企業基本情報
事業者名
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株式会社ミラクール
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所在地
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〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町1-14-5日本橋Kビル1F
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主な事業内容
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遮熱塗料「ミラクール」の研究開発、製造、販売(施工は行っていない)
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代表者
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代表取締役: 白木 良彦
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従業員数
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5名
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創業年月日
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2005年5月9日
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資本金
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8,000万円
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URL
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会社沿革
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2005年5月 株式会社ミラクール設立
2005年5月 株式会社シロキ出資 2009年1月 株式会社NIPPO出資 2009年1月 兼松株式会社出資 |
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事業計画
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導入実績推移(国内)
導入実績(海外)
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環境・エネルギー分野における主な事業内容、特徴のある事業内容
ミラクールでは、遮熱塗料(現4種類:建築用、陸上競技用、道路用、工業用)の開発、販売を行っている。遮熱塗料とは、太陽光の反射率を向上させる塗料である。これにより、塗布部への太陽光からの熱の吸収を抑制し、塗布部の表面温度上昇を防ぐ。

建築用
建築用は、主に建物の屋根に塗布され、室内の温度上昇を防ぐために用いられる。主に断熱材の入っていない工場などの屋根へ使用される。塗布することで表面温度を最大30℃以上下げることができ、室内温度は5-10℃程度低くなる。学校のような鉄筋コンクリート造の建物でも、室内温度を2-3℃下げることが分かっている。これにより、空調のエネルギー使用量削減、物品の品質低下防止、労働環境の改善などにつながる。
また、既設の工場への導入の際も大規模な改修は必要なく、塗料を塗るだけの簡単な工事のみとなる。

陸上競技用
建築用の技術を応用して、陸上競技施設のトラックにも遮熱塗料は使用されている。通常の陸上競技場のトラックは、高温になることを避けるため、定期的な散水等により、温度上昇を防いでいる。また、競技者はスタート時に手をトラックに付けるため、指にテープを巻くなどしており、競技の弊害となっている。こうした熱害を防ぐため、陸上競技用の遮熱塗料が注目を集めている。

道路用(遮熱性舗装)
アスファルトは、夏季においては60℃以上になることが知られており、ヒートアイランド現象や熱帯夜の原因の一つと言われている。遮熱性舗装にすることによって、都市部のヒートアイランド現象の発生を防ぎ、熱帯夜の日数削減が期待されている。加えて、歩行者の暑熱感を改善するとも言われている。また、アスファルトは50℃以上になると軟化してしまい、車が通る部分だけくぼんでしまい、わだちとなってしまう。この対策として、遮熱性舗装が注目されている。塗料を塗るだけで、アスファルトの温度上昇を防ぐ効果があるため、わだち化を50%以下に抑えることができるので、舗装の高寿命化と安全の確保が可能とされる。
工業用
昨今では、太陽光発電などの需要が増加したことにより、パワーコンディショナーなど電気関係の盤を、屋外に設置するケースが増えている。こうした電子機器を内蔵した盤は、高温になると電子部品が劣化することから、遮熱塗料が注目を集めている。工場で屋外盤に常温硬化タイプの塗料を塗装する場合は、完全乾燥まで一週間程度かかることから、乾燥スペースの確保など生産性に支障をきたすことが多い。一方、乾燥炉で強制乾燥できる工業用の遮熱塗料は、120-150℃の乾燥炉を使い20分~30分で強制的に乾燥させることが可能である。
事業詳細
事業開始の契機
創業メンバーがノウハウを持っていた遮熱塗料のニーズが高まってきたと判断、本格的に開発、販売をすることにし、ミラクールの創業に至った。そのため、創業当初からこの事業を実施しており、遮熱塗料のみを扱っている会社である。
事業拡大までの経緯
(1) 事業展開の経歴
はじめに、建築用の遮熱塗料の開発、販売に着手し、次に陸上競技用、道路用の順に開発、販売を行った。創業前から開発を行っており、当時、既に一部小売りも行っていた。2007~2008年にかけてヒートアイランド現象や地球温暖化の影響が叫ばれるようになり、販売数が増えてきた。その後、メガソーラーの普及により機械保証の視点が広まり、工業用のニーズが高まったことから、2013年頃から工業用の開発に着手し、2014年に販売を開始している。
(2) 他社との差別化
- これまでの実績
ミラクールの強みの1つは、20年近い実績である。塗布して10年間の耐久性や遮熱効果の持続性が確認できるため、現場での耐久性を証明することができる。 - 能力の高さ
強みの2つ目は、製品能力の高さである。熱の反射能力はもちろんのこと、防錆、防水などの面でも非常に優れている。日本では、塗料単体のコストよりも、それに伴う足場などの付帯コストのほうが高くなるため、塗り替え回数を抑えることがユーザーのコスト削減に結び付く。
(3) 現状の改善点
製品自体は優れているものの、塗料単体で見た場合は、導入コストが他社に比べて割高なケースもある。そのため、工事の予算が決められている事業所等では、複数年の投資回収ではなく、工事単体の費用で判断され、他社のものを採用されてしまうことがある。
これまでに直面した壁
- 知名度のなさ
これまで、塗料業界では有名であったが、それ以外の業界では名前が知られておらず、信頼を得て契約獲得するまでに時間がかかった。しかし、株式会社NIPPO、兼松株式会社の出資を得て、大企業からも信頼を得られるようになった。 - 他社との比較
ミラクールでは、断熱、反射などの伝熱の方法をきちんと分けているが、そうした部分を混同し、営業をかける企業が多くあり、導入したユーザーが損をする形になっている。こうした企業への対策として、ミラクールは強みである20年近い実績と豊富な定量的なデータで営業を行い、お客さんの信頼を勝ち取るようにしている。
今後伸ばしていきたい点
今後は、海外展開に注力したいと考えている。特に、一年中暑い東南アジアをターゲットとして検討している。通常の塗料に比べて価格が高いため、日本の会社の現地工場などをターゲットとして、現地法人の代理店などを募り、営業支援を受けることを考えている。
環境・エネルギー分野での新事業を検討している事業者に対するメッセージ
じっくりと腰を据えて、ひとつの商品を開発・販売していくことが重要である。実際これまでに、一事業として遮熱塗料を扱っている企業が、撤退するケースを数多く見てきた。ひとつの商品に注力することで、製品の競争力や販路などが得られていくと考えており、こうしたことが新事業では重要なのではないかと思う。
また、環境・エネルギー分野は他の産業などと比べて新興分野であるため、怪しい企業が多く存在する。安いだけの粗悪品がそういった企業から販売され、消費者に使用されると製品全体の評判が落ちてしまう恐れがある。こうしたことをきちんと把握し、環境・エネルギー分野での新規事業を検討して欲しい。