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導入企業事例

導入企業事例

エスエスビジネスフォーム株式会社

エスエスビジネスフォーム株式会社 代表取締役 酒井 雅志

伝票の製造販売を手掛け
社歴45年以上。
IT化および多様化するニーズに応え、
伝票業界の新たな
リーディング企業を目指す。

  • 企画、設計
  • 受発注
  • 顧客対応・営業
  • 21名以上~50名以下
  • 販路拡大
  • 自社技術、情報の発信・ブランド化
  • 業務効率化・省人化・業務改善
  • ECサイト
  • 生産管理システム、販売管理システム(製品・部品在庫管理、原価管理など)

低迷した業績から
インターネット販売で
起死回生を図る。

スマートものづくり
事例MOVIE

1現場で課題と向き合う

現場で課題と向き合う

倒産寸前、飛び込み営業から
チャンスを得るも資金不足

当社は1974年に父がビジネスコンサルティング会社として創業した後、一貫して伝票の自社製造・販売を行ってきました。しかし、世の中のデジタル化が進むにつれて需要は激減し、私が社長を継いだ2009年頃は、当社の業績はかなり厳しい状況に陥っていました。私以外に従業員は2人だけ、同業者からの下請けやブローカーからの仕事がほぼ100%。そこで、新規の仕事を取ろうと必死で飛び込み営業をしている中、「印刷しない用紙」の話がきたのです。ミシン目が入っているだけの紙のオーダーで、印刷しないと工賃が出ないため利益も少ないのですが、切羽詰まっていましたのでとにかくいただいた仕事はありがたいという思いで受注し、大量に作って残ってしまった分はどこかで売ればいいと考えました。どこか、という売り先を考えた際に、ECサイトでの販売が思い浮かびました。
 とはいえ、ECサイトでの販売についての知識もノウハウも資金もありません。そこで、東京商工会議所の小規模事業者向けの補助金を利用して、自社の用紙を販売するECサイトを構築しようと計画。補助金は、費用の2/3補助で、最大50万円まで出るので、総額約80万円までであれば予算の範囲内で取り組みができる算段でした。東商に相談し、補助金の採択を決定。ところが、補助金は全額を支払った後に、入金される仕組み。当時、当社に80万円を先払いする余力はなかったのです。銀行からの借り入れもすでに目一杯、もはや、自分でやるしか手段はないと腹を括りました。ECサイトを成功させないと会社の存続も危ない、だったらこれに注力しようと、既存のお客様への営業活動などは一切行わず、自分の時間の全てをECサイト開設に向けて注ぐことに。まさに背水の陣でした。

2スマートものづくり実践

スマートものづくり実践

ECサイト「用紙Labo」に
社運を賭け、
社長自らサイトを構築。

自分で勉強しながらやる、その覚悟をした時に、今の世の中、インターネットを活用すればあらゆる情報が手に入るのでそれを利用しようと考えました。知りたいことを検索し、そこで得た情報で勉強し、真似してみる。真似するといっても、もちろん遵法の上ですが、独学で自社のウェブサイトを構築していきました。カートシステムや受注管理は「MakeShop」というECサイト構築サービスを利用し、導入や商品紹介のページは自分で制作。15年11月に「用紙Labo」という名称でECサイトをオープンしました。
 実はもう一つ、ECサイトを始める決断をした決め手は、リサーチしたところこのような取り組みをしている競合他社がなく、今なら勝てるだろうという勝算があったことでした。また、ECサイトを始めても認知されなくては売れるはずもないので、最初はネット広告の利用をすることも決めていました。Yahoo!やGoogleなどの広告は、月額3万円程度から掲載でき、それなら資金力の乏しい当社でも可能です。こうした広告の成果もあり、ECサイトオープンから1カ月で約50万円の売り上げがありました。金額は少なくても、ECサイトはすぐに入金されることも魅力。通常の業務では、月末締めで翌月末か翌々月末払いですから、すぐに手元に入金されるECサイトは資金繰りにおいても非常に助かりました。
 従来の下請けの仕事と異なり、ネットショップでは発注者がエンドユーザーになるので、様々な声が聞けるのもメリット。「こういう商品はないの?」という声に応えていくうちに、カラー用紙、2分割紙、ノーカーボン用紙などアイテム数はどんどん増えていき、それがまたユーザーから喜ばれ、新たな売り上げに繋がるという良いサイクルとなっています。
 従来はexcelで受注票や領収書を作成していましたが、ECサイトからの受注が急激に増えるにつれ、現場の生産との兼ね合いが課題となり、5年前に受注管理システムを開発しました。これも私の自作。インターネットによる独学と他社の良い部分を参考にして構築したものです。

3課題解決

課題解決

業績の大幅な回復と
陣容の拡大を実現。
さらなる社会の変革にも挑む。

ECサイト「用紙Labo」を始める前と、始めて5年以上経過した現在を比較すると、年商は7千万円から5億円弱に成長、従業員は2人から31人に増加。販売アイテム数は800種類、顧客数は3万社に及び、月商2,500万〜3,000万円となっています。生産体制拡充のため、M&Aを実施し、埼玉県所沢市にある工場や設備、従業員をそのまま引き継ぎました。
 社内の雰囲気にも変化が見られます。例えば今日20万枚製造して出荷したのに、また3日後に同じ用紙に対し、同数量の発注が入るといったこともあります。従業員にとって、「自分たちが作っているものが毎日こんなに売れるのだ」という手応えを感じることが、モチベーションの一つになっていると実感しています。今後もM&Aを視野に入れながら、生産の一層の安定化を図っていく考えです。
 おかげさまで順調に推移している当社のECサイトについて、「競合が出てきたらどうするのか」という質問をよくされますが、出てこないような戦略を打っているというのが回答。顧客からの要望により増加した取扱製品の充実や高性能な生産設備を活かした短納期対応など、今から他社が同じことをしようとしてもすぐには真似できないノウハウや経験を積んできていると自負しています。
 20年に経済産業省「はばたく中小企業300社」に選ばれたのは、印刷業界という成熟した業界のなかで、急成長しているレアケースという評価ではないかと思っています。とはいえ、社会の変化や業界の動向をしっかりと見据え、次の戦略を考えることにも余念がありません。22年1月から電子帳簿保存法が改正され、ペーパーレスが一層加速すると思います。当社としてもそのニーズに対応すべく、「用紙Labo」のさらに川上のシステム開発・販売事業を構想しており、当社の今期もしくは来期までには始めたいと考え、準備を進めているところです。
 何もないところから自力で頑張ってきた経験が、次への挑戦に怯まないエネルギーとなっているのかもしれません。

知識や資金がなくても、よく考え、よく調べることで自社の不足部分をフォローしよう。

知識や資金がなくても、よく考え、よく調べることで自社の不足部分をフォローしよう。
  • ECサイト立ち上げにあたっては、業界や状況をよく調べる「リサーチ力」と、「買う側の立場に立ったサイトの工夫や製品の見せ方」などを決めていくことが大切。
  • 一般的に新しいものを生み出せるクリエイティブな能力に優れた人は少ない。今あるものの中で良いものを見つけて真似することで独学でもIT化を実現できる。
  • インターネットによりエンドユーザーの声が直接入ってくるのは大きなメリット。今後の製品開発やサイトの改良に活かすことができる。

企業情報

会社所在地:(本社・東京営業所)東京都荒川区東尾久2-9-12
(事業本部)埼玉県所沢市亀ヶ谷426-1

電話:(事業本部)04-2936-8473
従業員:31名
創業:1974年
資本金:1,000万円
web:https://www.ssbf.co.jp
2022年2月時点