大和合金株式会社・
三芳合金工業株式会社 社長 萩野 源次郎
創業80年超
技術を磨き上げて世界と勝負。
世界最先端の開発の一翼を担う
特殊銅合金メーカー
- 企画、設計
- 製造、生産管理
- 101名以上~
- 販路拡大
- 技能伝承・脱属人化・人材育成
- その他
海外展開に挑戦し、
積極的に外国人材を採用。
初の海外拠点開設も実現し、
着実に売上を増加。
スマートものづくり
事例MOVIE
1背景と課題
海外展開を目指し、
外国人材の採用に挑戦
自動車、航空機、半導体などから次世代エネルギーとされる核融合炉まで、幅広い分野に特殊銅合金を供給している当社は、三芳合金工業が開発・製造を、大和合金が加工・販売を担っています。溶解から鋳造、鍛造、熱処理、加工、検査までを一貫して行うことで、少量多品種で迅速かつ柔軟に対応できます。
3代目の経営者である私は、新規分野も含め海外展開を目指しています。2008年頃から毎年国内外の展示会に出展していましたが、当初はなかなか売上に繋げることができませんでした。自社を「国際化におけるヨチヨチ歩きの超発展途上企業」だと自覚し、海外の取引先と同じ文化を持ち、ビジネス上でもスムーズにやり取りできる外国人材が社内に必要だと考えました。「海外の取引先との商談で、会話の行間を読み取れるような従業員がいたら心強い」と思っていたのですが、当社のような中小企業がそのような外国人材を採用する方法が分からず、手をこまねいていました。
2課題解決への取り組み
インターンシップから始まり、
現在従業員の1割が外国人材に
2015年頃、都庁職員から自治体国際化協会が行っているJETプログラム(The Japan Exchange and Teaching Program)の存在を教えてもらいました。JETプログラムは日本で国際交流活動や語学指導等を行っていた外国人材のキャリアアップを支援するもので、そのキャリアフェアへの参加を勧められました。信頼し尊敬している方からの勧めということもあって、参加してみようと決意。その後、キャリアフェアで知り合った外国人向けのインターンシップを初めて実施し、2016年にその参加者の中からアメリカ人を1名採用することができました。彼女は大学で日本語を専攻し、ALT(外国語指導助手)として来日したのですが、ALT終了後も日本で働きたいと考えており、当社の事業に興味を持ち入社してくれました。入社8年で航空機や核融合分野では社内で彼女の右に出る者がいないほど成長し、現在は開発部門で係長に昇進しました。
社内で外国人従業員が一人では心細いだろうということもあり、その後も積極的にインターンシップや採用活動を実施。現在は、アメリカ、イギリス、デンマーク、ネパール、ジャマイカなど8カ国17人の外国人従業員が在籍し、全従業員の約1割を占めています。
日本人も毎年5~10人程度採用していますが、日本人と外国人の研修に大きな違いはありません。当社のような特殊な素材を扱っている業界で仕事を覚えていくのに国籍は関係なく、日本人の中途採用の従業員の中では、大工やソプラノ歌手だった人もいて、自らの努力でどんどん成長しています。それぞれの個性とやる気次第だと実感しました。
さらに、外国人材を採用して分かったことは、とても前向きで、目的意識が明確、好奇心が強くハングリー精神があること。当社の経験を通して自分の夢が広がり、大学で学び直して自国の外交官になった人もいます。退職した外国人従業員と今でも連絡を取り合っており、仕事をサポートしてくれることもあります。このように能力が高い人材が職場にいることは、日本人の従業員にとっても良い刺激になっていると感じています。
基本的には開発・製造・品質保証・営業など様々な職種をジョブローテーションで業務を経験してもらうとともに、業務の大変さを互いに理解できるよう図っています。また、従業員が悩みを抱え込まないよう、社内でのコミュニケーションにも気を配り、誕生月の従業員たちとのランチ会や、バーベキュー・音楽会などの社内イベント等を行い、業務以外の時間でも互いに話しやすいような環境づくりを心がけています。
3効果および今後の目標
外国人材と連携して
海外戦略に大いに活かす
海外の取引先との商談では、外国人材の存在がとても心強く、彼らがいるから海外の入札に参加し、新たな仕事を獲得することもできますし、世界中の取引先との打合せもスムーズに進められます。海外向けの売上は、外国人材を採用していなかった10年前の2014年に比べて約15〜20%増加しています。今後も定期的に外国人材の採用を進めていきたいと考えています。
また、2019年に欧州向けの販売・サービスの拠点として、当社初の海外支店をポルトガルに開設し、当社の外国人従業員を初代支店長に就任させました(現在は、大学院進学のために退職したため、再出発を図るべく準備中)。今後もアメリカなどに海外拠点を増やしていこうと考えています。
先代から継承しているのは「従業員はみな家族だ」という大家族経営。当社では働きたければ年齢制限なく働けるので88歳の従業員もいましたし、従業員が家族や友人を紹介してくれるケースも多いです。最近は従業員の孫が入社してくれました。外国人材だけでなく、様々な人材を受け入れる、そういう多様性の素地があるのかもしれません。「生まれ変わっても働きたい」と思える会社にしたい、それが当社の人材に対する想いです。
これから日本は少子化が進み、人材の確保はさらに難しくなるでしょう。しかし、中小企業も門戸を広げて外国人材の採用に挑戦してみてはいかがでしょうか。まずはやってみる、やってみてだめだったらやめればいい。まずはやってみること、そこから何か変化が始まります。
外国人材を採用して海外展開を強化
- ご縁を大事にする。それが新たなご縁や情報収集にもつながる。
- 外国人材は、とても前向き。日本語習得能力が高く、目的意識が明確で、好奇心が強くハングリー精神がある。日本人の従業員にとっても良い刺激になる。
- 海外展開を目指すうえで、外国人材は商談の潤滑油にもなり、先手を打つための有効な情報も得られる。自社のグローバルネットワークを広げられる。
企業情報
会社所在地:
[大和合金株式会社]本社:東京都板橋区前野町2-46-2
工場:埼玉県入間郡三芳町上富474
[三芳合金工業株式会社]本社工場:埼玉県入間郡三芳町上富508
電話:049-273-6006
従業員:166名(グループ全体の合計)
創業:1941年
資本金:
[大和合金株式会社]4,500万円
[三芳合金工業株式会社]5,250万円
web:http://www.yamatogokin.co.jp/
2024年2月時点