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導入企業事例

導入企業事例

廣田硝子株式会社

廣田硝子株式会社 代表取締役社長 廣田 達朗

業界の環境変化による苦境に対し、
変化を続けて乗り越えてきた
都内屈指の老舗硝子メーカー

  • 企画、設計
  • 受発注
  • 顧客対応・営業
  • 6名以上~10名以下
  • 販路拡大
  • 自社技術、情報の発信・ブランド化
  • 非対面・非接触への対応
  • ECサイト
  • 各種SNS(YouTube、Facebook、インスタグラムなど)

SNS活用により国内外のファンを増やし、
BtoB中心の事業からBtoCへ進出。

スマートものづくり
事例MOVIE

1現場で課題と向き合う

廣田硝子外観

業界が縮小する中、
国内外の展示会で活路を見出し、
情報発信を開始。

当社は1899年創業の東京で最も古い硝子メーカーのひとつです。私は20年ほど前に入社し、2007年に4代目の社長に就任しましたが、祖父や父が社長だった時代に比べて、業界の環境は激変しています。都内に20数社あった国産硝子メーカーは3社になり、当社は自社工場やハウスデザイナーを擁していた体制から大幅に変革。現在、製造は外部に委託、デザインは10数社のデザイナーに依頼し、商品企画・営業活動に注力しています。
 少人数の本社体制での営業活動として注力してきたのが、国内外の展示会への出展です。硝子は季節商品で、食器は1〜2月くらいに新作を出して春夏に向けて商談する流れが通常なので、コロナ禍の前は欧米での展示会にも積極的に出展し、展示会に合わせて新商品を発表していました。その際に、当社のことを知ってもらうためのツールとして、03年頃からウェブサイトを制作しました。従来、当社は百貨店や小売店とのBtoBの取引がメインでしたが、ウェブサイトを見て当社に足を運ぶ一般のお客様も増えてくるようになりました。BtoBだけの取引では受注にばらつきがあることを以前から感じていたこともあり、BtoCへの販売を本格的に行うべく、当社1階にあった商談スペースを2階に移し、1階には直営ショップ「すみだ和ガラス館」を開設。商品は、食器だけでなくペンダントライトや文鎮、砂時計など約600のアイテムを扱うようになりました。また、2012年10月にはECサイトも公開し、全国の一般消費者に向けて、販売ができる体制を構築しました。とはいえ、ただECサイトを公開しただけでは大きな売り上げに結びつくはずもなく、売り上げの約95%は依然としてBtoB向けのものでした。

2スマートものづくり実践

廣田硝子製品

硝子製品の魅力をいかに伝えるか、
そのツールとして
YouTubeやInstagramに挑戦。

ウェブサイト制作は制作会社に依頼し、これまで6回リニューアルしていますが、そこに新たなツールとしてYouTubeを取り入れたのが16年頃からです。写真だけでは伝えられない部分を動画で発信しようという意図で始め、外注しています。更新する頻度は商品発表などのタイミングによって不定期です。
 さらに、19年からInstagramも始めました。投稿用の写真は、当社の従業員が撮影しています。多くの方が利用しているアプリとして、非常に効果的だと感じています。20年からInstagramで始めた「夏のフォトコンテスト」は、個人の方から当社の硝子商品を使った写真を投稿していただき、テーマごとに選考・表彰する企画で大変好評です。
 例えば、缶ビールは開けたら缶のままでも飲めますが、一手間かけて硝子のグラスに注ぐだけで格別に美味しくなります。唇に触れる味わいが違います。コンビニのデザートも同様で、カップのままではなく、硝子の器に盛るだけでグンと美味しく味わえます。そのような魅力をYouTubeやInstagramを活用して、多くの方に伝えたいと考えています。
 こうした取り組みをしているうちに、全く知らない方がYouTubeで当社の商品を使って、「こういう暮らし方が良い」という投稿をされ、それを見た多くの方に購入してくださったこともあります。
 また、ECサイトでは、20〜70代の幅広い年齢層のお客様がいることを認識できました。お客様から励ましのメッセージをいただくこともあり、BtoBでは得られなかったユーザーとのコミュニケーションが今後の展開を考える上での貴重な情報源にもなっています。
 私自身、元々はITに強いわけではありませんでしたが、なるべく時代の波についていきたい、偏見を持たずに色々挑戦していきたいという気持ちでYouTubeやInstagramを活用した魅力発信に取り組んできましたし、従業員も同様です。取り組んでいくうちに、「今度は墨田区内の古民家で商品を撮ってみよう」などアイデアも広がり、ワクワクしながら取り組んでいます。

3課題解決

廣田硝子YouTube

BtoCの売り上げが増え、
文化の担い手としての役割も果たす

コロナ禍の巣ごもり需要と相まって、ECサイトが好調です。そこにはやはり、ウェブサイトやYouTube、Instagramの効果が大きいと思います。最近の昭和レトロブームやかき氷ブームなども、当社商品のファンを増やす一助となっています。海外では、当社商品の販売を行う代理店が増え、海外輸出も増えました。もし、百貨店や小売店などとのBtoBの取引しかしていなかったら、コロナ禍で当社の売り上げは激減し存続の危機だったかもしれません。現在、YouTubeやInstagramで情報発信をする中で、新たなファンづくりの大切さを再認識しています。そうした取り組みの成果もあり、現在はECサイトと直営店によるBtoCの売り上げは全体の約20%にまで成長しています。
 当社の商品の特徴は、和テイストかつ個性のあるデザインや、手作業でしか生み出せない味わい、お客様の生活の中で使ってもらうことです。19年に墨田区から紹介され、柳宗理さんのガラス製品の復刻版を始めたところ好評で、今後も海外での認知度も高い、昔ながらのデザイナーの商品の復興にも努めていきたいです。
 おこがましいようですが、当社は単に硝子製品を提供するのではなく、人々の暮らしに豊かさをもたらす文化の担い手だという矜持もあります。さらに、社会に貢献するためにも、情報発信やコミュニケーションづくりなどを引き続き重視していきたいです。

プロへの依頼と社内スタッフの担当部分を使い分け、費用対効果を上手に図る

廣田硝子インスタ
  • ECサイトやSNSの活用でBtoCの取引が増えることは、BtoB取引時とは異なる対応やコミュニケーションを求められ慣れるまで大変だが、デジタル活用によって国内外にビジネスチャンスが広がると前向きに考えて、まずは挑戦することが大切。
  • ウェブサイトやYouTubeは、他の企業のものと見劣りせず再生回数を増やすような高いクオリティのものを作るためにプロに依頼、インスタグラムなど一般の人も手軽にやっているツールは社内スタッフで対応と、メリハリをつけて費用対効果を高めている。
  • 社内スタッフは、経験を積むほどに自ら撮影場所のアイデアを提案したり、クリエイティブな感性を磨いたりと成長しており、人材教育にも繋がっている。

企業情報

会社所在地:東京都墨田区錦糸2-6-5
電話:03-3623-4145
従業員:8名
創業:1899年
資本金:1,500万円
web:https://hirota-glass.co.jp/
2022年2月時点