが不透明で、暗い時期に陥っていましたが、何もせずに過ごすよりも、先行投資をした方が良いのではないかと考え、これまで先延ばしになっていた採用管理システムのリニューアルを実施することにしました。
具体的には、中途採用に特化したシステムから新卒採用や小売店のスタッフ採用など、大量採用が可能な仕組みを搭載することです。これにより、求職者に一斉にメッセージを送る機能や、進捗状況を細かく分けて管理する機能など、大量採用を行う人事担当者のニーズを叶えることができると思いました。


候補者管理のイメージ


資金面の不安をものづくり補助金が解決

開発にあたって、まず考えたのは資金をどう工面するかです。解約の増加により資金繰りに不安があったことから、補助金活用を検討し、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」を活用することにしました。通称ものづくり補助金と呼ばれているこの補助金では開発費用の一部の補助が受けられます。
 補助金申請にあたっては、初対面の人に事業計画を理解してもらうことに苦戦しました。通常の事業計画は業界や市場に精通している人を前提に作成されることが多いため、当社事業やシステムの概要、リニューアルの効果を限られた枚数で表現することは非常に難しかったです。何度も文章を読み返すと同時に、客観的な視点から見てもらうために、スタッフや他の人にも意見をいただきながら進めました。



顧客と連携して開発に挑む

開発にあたって最も大切にしたことはユーザーが使いやすいシステムにすることでした。システムデザインの段階から複数の顧客に協力いただき、イメージの確認や細かい要望を収集するため、何度も意見をいただいていました。そのため、開発側は反映が大変で、ものづくり補助金の事業実施期間である10か月以内に完了するのがギリギリでした。特にコロナで全ての打合せがオンラインに切り替わり、従来のように直接対話することが難しい時期であったため、顧客の意図や要望を理解しにくく、開発チームとの意思疎通には苦労しました。
プロジェクトの最終段階でも何度も検証と修正が行われましたが、顧客ニーズの実現にむけて最後まで妥協せずに作り上げることができたのは良かったと思っています。


「ユーザーが使いやすいシステムにすることにこだわった」と話す工藤氏


オンラインイベントを通じてシステムの導入を図る

採用管理システムのリニューアルを行う傍ら、販促活動の一環としてオンラインのキャリアイベントにも新たに取り組みました。理由としては、採用管理システムは人事系の地味なシステムのため、リニューアル後に広告を打っても売上につながる反応が期待できず、新たな販促方法を検討する必要があったからです。
当社の実施するイベントは、一般的な合同会社説明会とは異なり、リクルーティングモールと呼ばれるオンライン上に企業ブースを並べ、求職者はその企業ブースを訪れて、求人情報の閲覧や直接企業担当者と対話する仕組みです。
イベントは企業側20社、学生200人程度の規模で、年に3回程実施しましたが、毎回好評で、当社と新たな接点が生まれた企業も多くいました。実際にイベントに参加することで当社システムの一部が使えるため、その後にシステム契約につながった企業もいます。


採用イベントのイメージ


継続利用者が増え、補助金を通して自社を振り返る機会になる

イベントと合わせて取り組みを行った結果、通常の営業活動よりも新規契約につながりやすくなりました。また、既存顧客のシステムの解約が格段に減りました。当社のシステムはサブスクリプション形式であるため、継続利用が9割をキープできていることは経営面で大変助かっています。また、補助金申請を通じて、客観的に自社の方針や将来の展望を見つめなおす機会となりました。これにより、若手スタッフや他部署のメンバーにも当社のビジョンが伝わりやすくなり、新たな気づきも生まれました。


両者を成功させたのはパートナーとの「連携」

当社が取り組みを進める際に大切にしていることはパートナーを見つけることです。中小企業は1社では大企業にはかないませんが、パートナーとなる企業と手を組んで取り組むことで、可能になることも多いと思っています。今回のシステムリニューアルでは実際にシステムを利用している人事採用担当者と意見交換をして開発を進め、キャリアイベントでも大学の就職センターや研修会社などと協業して開催しました。パートナー企業に対しても当社のビジョンを共有し、相互のネットワークを駆使することで、共に成長することを目指しています。 今回取り組んでみて、他社との連携や補助金の活用により、リスクを軽減しながら実施できると思いました。特に補助金は思い切った投資の後押しにつながりますので、イノベーションや新たなチャレンジの際には上手く活用していくことが良いと思います。





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