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導入企業事例

導入企業事例

株式会社大塚楽器製作所

株式会社大塚楽器製作所 代表取締役 大塚 太郎

業界シェア4割、オカリナ普及の
一翼を担う老舗楽器メーカー

  • 顧客対応・営業
  • 11名以上~20名以下
  • 販路拡大
  • 自社技術、情報の発信・ブランド化
  • コミュニケーションの向上
  • 非対面・非接触への対応
  • ハードウェア(機械、タブレットなど)
  • ECサイト
  • 各種SNS(YouTube、Facebook、インスタグラムなど)
  • コミュニケーションツール(グループウェア、共有アプリなど)

メーカーからエンドユーザーへの
ダイレクトな情報発信にSNSを駆使

スマートものづくり
事例MOVIE

1現場で課題と向き合う

流通環境の変化の中で見えたメーカーのあり方

流通環境の変化の中で見えた
メーカーのあり方

約100年前に大正琴の弦製造から始まった当社は、ギター弦などの製造も手がけていますが、世の中と対峙しながら経営をしていくなかでオカリナ製造が事業の柱となりました。「NIGHT(ナイト)」というブランド名で展開し、現在、国内シェアの約4割を占めています。しかし、ここ20年くらいの間に取引先である問屋や楽器を取り扱う小売店の販売力や営業力が変化し、当社の売上は全盛期の6割にまで落ち込む事態に。これまでメーカーとして「いいものを作る」ことだけに専念すればよかったのですが、売るための流れも自ら考える必要を感じていました。そのためにはエンドユーザーが「大塚楽器のNIGHTブランドのオカリナが欲しい」と楽器店に足を運んでくれるような環境を作らないとだめだと思ったのです。
 私は4代目の経営者ですが、専務に就任する2009年以前から、エンドユーザーにダイレクトに情報を発信していく様々な企画に取り組み始めていました。2007年にコンサートと発表会をミックスした「NIGHTオカリナフェスタ」を開催しましたが、その準備段階でオカリナの先生方とのネットワークを作っていくなかで、双方向で発信できるコミュニケーションツールの重要性を実感しSNSに着目していました。

2スマートものづくり実践

SNSを用途別に活用して情報発信、社内でも少しずつIT化を進める

SNSを用途別に活用して情報発信、
社内でも少しずつIT化を進める

2012年に社長に就任してから、情報発信のツールとしてSNSの活用を広げていきました。イベントも情報発信の手段のひとつですが、限られた場所になってしまう。その点、SNSは空間を超えて自在に発信したりコミュニケーションを図ったりすることが可能です。イベント告知ならFacebook、エンドユーザーの皆さんの演奏などをフォローし広めることでオカリナを知ってもらうならTwitter、オカリナの演奏などより興味関心を高めてもらうならYouTubeなど、用途別に使い分けています。SNSは初期費用があまりかからないので、まずはやってみよう、やってだめだったら次を考えようという試行錯誤で進めてきています。
 また、社内のコミュニケーションツールとして、Chat workやDrop Boxを使って効率化を推進しています。ただ、大事なことは顔を合わせてミーティングする、製作の現場は高齢者が多く普段からスマホをいじっていないので社員全員に強制はしない。できることからやっているのがうまくいっているコツではないでしょうか。
 製作の現場では、サンプルの金型作りに3Dプリンターを導入する取り組みを始めたところ。オカリナは粘土で型を作り、何度も修正を重ねて、製造も手作業主体で、検品も吹く感覚を人がチェックしなければならないというアナログ的な工程ばかり。それに対して、作業を一定に細分化し、工程管理をIT化できるような試みも始めています。

3課題解決

減少していた売上を回復、ユーザーボイスから新商品を開発

減少していた売上を回復、
ユーザーボイスから新商品を開発

以前もエンドユーザーとのつながりを強くしようと新製品紹介などに紙媒体のDMを送付していましたが、郵送代を考えると送る回数や対象範囲を絞らざるを得ませんでした。それをメルマガやFacebookに替えたらコストがかなり削減でき、費用対効果を実感。Facebookは海外の方も多く見てくれており、ボーダーレスでNIGHTブランドのファンを増やせば、いずれ輸出も考えられるのではないかという手応えを得ています。ちょっとした発信をするにはTwitterで、できるだけ頻度が高い方が効果的なので私自身積極的にリツイートもするようにしていくなか、新たな交流も増えています。YouTubeではオカリナの演奏やミュ―ジックビデオ、新商品紹介、無料レッスンなどを展開。当社のECサイトで入門用のオカリナを購入し、当社のYouTubeで無料レッスンで学べるという従来なかった流れも実現しました。
 こうしたSNSのサポートには、大阪のパートタイムスタッフがホームページとTwitterの管理をし、オカリナ演奏を通じ知り合った奏者のベルギー出身の方が在宅勤務で映像担当として演奏などの動画配信などYouTubeを一緒に制作しています。いずれもオンラインで打ち合わせができるので、コロナ禍でも進めていくことができました。エンドユーザーの声からオカリナを掃除するブラシや、つけたままオカリナを吹けるマスクなども開発し販売に至っています。
 落ち込んでしまったオカリナの売上も現在、1 億円まで伸びました。BtoBの取引がメインではありますが、ゼロから始めたBtoCの売り上げも徐々に伸びておりECサイトも含めた直取引はオカリナの売り上げ全体の2割を占めるまでになっています。これは当社がSNSを駆使して回復し自力で生み出した数字とも言えます。今後はネット広告などにも挑戦し、BtoCの売り上げ拡大をさらに進めていきたい考えです。

SNSが使いやすくなっている今、
できることから始める一歩を踏み出そう

SNSが使いやすくなっている今、できることから始める一歩を踏み出そう

 SNSなどのITツールは随分使いやすく簡単になってきているので、まずは試してみることが大事。そして、できないことやわからないことは、誰かに聞いたりYouTubeなどで調べたりするのを厭わないのがポイントです。例えば Chat work の効果的な使い方などYouTubeでたくさん紹介されているので、それを真似しながらやってみればいい。最初は、会社の中でできる人たちから始めてみる。仕事として大きな成果を上げるためでなくてもいいし、事務連絡はメールの代わりにChat workにしようとか、そのくらい気楽な気持ちで、とにかく始めてみることが大切だと思います。そうやって代表的なツールを小さなグループで試していき、大丈夫となったら少しずつ広げていけば、ものづくりのIT化推進に繋がっていきます。

企業情報

会社所在地:東京都北区田端新町1-5-7
電話:03-3893-8422
従業員:15名
創業:1919年
資本金:1,200万円
web:https://www.ocarina.co.jp/
2021年2月時点