企業基本情報
事業者名
|
かぶちゃん電力株式会社
|
---|---|
所在地
|
東京都千代田区神田須田町2-25-16
|
主な事業内容
|
・エネルギー資源の開発
・バイオマス等による再生可能エネルギーの開発 ・里山応援エネルギープロジェクト (ムリせず、ムダなく資源を活かし、地域で循環する暮らしを目指す) |
代表者
|
代表取締役 鏑木 秀彌
取締役社長 鏑木 武弥 |
従業員数
|
7名
|
創業年月日
|
2013年9月10日
|
資本金
|
1,000万円
|
会社沿革
|
・2010年
グループ会社テーマパーク「伊那谷道中 かぶちゃん村」 天然温泉施設に木質ペレットボイラーを設置 ・2012年6月 太陽光発電事業を開始 (かぶちゃんメガソーラー株式会社) ・2013年 ガス化装置による木質バイオマス発電事業を開始 ・2015年6月 ガス化装置による小型木質バイオマス発電施設建設 「かぶちゃん村 森の発電所」 ・2015年9月 大分県別府市において、かぶちゃんの「地熱発電」事業を開始 |
環境・エネルギー分野における主な事業内容、特徴のある事業内容
<かぶちゃん村「森の発電所」事業>
グループ会社が長野県飯田市でテーマパーク「伊那谷道中 かぶちゃん村」を運営している。そのかぶちゃん村に、180kWの木質バイオマスガス化発電装置2台(面積:2,990㎡)を設置し、年間285万kWh(330日稼働/年)の発電事業を行っている。現在は発電した電力を施設内で自家消費し、排熱は原料となるチップの乾燥と敷地内にあるイチゴのハウス栽培の暖房に充てている。今後は稼働状況や売電制度などを考慮し、全量売電に切り替えることも想定している。
里山の林業活性化を目指し、資源の有効活用と地産地消を行うため、地元の林業事業者である飯伊森林組合、(有)南信チップセンターと協働している。
また、かぶちゃん村では地域の子供たちを対象に、環境学習を定期的に行っている。これは、実際に村内で用いている様々な環境技術を間近で見学し、環境分野の専門家がよりわかりやすく解説することで、子供たちの環境意識を醸成し、未来の低炭素社会の構築を目指す事業である。

<かぶちゃんの地熱発電>
大分県別府市で、温泉のエネルギーを利用した地熱発電を実施している。125kWの発電機を2台設置し、年間発電量は合計で200万kWhである。発電した電力は、再生可能エネルギー固定価格買取制度を利用し、40円/kWhで全量売電を予定している。
表 2-1 地熱発電のスペック
項目
|
値
|
---|---|
気圧
|
6.0kpa
|
温泉水の質量
|
100℃ 15.4/h
|
蒸気の質量
|
160℃ 10.4/h
|
泉源ポテンシャル
|
4,400kW/h
|
年間発電量
|
200万kWh
|
<かぶちゃんの「太陽光パネルの森」づくり>
長野県内の21ヶ所に太陽光パネルを設置し、発電した電力全量を売電している。合計パネル枚数は約28,000枚、総発電量は約7メガkWhとなる。最初は、地元農家から遊休地の有効利用の相談を受けたことがきっかけで、解決手段として太陽光パネルを設置し事業を開始した。
表 2-2 太陽光発電所一覧
下瀬発電所
|
天龍峡発電所
|
美篶発電所
|
坐光寺発電所
|
東原発電所
|
元大島発電所
|
龍江発電所
|
高遠上山田発電所
|
中川発電所
|
松尾新井発電所
|
駒ヶ根発電所
|
洗馬発電所
|
毛賀発電所
|
東春近西発電所
|
宗賀発電所
|
松尾清水発電所
|
東春近東発電所
|
笹賀発電所
|
宮ノ上発電所
|
大泉発電所
|
東春近小学校
|
事業詳細
事業開始の契機
農業を行っているグループ会社「かぶちゃん農園㈱」の農地探しの際に、多くの地元農家から、遊休地の有効利用の相談を受けた。加えて、主力事業の通販事業においても様々な企業が台頭し始めており、新たな事業展開が必要であった。こうしたことから、農地の有効利用のソリューションということで、太陽光発電事業を2012年に始めたことが環境事業を開始した契機である。
事業拡大までの経緯
(1) 事業展開の経歴
会社設立以前に、かぶちゃん村にペレットボイラーを導入した実績があり、原料供給の基盤は構築できていた。こうした基盤をより効率的に使用したいということで、かぶちゃん村に木質バイオマスのガス化発電所を建設するに至り、太陽光以外の環境エネルギー分野へと事業を拡大した。その後、別府市での地熱バイナリ発電設備なども運営した。
(2) 他社との差別化
- 既存ネットワークの活用
従前から取り組んでいた「食」と「農」による事業で、農家、地権者、林業従事者などとの強固なネットワークを構築した。このネットワークを活用して、用地確保や原料の供給といった事業実施の基盤と継続性を確保することが可能となった。 - 他事業で収益基盤を構築し、エネルギー事業に投資
グループの主力事業である通販事業で、基盤となる収益を得ている。そのため、採算を確保しづらい小規模なエネルギー事業に投資することが可能である。こうした環境貢献活動を通して、かぶちゃん村のお客様の増加や、農家との関係の円滑化などにつなげることで、他事業への波及効果を生み出し、グループ全体の収益アップにつなげる結果となっている。

(3) 現状の改善すべき点
- 環境分野の知識不足
環境事業を開始して日が浅いため、環境分野の知識が不足していると感じることが多い。そのため、知識不足をサポート可能で、2人3脚で事業推進できることを条件に、連携企業の選定を行い、円滑な事業実施を行えるようにしている。
これまでに直面した壁
- エネルギー・環境分野未経験での事業参入
電力事業を開始した当初は、すべてのスタッフがエネルギー・環境分野において素人であった。そのため、知識不足を補うために、環境分野のコンサル企業との連携などを行い、事業を円滑に進めるようにした。 - 用地確保の調整
エネルギー事業を行う際、発電設備の設置面積や送電線の関係等の面で用地確保が非常に重要であり、地権者との調整が課題になりやすい。そのため、地場企業のネットワークを十分に生かしつつ、頻繁にコミュニケーションを図ることで信頼関係を構築するようにしている。
今後伸ばしていきたい点
中小企業であるため、1年かけてしっかり調査するなどの長期的計画に基づき、事業を実施する余裕はない。そのため、大掛かりな調査を必要としないエネルギー事業を行い、「食」と「農」と連携しつつ、市場を創出したいと考えている。
環境・エネルギー分野での新事業を検討している事業者に対するメッセージ
環境・エネルギー分野では、突発的な法制度の変更や設備の不具合など、多くの壁にぶつかることがある。こうしたなかで、採算性だけを考えて事業を行っていると事業を前に進めることができなくなってしまう。そのため、次の未来のための環境貢献などといった強い意思をもって事業を推進することが必要である。 また、現在では忘れ去られてしまった昔の技術の中には、非常に優れたものが多く存在している。こうした技術を活用し、新たな環境ソリューションなどを創り出してほしい。