原産地証明:台湾・タイ向け日本産商品の場合
(1)台湾・タイ向け食品の原産地証明書への「都道府県」記載容認について
原産地証明書は貨物の原産「国」を証明するものであり、生産・製造された「都道府県」までは証明できません。
ただし、現地政府の要請に基づく例外として、タイ・台湾向けの日本産食品に限り、タイ向けについては2011年より、台湾向けについては2015年より、生産・製造された「都道府県」名を記載した証明を許容しております。また、これに加え、台湾向けは2022年2月より「指定文言」の記載も要請されています。両国政府は、現着した貨物を実際に開梱して生産・製造された都道府県の確認と調査を行い、原産地証明書に記載された都道府県と照合しています。照合結果が不一致の場合は即時証明事故(誓約違反による罰則の対象)となります。
ご申請時には、ご記載いただいた都道府県での生産・製造に係る典拠資料として「製造証明書」「漁獲・養殖証明書」「生産証明書(農作物等)」等をご提出いただきます。
なお、当所では2023年12月より、都道府県名や台湾向け指定文言の記載がないご申請については、両政府の要請および商工会議所の運用基準を理解したうえで、それらを満たさない証明書を希望されるものと見做し(通関用途ではない等)、記載の要否について審査時に確認・照会をいたしません。記載をご希望の場合は、十分ご注意ください。また、本証明で不利益等が生じた場合にも商工会議所は一切関知いたしませんので、よく確認の上ご申請ください。
(2)記載方法(台湾向け・タイ向け 共通)
①都道府県名は、原産地証明書の「6 欄:Remarks」にのみ記載ができます。
書き方の例)
Place of Manufacture : Kanagawa (工業品や加工品の場合)
Catching area : Hokkaido または Place of catching: Hokkaido(水産品の場合)
Place of Farming : Hokkaido (養殖品の場合)
Place of production : Akita (農作物等の場合)
※「7 欄:description of goods」には記載できません。
※ 産品が複数あって生産県が分かれる場合には、商品ごとに生産県との紐付けが必要です。
②輸出者発行のコマーシャル・インボイスに上記の例と同様に産地をご記載ください。
③典拠資料として、製造証明書、漁獲(養殖)証明書、生産証明書または加工証明書をご提出ください。
(詳細は以下「(3)典拠書類の要件」ご参照)
(3)典拠書類の要件(台湾・タイ向け共通)
記載される都道府県での生産・製造等に係る典拠資料として以下いずれかをご提出ください。
「漁獲・養殖地証明書」「生産証明書、加工証明書(農作物の場合等)」
①発行者(漁獲者、生産者等)の社印が押印されたもので、当該輸出貨物を漁獲・生産したことが明記されているとともに場所の特定ができるもの。②典拠書類の産品とコマーシャル・インボイスに記載された産品との紐付けが確認できるもの。
「製造証明書」
①実際に製造した会社が発行した証明書(社印あり)、かつ、「製造した」と(過去形で)明記していること。※委託生産の場合は、下欄の「第三者による製造証明書」をご確認ください。
②製造した場所(工場名、住所等)を明記していること(工場所在地の都道府県名のみでは不足)
③輸出産品名の記載があること、あるいは輸出産品名と製造品が紐づけできること。
④製造数量が明記され、かつ、原産地証明書に記載した輸出数量を下回らないこと。
⑤発行日付が明記されていること。かつ、その日付が船積日1年以内の日付であること。
NG【よくある不備事例】
・使いまわしができるように細工されているもの全般
(現在進行形で「製造しています」と記載したもの。品名や数量が空欄で後書きが可能なもの、等)
・船積日より一年を経過した発行日のもの
・製造場所の記載が都道府県で終わっているもの
・「製造場所・原料が変更になる可能性があります」といった不適切な一文が入っているもの
「第三者による製造証明書」(委託生産の場合等)
本来であれば、製造者以外が発行した製造証明書は典拠資料として認めておりません。但し、下記のいずれかの要件を満たす場合は典拠資料として許容します。
①製造元の社印押印がある製造証明書(雛形①)
製造者が発行できない理由/製造者と申請者との関係性/製造者名/製造工場住所の記載があり、
製造者の社印押印がある場合。
②製造元の責任者連絡先まで記載がある製造証明書(雛形②)
製造者が発行できない理由/製造者と申請者との関係性/製造者名/製造工場住所/
製造責任者・電話番号/書類作成担当者・電話番号、が全て記載されている場合。
※製造責任者へ内容確認の電話をする場合がございます。
ご注意:これまで許容していた「製造証明書作成者による責任文言入り」の形式は、2023年12月1日より認可いたしません。委託生産の場合は、必ず上記の①または②の形式で典拠資料をご用意ください。
「タイ・台湾向け食品の生産地に関する誓約書」(購入品の場合等)
商品を小売店や卸売業者から購入した場合などで、製造者から製造証明書を入手できない場合は、代替として「タイ・台湾向け食品の生産地に関する誓約書」を典拠資料として提出ください。
※製造証明書が入手できる場合は、本誓約書での申請はできません。
(4)指定文言の記載(※台湾向けのみ)
2022 年 2 月より、台湾当局から都道府県の記載に加え、指定文言を書き加えるよう要請がありました。
以下要領に従って指定文言を記載の上、ご申請ください。
指定文言:※文章の変更不可
This certificate of origin is issued by the Chamber of Commerce and Industry in accordance with the Chambers of Commerce and Industry Act under the jurisdiction of the METI.
※「6.Remarks」欄へ記載しきれない場合は、紙申請の場合は、記載事項の最後に「*(アスタリスク)」を付し、7 欄にも同様に「*」を付し、その後に続きを記載してください。電子申請の場合も同様に「*」を付し、「その他・Others」欄に続きを記載してください。
※本指定文言は、文言の性格上、典拠 Invoice への記載は不可です(原産地証明書のみに記載してください)。
※本指定文言の内容をアレンジすると台湾側で拒絶されます。そのまま原産地証明書に記載ください。
※本指定文言の記載は、台湾政府要請に基づき、同国向け食品にかかる原産地証明書のみに認めた特別対応です。インボイス証明、サイン証明、台湾以外の国向け原産地証明書などへ転用は一切できません。
ご参考:台湾向け原産地証明書_書き方見本