導入企業事例

導入企業事例

現場の効率化(IT,IoT,スマートグラスなど) 販路拡大(ユーザーボイスの活用など) コミュニケーションの促進(情報の共有)
株式会社平沢製餡所

株式会社平沢製餡所 代表取締役社長 平沢 公教

製菓製パン業界に最も合う餡を
提供する老舗メーカー

衛生管理と品質管理を徹底強化。
製造現場のチェック表を紙からタブレットへ

スマートものづくり
事例MOVIE

1現場で課題と向き合う

チェック項目を細分化するほど紙の枚数が増え、製造現場で水に濡れヨレヨレに

チェック項目を細分化するほど
紙の枚数が増え、
製造現場で水に濡れヨレヨレに

2010年に勤めていた飼料メーカーから祖父が創業した製餡業の当社に入社しました。その頃は目黒の町工場で年商2億5~6千万円、従業員は父や私も含めて10人程度でした。その後、工場は周囲の住宅地化が進んだため、移転することに。それが現在操業している横浜郊外の工場です。ここでは広いスペースと共に衛生管理に配慮した動線も実現。生産能力の向上を図ることができ、売上が拡大し従業員も増えてきました。私が社長に就任したのは2012年。2020年6月決算時で売上8億円、従業員数は30名弱となっています。お客様の要望に応じて配合などが異なりますので、当社で製造している餡は常時200~300種類はあります。
 一方で、時代およびお客様からの衛生管理のニーズは高まるばかり。当社では食品という人の体内に摂取される製品を製造するため、工場における衛生と品質の管理の徹底に常に取り組んできています。工程毎の衛生、道具や備品の状態、冷蔵庫の温度、出来上がった製品のチェックなどを行い、記録を保管しています。 2020年初めまでは各現場で担当者がチェックし、その場で結果を紙の用紙に記入していました。万が一トラブルが発生した場合に、その時の製造状況がどうであったか追跡(トレサビリティ)が必要なため、製造工程を出来るだけ細分化してチェックすることが求められます。そこで、チェックする工程を細かく区切り項目を増やしていくに従って、チェック表の紙の枚数は当初の数枚から数十枚にまで増加。しかも、餡の製造工場は、水を使うし蒸気や熱もあるため、紙だとすぐにヨレてシワシワになってしまい、それが異物混入となる恐れもあります。
 そんな時、思いついたのがタブレットの導入でした。いつも読んでいるビジネス誌の記事からヒントを得たのです。「チェック表を紙からタブレットに変え、現場で使いやすいものにする」というミッションを営業部の若手に与えたのが2020年春のこと。いずれやろうと思っていた課題でしたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で製造が落ち込んでいた時期でもあったので、今まで忙しさにかまけてできなかったことをやろうと士気を高めました。

2スマートものづくり実践

まずは自分たちでできることから。タブレット&表計算ソフトで始める

まずは自分たちでできることから。
タブレット&表計算ソフトで始める

この実践に取り組む営業部の若手は、新聞社から転職した私の末弟と信用金庫から転職してきた二人で、ITの専門家ではありません。タブレットは、防水防塵仕様のものを使うことにし、スマホ向けのアプリケーションを開発する考えでした。しかし実際には難易度が高く、しかも費用がかかりすぎるため、自分たちでできることからやっていこうと表計算ソフトを入れて使うことになりました。現場での作業と共にチェックする流れとしては難しい文章を書く必要はないので、タブレットの画面をタッチするとチェックボックスの1、2、3のいずれかを選べるのが基本のスタイル。現場での使い勝手が悪いと使わなくなってしまうので、とにかく使いやすさが第一条件でした。例えば、タブレットの画面は入力が必要なところ以外はどんなに触っても設定が変わらないようにロックしてあります。また、やってみてわかったのですが、履歴として残すにはチェックボックスの選択だけでなく、多少の文章記載が必要な箇所もあるのでそこはタブレットではなく紙に記入し、併用しています。
 使い初めは現場では恐る恐るだったのが正直なところ。タブレットを絶対に落とさないように気をつけることと、餡の原料や水分などが付着すると接触が悪くなるのでそれにも配慮する必要がありました。しかし、すぐに使い方に慣れたようです。あくまでもツールなので、製造現場の実情に即した形で改良を続けています。現在使っているタブレットは2台で、最初3万円で購入した中古のものと、10万円で買った新品。それが今回のIT化投資の金額ということになります。

3課題解決

単なるチェックにとどまらない。職人の知見にもIT活用を

単なるチェックにとどまらない。
職人の知見にもIT活用を

現場から楽になったという感想が多く出てきました。タブレットにより紙の枚数が減り、必要なものは紙に書けばいいということにしているので、記録がつけやすい。また、これまでは工場のスタッフが仕事を終えてから紙のチェック表を持って事務所に来て記入を確認してファイルしていました。現在は工場のスタッフは事務所にタブレットを持ってくるだけで、そのデータを事務所のスタッフがUSBに保存してその日の管理記録は終了。だいたい1人15分くらいかかっていた時間が不要になり、残業時間の低減に繋がり、結果的に働き方改革の一助にもなっていると思います。当然、衛生及び安全管理と品質管理の徹底も維持強化できており、企業の信頼も確立されていると自負しています。
 今後は、製造工程の管理だけでなく、出荷などの工程においてもタブレットによるチェック管理を横展開していきたいと考えています。製造の現場からは、単なるチェック用のツールにとどまらず、ベテラン職人にしかわからない餡の練り加減や最適な柔らかさなどの勘所を伝えるような動画や製造マニュアルなども見られるようなタブレットの活用をしたいというアイデアも上がってきています。また、社内のネットワークと繋げてファイル共有やリアルタイムで活用できるようなものにしたいという構想も。こうして現場をより活性化させていくことにより、人材採用、人材育成にまで成果が及ぶようなものにできたらというのが理想です。

相談する相手を見極めよう

相談する相手を見極めよう

 私はビジネス誌の記事からヒントを得てタブレット導入を思いついたと前述しましたが、実際に着手しようと思った時に相談したのは税理士の先生などではなく、当社のパソコンプログラムや伝票作成などをしてくれている業務系サポートの会社でした。今日では会社のオフィス環境としてコピー、ファックス、スキャナー、電話などが統合されているので、その整合性も含めて環境を考えられるからです。自社のことであっても環境のことは自分よりも彼らの方がはるかによくわかっています。さらに大手企業よりも彼らのような小回りのきく会社の方が多種多様な生の情報を持っているので、大変重宝しています。

企業情報

会社所在地:東京都目黒区上目黒3-42-25
工場:神奈川県横浜市都筑区折本町360-1
電話:045-472-0350
従業員:25名
創業:1950年
資本金:1,000万円
web:https://hirasawaseian.co.jp/
2021年2月時点