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<エネルギー・環境委員会>
環境ビジネス展開支援 事例紹介

環境ビジネス展開支援 事例紹介

企業基本情報

事業者名
株式会社ユーパーツ
所在地
<本社>
〒360-0023 埼玉県熊谷市佐谷田1285-2
<東京支店>
〒177-0041 東京都練馬区石神井町2-13-17 龍英ビル2階
〒123-0851 東京都足立区梅田7-24-12 有賀サンハイツ2階
〒192-0907 東京都八王子市長沼町206-3 ブルーパールビル1階
主な事業内容
・自動車用の中古パーツ・リビルトパーツ・優良パーツの販売
・自動車検査部品の検査・リビルト
・自動車検査機器の開発・販売
・事故車の買取
・部品・車両の海外輸出
代表者
代表取締役社長 清水 道悦
従業員数
155名
創業年
1975年7月
資本金
1億円
URL
会社沿革
1975年7月   有限会社清水商会設立
1993年     エンジンテスター「かけるくん」開発・特許申請
2000年6月   株式会社ユーパーツへ商号変更
2006年7月   車修理ネット立ち上げ
2008年6月   リサイクルバッテリーの販売開始

環境・エネルギー分野における主な事業内容、特徴のある事業内容

自動車リサイクル部品の製造・販売

自動車を解体する際に、リユースできる部品を取り外し、検査、販売を行う事業。販売先は日本全国の整備工場、カーディーラーである。消費者が欲しい商品を供給できるよう、全国の同業者をインターネットでつなぐシステムを活用し在庫の取扱量を増やしている。



再生バッテリーの販売

バッテリーは、何度も使用・充電を繰り返すことで、徐々に中に貯められる蓄電量が少なくなってしまう。ユーパーツでは、使用済みのバッテリーの中から、再生可能なものを選別し、独自技術で充放電を行うことで、バッテリーを初期の蓄電量の80%以上に再生することが可能である。対象となるバッテリーは、普通車の鉛蓄電池、プリウスなどに使用されているニッケル水素電池、そしてフォークリフトのバッテリーである。プリウスや普通車のバッテリーは整備工場またはカーディーラーに、フォークリフトのバッテリーは直接利用者へ販売している。


自動車リサイクル部品のテスト機器の開発・販売

エンジンテスター「かけるくん」の開発・販売を行っている。開発前は、部品を解体する際にエンジンをかけるキーが無く、性能確認することができない場合が多くあった。そのため、キーが無くてもエンジンの性能試験が可能となるエンジンテスター「かけるくん」の開発に至った。 こうした機器は、一般的な機器メーカーでは市場規模が小さすぎて開発を行うことができないため、自社で開発を行っている。自社のみの技術として保有せず、同業者にも販売することで、業界全体の底上げにつなげるようにしている。こうした考えのもと、「かけるくん」をはじめ、バッテリーの再生機やその他周辺機器なども自社で開発・販売を行っている。

事業詳細

事業開始の契機

1975年の創業当初は、廃棄される金属、非鉄金属などを選別、回収し、販売することを主な事業としていた。しかし、廃材として扱われるものの中でも使用できるものが多くあり、それをうまく使ってもらえるような事業を行おうと、当時の社長であった清水信夫氏(現会長)が考え、リユース事業を展開し始めた。

事業拡大までの経緯


(1)事業展開の経歴

<開始当初>
当初は、リユース部品の販売を行っている企業は全国に3社のみであった。こうした状況のため、部品の仕入れから販売方法などといった多くの面で課題があり、業界全体の底上げが必要であった。そのため、全国の廃材回収業者などを訪問して、解体のオペレーションや保管方法などを無償で教えて回り、業界団体などの設立、底上げに尽力し市場の整備を行った。

<インターネット導入後>
当時は、業界紙などで各社の在庫の管理や販売を行っていた。しかし、インターネットが広く普及することで、IT技術を活用した在庫管理システムが利用可能となり、販売までの流れが非常にスムーズになった。加えて、消費者にとってもリサイクルパーツを手に入れやすい土台を築くことができたため、売り上げの拡大に繋がった。

(2) 他社との差別化

  • 円滑な世代交代
    リサイクル部品の業界は「環境貢献」という良いイメージが一般消費者にあるため、2代目が跡を継いでいる企業が多い。中でもユーパーツでは、新卒の学生などから入社希望を受けており、若い人材の確保が強みとなっている。
  • 独自の仕入れ・販売ネットワーク
    業界への貢献や、これまでの多くの実績などから、ディーラーや整備工場などの業界からの信頼性が非常に高く、仕入れ、販売などの部分で他社にはないネットワークを保有している。
  • 先駆的な事業拡大
    他社や研究機関と積極的に連携をとることで、業界にない先駆的な取り組みを行い、他社が真似できない事業を行っている。


(3) 現状の改善点

  • 販売方法への対応
    リサイクル部品の業界も、アマゾンや価格ドットコムのようなインターネットを活用した商品の販売へと転換していくことが予想される。こうした販売方法の変化への対応が未だできておらず、今後はオンラインを活用したコストのかからない販売方法を検討し、導入を行っていきたい。

これまでに直面した壁


導入メリットと規模の関係性

  • 世代交代
    会社が大きくなり、新しい社員が入ってくるなかで、社内の制度変更が必要になっていた。現社長は就任時に制度改革を重点的に行い、人事評価などの明確化に努めた。こうした流れの中で、反発する社員などもいたが、何度も話し合いを行い、理解につとめ、改革を実施した。
  • 業界全体の底上げ
    業界内に様々な意見を持っている企業が多く、他業界と比較して未だまとまりが弱く、事業展開の障壁になることがある。そのため、これまでの豊富な人脈や絆から、業界全体の底上げにつなげていきたい。

今後伸ばしていきたい点

日本車を多く使用している海外地域では、既に一部で事業展開しており、リサイクル部品の供給を行っている。他の地域にも事業を展開し、売り上げの向上につなげていきたい。
また、現状でリサイクルパーツを使用したいという消費者に対して、在庫の関係から半分しか提供できていない。そのため、今後はこうした要望に応えていけるよう、ITなどを活用した在庫管理方法を検討、導入していきたい。

環境・エネルギー分野での新事業を検討している事業者に対するメッセージ

「環境」だけではビジネスにはならないため、事業の展望などを考えると利益を生み出し続ける必要がある。そのため、「環境」を最優先ではなく「ビジネスモデル」を優先して考えるべき。
フットワークの軽いと言われる中小企業の新規参入事業でも、大企業が本気で取り組まれるとすぐに追い抜かれてしまうことがある。そのため、スピード感を持った事業展開を実施すべきである。