事業を次の世代に引き継ぐためには、しっかりと課題を整理し、適切な優先順位をつけることが欠かせません。東京商工会議所ビジネスサポートデスク(以下、ビジネスサポートデスク)では、事業承継の課題を整理する「社長60歳『企業健康診断』」を行っています。事業承継の悩みや課題を持つ事業者をサポートする無料のサービスです。お気軽にご利用ください。
事業承継における課題
事業承継は一筋縄ではいきません。さまざまな課題や障害をクリアする必要があるからです。事業承継の必要性を感じていたり、着手を検討していたりする事業者の方々も、次のような悩みや疑問を抱いているのではないでしょうか。
- 社長が高齢だが後継者が決まっておらず、何を準備したらよいかわからない
- 後継者は決まっているが、いつ・どのように引継ぎを行うか決まっていない
- 経営者仲間から「株式引継ぎ時の税金の支払いに困っている」と聞いたが、自社は大丈夫か
- 後継者候補が会社借入の保証を理由になかなか首を縦に振ってくれない
- 安心して事業承継するために売上・利益を改善していきたい
- 事業承継の取り組みがうまくいかず困っており、効果的な対応策の助言がほしい
- 事業承継について専門家に意見を聞きたいが、周りに相談できる人がいない
東京商工会議所が2024年に発表した調査結果(「事業承継に関する実態アンケート」)でも、さまざまな課題・障害に直面する企業がいることがわかります。後継者(候補)がいる企業、後継者がいない企業、M&A等での会社譲渡を予定する企業別に見ると、下の図表のような回答が上位を占めています。
後継者の決定状況別「事業承継における障害・課題」
出典:事業承継に関する実態アンケート(東京商工会議所、2024年2月)を一部加工
上の図表からも事業承継における課題は複数あることがわかります。これらの課題を社内で整理し、優先順位づけするのは容易ではありません。専門的な知見を持つ第三者から客観的なアドバイスを受けることが効果的です。
そこでビジネスサポートデスクが提供する社長60歳「企業健康診断」の活用をご検討ください。
社長60歳「企業健康診断」とは
社長60歳「企業健康診断」(以下、「企業健康診断」)は、ビジネスサポートデスクが提供する無料サービスです。事業承継支援の経験豊富な専門家(中小企業診断士、税理士、公認会計士)がヒアリングを行い、課題や対策案をまとめた診断書を無料で作成いたします。「企業健康診断」を受診することで「何を、いつ着手すべきか」が明確になり、円滑な事業承継への第一歩を踏み出せます。
※「企業健康診断」のご利用申込は原則、代表者(先代社長含む)もしくは後継者(候補者含)に限らせていただきます(代表者もしくは後継者の同意がある場合、関係者からのご利用申込も可能です)。
「企業健康診断」診断書の内容
診断書には、受診企業の現状、事業承継に向けた課題、今後の取り組みのご提案などが記載されます。具体的には、下表の項目について、専門家による所見が記されます。
<診断書の記載項目例>
項目 | 詳細 |
---|---|
企業概要等 | 役員構成、株主構成、法定相続人、財務状況、事業用資産、人的資源、知的資産の状況をわかりやすく可視化します |
事業承継を行うにあたっての課題と対策 | 経営全般、財務状況・収益力、営業、人材・マネジメント、経営権の承継、資産の承継などの観点で、貴社の現状を分析します |
事業承継対策に関する所見 | 事業承継に向けた現状の取り組み状況について、客観的かつ専門的な視点でコメントします |
事業承継に向けた具体的支援プラン | 中小企業診断士や税理士などの専門家による無料支援を中心に、利用可能な具体的な支援策を提案します |
事業承継対策・支援スケジュール | 事業承継後のフォローアップを含めた支援スケジュールを表(ガントチャート)で提案します |
なお、ヒアリングや診断書の内容については秘密厳守を徹底しておりますので、相談したことが取引先等に知られる心配はございません。
「企業健康診断」を受診するメリット
円滑な事業承継には、全体を俯瞰して課題の優先順位をつけ、対策を講じることが重要です。「企業健康診断」を受診することで「俯瞰的な視点での現状把握」「課題の優先順位付け」ができるなどのメリットが得られます。
メリット①:客観的・俯瞰的・専門的な観点で貴社の現状を把握できます
事業承継に精通した専門家からのヒアリングを受けることで、ご自身では気づきづらい自社の現状が浮き彫りになります。報告書には客観的・俯瞰的な視点でとらえた貴社の現状を論理的に記載するため、精度の高い現状分析が可能です。
メリット②:網羅的な診断で新たな問題抽出や課題整理ができます
事業承継は経営全体に影響を及ぼす一大イベントです。そのため、診断書の内容も経営のあらゆる分野に踏み込んだものになります。社内だけの検討では特定の部分に焦点があたってしまいがちです。経営全体の観点から課題を整理する企業健康診断を受診することで今まで気づかなかった新たな問題の抽出や課題の整理につながります。
メリット③:今後取り組むべきことを可視化・明確化できます
診断書には、今後取り組むべきことも記載します。その内容は公的機関の具体的な支援策をはじめ、円滑な事業承継を後押しする施策が列記されます。事業承継後を含めたスケジュール案も提示しますので、何を、いつ、どのように取り組むべきかが可視化・明確化されます。
メリット④:ビジネスサポートデスクの専門家派遣(無料)を利用できます
診断によって顕在化した課題の解決に向けて、引き続きビジネスサポートデスクの専門家派遣制度(全て無料)をご利用いただけます。事業承継をはじめ、さまざまな経営課題の解決に適した専門家による助言や支援が受けられます。
企業健康診断の活用事例
「企業健康診断」をきっかけに円滑な事業承継を進めた企業は少なくありません。ここでは、その一部を紹介します(以下事例の「BSD」はビジネスサポートデスクを指します)。
活用事例①:親族内承継(製造業A社、事業承継の課題:経営改善)
先代社長(当時社長)の病気を機に事業承継の検討を始めたA社。後継者候補(社長のご子息)は社内に在籍していたものの、円滑に事業承継できるか不安でした。そこでBSDに相談。後継者に経営をバトンタッチした後からBSDの支援が本格的にスタートし、社内業務体制の整備や事業計画の策定、資金繰り管理、労務管理など経営全般についてアドバイスを受けながら、経営改善に取り組みました。A社の先代社長は、支援開始時に「企業健康診断」を受診したことで多くの気づきが得られたと話します。
<「企業健康診断」受診事業者のコメント>
「事業承継における問題点など、外部から自社を客観的に見てもらいたかった。第三者機関の客観的なアドバイスで気づきも多かった」(A社先代社長)
活用事例②:親族内承継(サービス業B社、事業承継の課題:事業計画の見直し)
代表者交代から1年。B社社長は経営の難しさに直面していました。先代社長が伴走して引き継ぎを進めていましたが、「銀行や他社との折衝が難しかった。不安でした」と悩む日々でした。そんな時に取引先金融機関の担当者からBSDの利用を薦められ、「社長60歳『企業健康診断』」を受診。B社の先代社長も交えて、事業計画の見直しに着手しました。支援によって経営目標が明確となり、先代社長も「私にはできなかったこと、やり残したことをやってくれる。本当にありがたい」と感謝の弁を述べています。
<「企業健康診断」受診事業者のコメント>
「自分自身の考える今後のプランに迷いがあり、事業の優先順位がつけられなかった。BSDの支援を受けながら事業計画を見直したことで、今後の目標が明確になった」(B社社長)
活用事例③:従業員承継(製造業C社、事業承継の課題:後継者の決定と育成)
社長が高齢となったことにより事業承継を検討していました。親族内の後継者候補がいないため、従業員への事業承継を考えていました。後継者は職場にリーダーがいるものの、絞り切れておらず、今後の事業承継の道筋をつけたくBSDに相談しました。BSDの勧めで「社長60歳『企業健康診断』」を受診し、フィードバックとしては後継者候補に対して承継意識や経営スキルを醸成させる必要があることや既存の事業をより強化し収益力を向上させ、引き継ぎやすい会社をつくることの必要性が説明されました。
<「企業健康診断」受診事業者のコメント>
「事業承継を検討している中、当初想定したよりも多くの課題があった。BSDの支援を受けて、課題が見えて、解決の方向性が定まった」(C社社長)
「企業健康診断」のご利用・ご支援の流れ
まずは、問診票フォームもしくはお電話にてお問い合わせいただき、相談日時をご予約ください。その後、担当するビジネスサポートデスクにて、事業概要や状況・課題などの簡単な聴き取り、適切なコーディネーターの相談予約を設定いたします。
秘密厳守を徹底しておりますので、相談したことが取引先等に知られる心配はございません。相談場所に関しても、ご要望に合わせて、秘密が漏れないように配慮いたします。また、担当エリア外のビジネスサポートデスクでの診断をご希望の場合も、遠慮なくお申し出ください。
※ご利用申込は原則、代表者(先代社長含む)もしくは後継者(候補者含む)に限らせていただきます(代表者もしくは後継者の同意がある場合、関係者からのご利用申込も可能です)。
ビジネスサポートデスクとは
ビジネスサポートデスクは、中小・小規模事業者の事業承継をはじめ、創業、店舗運営の改善、事業計画の策定支援、販売促進、人事・労務管理など多岐にわたる課題の解決をサポートしています。
「企業健康診断」のヒアリングおよび診断書作成は、ビジネスサポートデスクのコーディネーターが担当します。コーディネーターは事業承継支援に長けた中小企業診断士、税理士、公認会計士が務めているため、専門的な視点による診断や課題の整理が可能です。
また、ビジネスサポートデスクにはさまざまな分野に精通した専門家が約750名登録(2024年3月末時点)しています。企業ごとの課題解決に適した専門家を派遣することで、中小・小規模事業者の持続的な成長・発展を支援しています。
ビジネスサポートデスクへのアクセス
来所相談の場合、以下のアクセス図を参考にご来所ください。
ビジネスサポートデスク東京東(対象地域:墨田、台東、江東、葛飾、江戸川)
墨田区江東橋3-9-10 すみだ産業会館9階(墨田支部に併設)
TEL:03-4346-1973 (平日9時30分~17時)
ビジネスサポートデスク東京西(対象地域:新宿、世田谷、渋谷、中野、杉並、練馬)
新宿区西新宿6-8-2 BIZ新宿4階(新宿支部に併設)
TEL:03-4346-1961 (平日9時30分~17時)
ビジネスサポートデスク東京南(対象地域:港、千代田、中央、品川、目黒、大田)
港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービル南館5階(港支部に併設)
TEL:03-6324-4139 (平日9時30分~17時)
ビジネスサポートデスク東京北(対象地域:北、文京、荒川、豊島、板橋、足立)
北区王子1-11-1 北とぴあ12階(北支部に併設)
TEL:03-4346-5523 (平日9時30分~17時)
円滑な事業承継のために、企業健康診断をお早めに行うことをお勧めいたします。以下の問診票フォームから気軽にお申し込みください。