HOME (準備中)
導入企業事例

導入企業事例

ゼットエンジニアリング株式会社

ゼットエンジニアリング株式会社 代表取締役 社長 村上 仁士

世界の蒸気加熱プラントに利用される
スチームトラップの特殊メーカー

  • 保全、保守、点検
  • 顧客対応・営業
  • 6名以上~10名以下
  • 業務効率化・省人化・業務改善
  • 技能伝承・脱属人化・人材育成
  • コスト削減
  • 非対面・非接触への対応
  • ハードウェア(機械、タブレットなど)
  • センサー・カメラ
  • その他

コロナ禍で世界中の顧客工場に赴くことが
困難に。遠隔でもプラントの点検が
可能なシステムを導入

スマートものづくり
事例MOVIE

1現場で課題と向き合う

国内外への移動が制限。設計に不可欠な顧客の現場調査ができない。

国内外への移動が制限。
設計に不可欠な顧客の現場調査ができない。

当社の製品スチームトラップは、食品や化学、電機メーカーなど様々な産業で用いられる蒸気加熱プラントで使用されています。工場で熱源に蒸気を用いる際に熱交換によって生成する凝縮水を適切に排出するための装置です。蒸気の使用条件に合わせて作成するオーダーメイド品であるため、設計・製作時だけでなく、導入後のメンテナンス時にも事前に顧客の現場に赴き、既設のスチームトラップの調査や診断を行っています。取引先は国内だけでなく欧米や東南アジアなど海外にも数多く展開しており、商社などの代理店が営業を担当してくれています。代理店の営業の方は専門的知識や技術を有していないため、当社のベテラン技術者が一緒に顧客先に出向いて現場診断を実施していました。一人で調査を任せられる技術者は当社でも3人のみ。国内外の顧客の工場に出張するため常にフル稼働の状況でした。
 2020年春からの新型コロナウィルス感染症拡大により、人の移動が制限されると、海外への出張が不可能になりました。
 製品とメンテナンスに対するニーズは高いので何とか現場診断を行ってほしい海外の代理店から依頼が来ますが、こちらから技術者を派遣することはできない。電話で指示を出しながら現場診断を行うことも難しい。コロナの収束が見えず特に海外には当分行ける目処が立たないため、当社技術者が出向かなくても現地の代理店の担当者だけでできる方法を模索しました。

2スマートものづくり実践

今できる事を考え、スマートグラスを活用

今できる事を考え、
スマートグラスを活用

そこで着目したのがスマートグラスによる遠隔支援システムです。スマートグラスはもともと米軍特殊部隊のウェラブル通信装備として開発されたものですが、現在は民需に対応する様々な製品が出ています。現地の代理店営業の方がこのスマートグラスを装着して顧客の工場に赴き、当社のパソコンとリアルタイムで接続することにより、技術者が現場の状況をカメラで映した画像を見ながら、当社から確認したい箇所や項目などの指示を出すことができます。工場の蒸気の配管は機械の下にあったり高い鉄塔の上にあったり様々な状況なので、ハンズフリーが大事なポイントでした。
 導入にあたっては、システム会社の方に相談し、スマートグラスの選定からプログラミングまでサポートを依頼。また、江戸川区で新技術導入に対して資金の2/3を助成する制度があることを知り、応募することにしました。2020年5月に設備投資計画書等を作成して応募し、7月末に助成金支給が決定しました。スマートグラス3台の購入やシステム設計など総額で約340万円の費用が発生したので、この助成金は大変助かりました。
 また、顧客工場装置をネット回線経由でみることになるため、情報が漏洩しないよう秘密保持契約の締結も必要でした。
 現在、スマートグラス2台は海外(タイ、中国)にあり、一部は使い始めていますが、ソフト、ハード共に補正をしながら最適化を目指しているところです。海外の代理店の方が使えるよう英語のマニュアル制作も進め、2021年2月末に結果報告を行い助成金が支給される予定です。

3課題解決

日本にいながら海外の現場調査が実現、出張経費と時間ロスも削減

日本にいながら海外の現場調査が実現、
出張経費と時間ロスも削減

こうして導入した遠隔支援システムを海外の顧客現場調査に活用するリモートワークにより、受注機会の喪失をある程度防ぐことができました。まだ視野角とカメラの角度のズレや、現場の音声が届くのに2、3秒のズレが生じる等の課題はありますが、スマートグラスの一層の軽量化・高性能化や5Gなど通信環境の整備が進めば解決していけるでしょう。
 代理店の方が当社ベテラン技術者と協力して現場調査を行えるようになりました。従来は対応できる人数の制約もあり、現地から調査のリクエストが数社入った段階で出張に行っていましたが、遠隔支援システムではその都度調査が実施でき、顧客にも迅速にサービスを提供することができるようになりました。また、当社から海外出張が不要になったので、これまでかかっていた出張費や海外への移動、滞在時間のロスが解消できたのも大きな成果です。
 今後は、人が現場に立ち入らなくてもできる調査体制の実現を目指し、工場の機械にセンサーを取り付けてそれを工場の事務室のモニターでチェックできるなど、遠隔による現場調査をさらに進めたいと考えています。

逆境にあっても、あきらめずに取り組む。人材を育成する機会に

逆境にあっても、あきらめずに取り組む。人材を育成する機会に

 オンラインで離れている場所を繋ぐ方法はいろいろありますが、工場など現場での業務に対応できるものではありません。しかし、スマートグラスによる遠隔支援システムを活用すれば、工場などの現場でのリモートワークやモバイルワークも可能になります。
 また、人材教育の面でも大いに効果があると考えています。代理店の方がスマートグラスの装着により現場調査を行う経験を積んでいけば調査のベテランになれますし、少人数で事業展開している当社を支えてくれる存在に成長していきます。一方、遠隔で指示を出す当社の技術者も、わかりやすい伝え方などの勉強になり、自身のスキルアップに繋がります。
 今回のシステム導入で学んだ一連のことなどが当社の財産として蓄積されていくので、今後の営業展開に活用できる貴重な知見ファイルとなっていきます。

企業情報

会社所在地:東京都江戸川区西小岩2-11-7富士ビル1F
電話:03-3658-2250
従業員:9名
創業:1983年
資本金:5,000万円
web:https://www.steam-z.co.jp/
2021年2月時点