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<エネルギー・環境委員会>
環境ビジネス展開支援 事例紹介

環境ビジネス展開支援 事例紹介

企業基本情報

事業者名
愛知産業株式会社
所在地
東京都品川区東大井2-6-8
主な事業内容
一般産業用機械装置の輸入・卸売、開発・設計・製造・販売(主に溶接技術、冶金技術、工作機械関連製品)
代表者
井上 裕之(代表取締役社長)
従業員数
102名
創業年
1927年 (設立1937年)
資本金
8,500万円
URL
環境担当
阿部卓實

創立以来、国内外の新技術を取り入れて、省資源、省エネルギー、省力化に役立つことを考えながら、産官学の交流やものづくりの楽しさを発信する場として地域社会の活性化に貢献します

省エネ効果測定のために、CO2の見える化に取り組んでいます
CO2 約20%削減した新社屋を建設しました


緑化と省エネルギーを基本にした地球にやさしくデザイン性が高い新社屋でCO2チェックシートの継続使用を行っています


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CO2排出の現状把握から -CO2チェックシート等の利用-

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 東京都の改正環境確保条例が改正され、事業所ごとの年間エネルギー使用量が原油換算で1,500kL以上であれば、CO2削減義務が課せられることになりました。その当時、自社のエネルギー使用量は把握していたものの、CO2排出量を把握できていませんでした。そこで自社の排出状況を知るべく、東京都の無料省エネ診断を受け、改善提案の通り、クール・ビズやこまめな電源OFFなど身近な温暖化対策にも積極的に取組んできました。さらに効果を見える化するための試みの一つとして日本商工会議所のCO2チェックシートを継続的に利用することにしました。
 また、事業を継続しながらさらなる温暖化対策に取り組むために、気がつかないところで排出しているCO2をできるだけ見える化していくことが大事だと考えています。そのために、デマンド警報機やエコメーターなど、少しずつ見える化のツールを取り入れたり、結果から新たな無駄を見つけたりと、工夫しているところです。
例えば、デマンド警報機のデマンド監視画面には、一定期間毎の消費電力量がリアルタイムで表示されます。消費電力の現在値や予測値が目標値を超えそうな場合は警報が鳴ります。これによって、設備の稼働による動力分のCO2年間排出量126tのうち7.64tを削減できました。


ものづくりのイメージを変える新社屋の建設 -省エネ設計-

 地域の再開発を受けて、新社屋を建設する必要がありました。“ものづくり”“町工場”というと「3K」のイメージがありますが、新社屋の建設にあたっては、これを払しょくして、低環境負荷、産官学交流の場、ものづくりの醍醐味を地域に発信する場にしようと考えました。また、ライフサイクルでCO2の排出量が少ない建物をつくることをコンセプトにしました。
 構想・設計の段階では、無料省エネ診断のコメントを参考にしたり、見本市・展示会などに行き、多くの専門家からアドバイスを受けたりしながら、設計に反映させていきました。またムダのない設計にするため、使用状況を正しく把握して最適なスペックにするべく「アクティビティ調査(※)」も行いました。
 新社屋には、エコガラスの採用、躯体を厚くしての断熱性向上、壁面緑化・屋上緑化、庇による日射のコントロール、潜熱顕熱分離空調と床吹出空調、人感センサー照明など、多くの技術を採用しました。計画では、ライフサイクルでのCO2排出量を従来比で約20%削減することができる予定です。
新社屋に移転してからまだ日が浅いので、省エネやCO2削減の効果が具体的な数値として表れるのはこれからです。結果が楽しみです。

※アクティビティ調査とは、一定期間社員全員が、どこに居て、何をしていたか、を追跡調査するものです。結果を分析することにより、オフィスの必要なスペックへの検討等に活用します。


ITでエコ -Web会議システムの活用-

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 当社は東京に本社があり、名古屋・神戸・広島に営業所があります。社内会議を開催する際には、担当者が一同に会さないといけないため、時間・コストの無駄が生じていました。そこでこれを解消するために遠隔会議システムを導入することにしました。
 この結果、担当者の時間の節約、出張費用の削減だけでなく、出張にかかるエネルギーやCO2の排出量も削減できます。初期投資も安価ですし、パソコンさえあればすぐに取組をスタートできる点も魅力です。
 まだ導入したばかりで試行的に運用中ですが、国際化の流れを受けて、海外の打ち合わせにも活用しようと考えています。このシステムでは削減したCO2の計算結果も表示されます。現時点で導入してから累計して、遠隔会議システムを利用したことによるCO2削減量は往復の交通に関して2.66t、これは杉の木が1年間に吸収するCO2に換算して205.92本分の杉の木を植えた削減効果計算になります(2011年3月末現在)。また、交通費節約金額は約1,937,980円、往復移動時間は337時間12分の削減になっています。画面で効果が見えるので社員の環境教育にも役立っています。

メッセージ

 大量に電気を消費する金属溶接機器を取り扱っていることから、省資源・省エネ・省力化が顧客から強く求められており、環境問題が広く意識されるようになる以前から、長年にわたり取り組んできました。創業以来、企業理念である『技術商社として内外の独創性豊かな新技術と新資源の導入により、需要家各位のニーズに応え、時代の要請である省資源、省エネルギー、省力化に役立つことを使命とする。』にも表れています。
 今回の新社屋建設では、工業地帯でデモルームを持ちながら、CO2削減に取り組む施設をつくるという目標を掲げました。中小企業、町工場でも、ここまでできるということを実証してみたかったのです。これからもIT等を活用し省エネに取り組んでまいります。