Andorinha
(アンドリーニャ) 代表 豊住 ハンナ芳恵
新たなアイディアで
修理の常識を変える
アコーディオンの部品製作業
- 製造、生産管理
- 顧客対応・営業
- 5名以下
- 販路拡大
- 自社技術、情報の発信・ブランド化
- 業務効率化・省人化・業務改善
- 技能伝承・脱属人化・人材育成
- コスト削減
- ハードウェア(機械、タブレットなど)
- 各種SNS(YouTube、Facebook、インスタグラムなど)
レーザーカッターの導入で、
修理期間の短縮・費用の低価格化を実現
SNSを通じて顧客は世界中へ
スマートものづくり
事例MOVIE
1現場で課題と向き合う
趣味のアコーディオンから蛇腹楽器の
修理環境の不便さを知る
現在はアコーディオンをはじめとする蛇腹楽器の修理部品を製作して、修理工房に納品する事業を中心に行っています。もともとはアパレル業界でデザイナーをやっていたのですが、華やかなデザイン業界を支えている職人さんに感銘を受け、2011年に洋服やアクセサリーなどの製作事業で独立しました。今でもアパレルの職人さんたちと仕事をしています。
以前、たまたま趣味でやっていたアコーディオンを修理に出したことがあります。その際、日本に部品がないため職人の方が海外から輸入するのですが、質が悪くて手直しをしているということを知りました。
たまたま、その部品を見せてもらったら自分の知っているアパレルの職人の方なら作れそうだと感じました。そこで、修理工房の方に詳しく伺ったところ、日本で手に入らない部品が国内で作れるようになれば今まで直せなかった古い楽器や良い楽器も直せるようになると聞きました。また、アコーディオンによっては140個のパーツが使われているものもあり、それを全て手作業でやっていたら修理に時間がかかります。
お客様から楽器を預かった部品をメジャーなどで計測して型紙を作り、素材となる木を糸ノコで削ったり、やすりで調整していました。そのため部品によっては1〜2週間ほどかかる場合もあり、演奏直前の急な修理に対応できないことも課題でした。
2スマートものづくり実践
経験を活かしレーザーカッターを
取り入れるが、
自分の思い通りに
操作できるようになるまで
1年を費やす
アパレルの経験から、一番修理頻度が高く木で出来ているアームと呼ばれる部分はレーザーカッターを使えば早く安くあがると考えたのです。しかし、そんな高額な機械を買う体力が自分にはないと考えていたところ、レーザーカッターを貸してくれていたアパレルの職人さんが「新しい事業に挑戦したい人を応援してくれるよ」と東京商工会議所を紹介してくれました。そこから、東京商工会議所の担当者と専門家が経営のサポートをしてくれ、レーザーカッター購入のための東京都が行っている受注型中小企業競争力強化支援事業助成金の申請書の書き方などを教えてくれました。その甲斐もあって、無事に申請が下り、500万円かかった費用の3分の2をこの助成金で補助。また助成金が入金されるまでの期間は、東京商工会議所のサポートで銀行からの融資を利用しました。
レーザーカッターの導入当初は、機械を自分の思い通りに操作することが大変でした。人間であれば言葉で説明すれば細かなニュアンスも汲み取って対応してくれますが、機械は設定したパラメーター通りにしか動かない。そのため、木はレーザーで切ると焦げ付くので焦げを出さないで切りだせる数値や木の種類や厚さによる変化など、試行錯誤を何度も繰り返し調整していきました。朝までに仕上げないといけないのに思い通りのものが出来ず、夜中の3時までやったことも。思い通りに操作できるまで、1年くらいはかかりました。
3課題解決
機械の導入により作業時間が
2週間から30分に短縮
さらには、コストも約1/10に削減
従来はアームの製作に2週間かかっていましたが、機械を導入したことにより現在は30分ほどでパーツが完成します。そのため明日が演奏の本番というときも、その場で交換・修理ができるようになりました。また、金額も安く対応することができ、以前は1つ1つの工程に時間も人件費もかかるためアーム1本で1万円くらいかかっていたものが現在は1,000円程度に抑えられるようになりました。今までは一番壊れているパーツだけ直していたのが、壊れそうな部分が10箇所くらいあるから一気に直そうと判断していただけています。
しかし、日本国内のアコーディオン人口は少ないので、事業として成立させるためには演奏人口を増やさなければなりません。
そこで、演奏や修理の教室を開いたり、アコーディオンや蛇腹楽器の総合的な情報を発信するwebメディアも開設しました。サイトは日本語だけでなく英語でも表記をしており、楽器修理のビフォー、アフターの写真を掲載したところ、海外からも修理に来てくれるようになりました。国内はTwitter、ヨーロッパ圏はFacebook、南米はInstagramを見ている方が多く、これらが使えない中国本土には台湾の方が口コミで広げてくれているみたいです。これからもアコーディオンを長く楽しんでいただける環境を作っていきたいと思います。
新しい技術を取り入れて、
次の世代につなげていきたい
新しい技術を取り入れることで、次にその仕事を担う若い世代が育っていくと思いますし、先人をリスペクトする気持ちも生まれてくるはずです。私も尊敬する職人の方が大勢います。なかには自分の代で終わりと言っている方もいますが、その方がいなくなったら作れなくなるパーツも数多くあります。自分の仕事が好きで誰かに引き継いで欲しい、この技術が素晴らしいと感じているならば、ぜひ新しい技術を取り入れてみてほしいと思います。
企業情報
会社所在地:東京都板橋区本町38-6-101
電話:3-6915-5933
従業員:1名
創業:2011年
web:http://jabaraparty.jp/
2019年2月時点