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導入企業事例

導入企業事例

株式会社田中電気研究所

株式会社田中電気研究所 取締役社長 田中 敏文

放射線測定器のOEM製造で培った
高度な技術が最大の強み
ダスト濃度計のトップメーカーを目指す

  • 製造、生産管理
  • 21名以上~50名以下
  • 自社技術、情報の発信・ブランド化
  • 技能伝承・脱属人化・人材育成
  • コミュニケーションの向上
  • その他

外部講師による選抜者研修や
国家資格取得を推進
継続して人材育成に注力し
“技術力”を磨く

スマートものづくり
事例MOVIE

1背景と課題

現場で課題と向き合う

新たな分野への展開を図るため、
従業員のスキルをアップ

当社は、放射線測定器等の産業用電子機器の設計・製造や自社製品「ダスト濃度計」などの開発・製造・販売・保守サービスなどを事業の柱としています。

1970年から大手電機メーカーの協力会社として放射線測定器を製造していますが、発注元の大手電機メーカーでは、当社で製造に関わる従業員全員に「重要基本作業認定」(大手電機メーカー独自の認定)の取得を義務付けています。また、ハンダ付け、ネジ締め、圧着作業などの基本的な作業にも、メーカーが技能検定を実施。合格して認定証を交付された者だけが、製造に関わることができます。技能検定は3年ごとに更新する必要があるので、常に技術力を保持するよう努めています。

また、入社3年を経過した従業員に国家資格「電子機器組立て技能士」の取得を義務付けていますが、その資格取得に向けて、「1級電子機器組立て技能士」以上の資格を取得した従業員が指導者となって講習会を実施。資格取得に係る勉強や講習会に係る受講費用や検定受験費用を支給するほか、業務時間外に参加する場合は、残業代も支給しています。さらに、従業員のモチベーションアップのため、資格取得者には「技能手当」を支給しています。現在、パート従業員を含め工場従業員全体の約7割が「電子機器組立て技能士」を取得しています。

当社では継続的な技術力向上に努めていますが、経営理念の1つである、多方面への展開によるリスク分散を図り新製品の開発や新分野への参入の継続を実現するには、従業員の知識・技能の向上が課題と感じており、自社での研修プログラムの作成を考えていました。その際に、工場が所在する栃木県の支援事業で、ある人材育成会社の経営者と出会い、研修プログラムの作成に本格的に取り組み始めました。パッケージ化された研修ではなく、当社の希望に合った内容にすべく、2010年頃から人材育成会社の講師と連携して研修プログラムを作成していきました。

2課題解決への取り組み

スマートものづくり実践

経営方針に基づき研修テーマを
設定して選抜者研修を実施

研修プログラムについて、まずは私が毎年設定する経営方針に基づいて研修テーマを決め、そのテーマに沿った1年間の研修カリキュラムを外部講師が作成します。研修受講者は、各年のテーマに応じて私が参加させたい従業員を4名程度選抜します。

2011年からは新たな研修プログラム「選抜者研修」を実施。これまで、「プレゼン力の向上」「現場力の向上(提案力・業務効率化)」「原価算出」など幅広いテーマで、2カ月に1度・2時間の研修を行っています。毎回講師が来社して行う出前研修なので、受講者は移動時間もかからず、通常業務にも支障なく参加できます。

初回にオリエンテーションを行った後、座学でテーマに沿った知識習得を図るほか、実地研修も行います。最終回に行う成果発表会では、1人あたり20分間の発表を行います。審査員として取引先や金融機関、地元自治体等の方をお招きし、発表者への質問、発表内容の評価をしていただきます。普段、社内にいると外部の方と接する機会が少ないので、人前で話す経験をすることで成長してほしいと考えています。

研修を受講した従業員からは、「会社がきちんと教育をしてくれて有り難い」「研修で学んだことを業務に活かせている」などの前向きな声が寄せられています。また、当社のような中小企業が、外部講師を招いた研修を毎年行っていることは外部の方からも好評です。

3効果および今後の目標

課題解決

選抜者研修参加者を役員に抜擢。
強固な教育体制を実現

当社の生産拠点である栃木県烏山工場の従業員は全員地元採用です。ほとんどの従業員は異業種・異業界から入社しており、当社事業に関する業務経験はありませんが、資格取得支援や選抜者研修、作業基準書の作成等により、着実に技術を身につけて成長し、従業員の自信となっていると感じています。その中から、選抜者研修でも意欲的に取り組み、業務にも前向きかつ積極的に取り組んでいるプロパーの中堅従業員を2019年に役員へ昇進させました。

従業員の知識・技術力を維持・向上させるためには、認定制度といった評価基準の明確化や資格取得の支援、研修の実施等、教育体制の確立が必要不可欠だと考えています。これらの取り組みを継続して実施することによって、従業員の知識・技術レベルの把握にもつながります。前述した教育体制により、知識・技術力を備えた人材が在籍していることこそ、自社の強みです。

毎年実施している「選抜者研修」および技能検定など資格取得の教育体制の取り組みが評価され、2020年に「東京都中小企業技能人材育成大賞」優秀賞を受賞しました。教育体制がしっかりしているという第三者の評価は、自社のPRにもつながっています。

当社では2023年に低圧電力用制御盤の設計製造を行う企業と資本提携を締結しました。そこで2024年5月に新たな経営計画や人材育成に関する方針についても検討していますが、人材育成に注力する姿勢は変わりません。今まで行ってきた選抜者研修のテーマや内容などを見直しながら、引き続き実施していきます。

当社の製品は人命や環境に関わる重要な役割を担っており、100年企業を目指して存続していかなくてはなりません。その大きな鍵は人材育成にあると強く考えています。

継続した人材育成で知識習得・技術力向上を実現し、外部の信用度向上につなげる

POINT
  • 事業に係るリスクを分散させ、新たな分野への展開を行うため、従業員の育成は不可欠
  • 経営方針に基づき、毎年研修テーマを設定。テーマに合った従業員を選抜して行う研修は、様々な業務に活かすことができ、従業員の知識習得・技術力向上にも寄与する。
  • 従業員に業務に関する国家資格を取得させることで従業員の自信につながるだけでなく、技術力を外部へアピールできる。
  • 強固な教育体制を継続することは自社のPRにも効果的。

企業情報

会社所在地:東京都世田谷区経堂3-30-10
      工場:栃木県那須烏山市宮原32-1
電話:03-3425-2381
従業員:31名
創業:1963年
資本金:2,500万円
web:https://www.tanaka-e-lab.jp/
2024年2月時点