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導入企業事例

導入企業事例

株式会社石井精工

株式会社石井精工 代表取締役社長 石井 隆司 取締役 統括マネージャー 石井 洋平

ゴム金型製造・ゴム成形の
スペシャリスト。
時代の変化の先を見据えて
新しい企業のかたちを模索

  • 企画、設計
  • 顧客対応・営業
  • 11名以上~20名以下
  • 販路拡大
  • 自社技術、情報の発信・ブランド化
  • 技能伝承・脱属人化・人材育成
  • 各種SNS(YouTube、Facebook、インスタグラムなど)
  • クラウドファンディング

自社製品を開発し、
YouTubeなどを活用した
情報発信を推進

スマートものづくり
事例MOVIE

1現場で課題と向き合う

現場で課題と向き合う

企業情報の発信が不十分、
人材募集がうまくいかない

創業者が旋盤1台から始めた当社は、金型屋の下請けの時代を経て、自社で受注製造できる技術および設備を備えて発展し、現在に至ります。10年前は、自社のウェブサイトがなく、大手企業などはウェブサイトの有無を取引先選定の条件にすることもあると知り、すぐに制作に着手。それが当社のIT化の第一歩でした。ウェブサイトの制作は外注しましたが、どういうものを作りたいかは社内でとことん話し合い、ものづくり企業のウェブサイトによくある成形メーカーをターゲットに技術力や設備をPRするものでなく、商社やアイデアを持ってものづくりをしたいと考えている方たちへ情報を発信するウェブサイトを作りたいとこだわりました。
 ウェブサイトを開設した1カ月後には、新規に100万円の仕事を受注し、ウェブサイト制作費の採算が取れました。さらに、約70社あった取引先は、ウェブサイト開設後に100社を超え、客層も幅広くなり、情報発信による確かな手応えを感じました。
 受注の増加とともに、人材の採用・育成という課題に直面。2014年に新工場を設立し、2016年に立体マシニングセンターなどの最新設備を導入して製造体制を強化すると、それらを扱う人材の重要性はさらに増していきましたが、ハローワークで募集をかけてもなかなか望む人材が集まらず、どのような人材募集の方法が効果的か、考えあぐねていました。

2スマートものづくり実践

スマートものづくり実践

自社らしさ満載のウェブサイト、
自社製品誕生からの
クラウドファンディング、
そしてYouTube

人材募集に効果のある情報発信の方法を考えていると、「自社製品が作りたい」「メーカーになりたい」という思いに至りました。当社で製造している金型は、最終的な製品ではないため、一般の方にはなかなか知られていません。直接お客様に届くようなものが作れたら、広く当社の存在を知ってもらえるし、技術力もアピールできる。それは従業員の誇りにもなり、人材募集にも効果があるのではないかと考えたのです。早速、自社製品製造のツテを当たってみたところ、墨田区がものづくり企業とデザイナーなどのクリエイターを結び付け、自社製品の開発を目指す「ものづくりコラボレーション」についての情報を得ました。これに応募して採用となり、墨田区のサポートを得て、2015年にデザイン会社と当社によるものづくりをスタートさせ、ボタンモチーフのビンズで、アロマの香りがつけられる初の自社製品「ALMA」が完成したのです。この製品を販売するために、ギフトショーへの出展などにも挑戦。さらに2017年、当時はまだ珍しかったクラウドファンディングにも挑戦し、目標金額20万円に対して応援購入総額977,200円、488%の達成率となりました。これは資金を得るためと同時にマーケティングの目的もあったので、購入者や支援者などから様々な声が得られたことも大きなメリットでした。この自社製品づくりは、品質管理の考え方にも変化を及ぼしました。金型は大量に同じものを製造することがなかなかありませんが、「ALMA」は何百個もの製品を一度に製造しなくてはなりません。その工程での品質管理のノウハウは従来の当社にはなかったもので、この自社製品の製造により学び、身につけ、向上させていくことができたのです。
 自社製品に対する問い合わせや取材も増え、当社のアピールができるようになると、採用活動にも効果が出てきました。しかし、当社の目立つ部分だけをイメージして入社しても、日々の業務とギャップを感じて辞めていく人がいました。この対策として始めたのが、2021年初から開設した自社のYouTubeチャンネルです。その意図は、動画で自分たちの会社をありのまま発信していこう、それに共感してくれる人に共に働いてもらいたいということ。社内で取締役がスマートフォンを使って一人で撮影から編集までやっているので、初期投資はほとんどなし。思いついたらまずやってみる、それができる身軽さは中小企業の良さでもあると思います。

3課題解決

課題解決

金型業界の未来を見据えて、
挑戦を続ける

「ALMA」は発売以来 5年経ちますが、年商1千万円程度を維持しており、会社全体の売り上げからすれば数%にすぎないものの、当社の魅力のひとつになっていると感じています。YouTubeでは、社内の仕事の様子や、会社の求める人物像、今後の目指す方向などを語って発信し続けたところ、それを観て共感したという人が入社し、即戦力として活躍しています。10年前にウェブサイトを開設した当時10人だった社員は現在16人に増え、やる気のある若手が集まっていることが嬉しい成果です。
 今後は金型業界も製造業全体も大きな変化の波にさらされると予測しています。一例では、3Dプリンターがあれば金型はなくても物が作れます。その中で当社が生き残り、より成長していくために、社員一人ひとりが自ら考え行動できる自走する組織にしていきたいと思います。また、多能工を推進し、溶接や研磨なども含めて金型作りの一貫体制を整え、その一方で3Dプリンターの設備も導入し活用を図っていきたいとも考えています。
 最終的には金型にとどまらず部品加工までできる金属加工業の企業に発展させたい。そのために、設備や人材を早い段階から準備していくことが次の課題であり、これまでのように自分たちらしく対応していきたいと考えています。

ITはツールであり、どう使うか、何を発信するかが大事

ITはツールであり、どう使うか、何を発信するかが大事
  • ウェブサイトは、自社らしさの発信を重視し、発信するターゲットをよく考えて企画や表現を考える。自社の設備や技術自慢より、「この会社に相談してみたい」と創造力をかき立てられるような仕掛けが効果的。
  • クラウドファンディングは、エンドユーザーの声が得られる貴重なマーケティングツール。
  • YouTubeは、動画だからこそ伝えられるメリットを意識して、社内の雰囲気や仕事の実際の様子、語りかけたいことなどコンテンツをよく考える。

企業情報

会社所在地:本社:東京都墨田区八広4-11-9(葛飾工場:東京都葛飾区堀切1-33-9)
電話:03-3694-7100
従業員:16人
創業:1959年
資本金:1,000万円
web:http://ishiiseikou.com
You Tube:https://www.youtube.com/channel/UCkzzDcOkhixAz93gzT5bITA
2021年2月時点