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導入企業事例

導入企業事例

ムソー工業株式会社

ムソー工業株式会社 代表取締役 尾針 徹治

未知なる素材の試験片製作で
研究機関を支える、
特殊なものづくり一筋。

  • 製造、生産管理
  • 顧客対応・営業
  • 間接業務
  • 11名以上~20名以下
  • 自社技術、情報の発信・ブランド化
  • 業務効率化・省人化・業務改善
  • コミュニケーションの向上
  • 稼働率向上・見える化(機械設備・人)
  • ECサイト
  • 生産管理システム、販売管理システム(製品・部品在庫管理、原価管理など)
  • その他

業務過多で時間が足りない
社長の悩みをIT活用で解決

スマートものづくり
事例MOVIE

1現場で課題と向き合う

1社依存の先代から
経営をバトンタッチされたが、
社長一人でフル回転し
ショート寸前。

1950年に私の祖父が創業した当社は、武蔵工業大学内で実験道具や実験機の手配など材料試験の支援を専門的に行う組織がつくられたことからスタート。現在まで、一貫して研究機関向けに実験用の試験片や試験治具、試験装置の製造を行っています。
 私は2010年に当社へ入社したのですが、先代の社長だった父の時代は、1社の取引先への依存が強い傾向にありました。それに対して危機感を抱き、経営方針の相違で父と度々ぶつかるようになりました。父はカーナビさえ拒絶するようなアンチデジタル派で、私がIT活用の提案をしても予算を取ってくれませんでした。仕方がないので、自社ウェブサイトの開設、紙の台帳による管理からExcelでデータベースを制作して転換するなど、私なりに自力でできることを進めてきましたが、1社依存の売上比率が60%から70%へとさらに強まるにつれて父子の争いは激化。その結果、2017年に私が事業承継し社長に就任しました。
 私は文系出身です。未経験の業界の当社に入社してから現場の仕事を必死で覚えて、知識や技術をコツコツと身に付け、ウェブサイトやデータベースの制作も自らインターネットで検索して調べて行ってきました。例えば、当社は以前、展示会で全く引き合いがなかったことから、新たな営業手段としてウェブサイトを開設。自分が研究者になったつもりで検索ワードや検索のしやすさを考慮し、SEO対策を実施し、次第に引き合いがくるようになっていきました。社長になってからも、自分で何でも調べてやってみるというスタンスは変わらず、当時従業員は6人いましたが、全員が工場で加工作業に専念し、それ以外の仕事は全て社長である私一人で担当していました。営業や設計、見積もり、納品まで。となると、時間が足りないのは必至で、休日どころか平日でもプライベートの時間など全くなく、ひたすら会社の仕事を一人で回し、それでも決算書を見る時間さえないほどの忙しい日々となったのです。「この状況を何とかしないと会社の発展は望めない」と危機感を覚えました。

2スマートものづくり実践

生産管理システム導入により
取引先を広げる営業に注力でき、
現場仕事を担う
従業員たちも楽に。

私一人で全部こなしている業務を効率化して時間を生み出し、その時間を営業に充てたい。その想いで取り組んだのが生産管理システムと営業支援システムの導入です。当社のような町工場の強みは、技術面だけでなく、営業面でも担当者がコロコロ変わらず、何年も前の案件でもすぐに分かるという点です。そのような顔の見える営業のために、社長の私の時間を捻出したい。そこで、ITを活用することにしたのです。
 具体的には、Techs-BKという生産管理システムとセールスフォースという営業支援システムを導入し、顧客管理や生産管理、デジタルマーケティングなどを展開しています。生産管理は、バーコードで誰がどんな仕事をしているかを、一括管理して製造状況を把握できます。見積もりの見える化もでき、その結果、どんぶり勘定からの脱却も実現しました。デジタルマーケティングでは、メールマガジンを配信した相手が、どのように当社のウェブサイトを閲覧しているかを把握できるようにし、コンタクトが取れたらメール返信を自動化できる仕組みで、顧客確保に繋がることが期待でき、営業の一助になります。
 こうしてトップダウンでIT化を始めたものの、なかなか社内に浸透しない焦りを感じました。そこで、従業員にシステム化によるメリットを提示して、理解を促進するように工夫。以前は1日の仕事を終えると従業員は日報を手書きし、それを社長が一人一人チェックするなど、時間が掛かっていました。しかし、IT化により、従業員たちが現場でバーコードを読み込み、作業の進捗を明確にすれば、日報を記入する必要はなくなり、1日の仕事の終わりがスムーズになります。また、セキュリティ強化など時代の変化により、昔のような飛び込み営業ができない現状において、ウェブサイトを活用することは自社の存在価値を高めることだとも話しました。
 さらに、新たな営業方法のひとつとして、20年4月から、日本初の機械加工サービスを商品とするECサイトを楽天市場にオープンしました。研究者は本来、研究に時間を費やすべきなのに、自分が必要としている加工サービスを依頼できる協力会社を必死に探している現状を憂えて、当社が試作開発に係る加工サービスを一貫して請け負う仕組みを提供することにしたものです。これにより、研究者の成果が実を結び、いつかノーベル賞受賞など我が国の活性化に繋がる支援になればと考えています。

3課題解決

幅広い取引先の開拓に成功。
今後は職人の育成に
IoTを活用したい。

私の入社当時は1社の取引先に大きく依存しており、掲載できる取引先は10社程度でしたが、現在の主な取引先は100社、掲載していない会社も入れると300社ほどに広がっています。こうした成果により、社内の雰囲気も変わり、ITの活用においても円滑なコミュニケーションが図れるようになりました。
 さらに、デジタルマーケティングの戦略的な分析により、これまで得意としていた鉄鋼関係の領域にとどまらず、新たに化学の領域で取引先を広げられる可能性を見出し、その取り組みを始めたところです。この実現によって、当社の売上構成は一層多彩になり、取引先のリスクが分散されていく見通しです。
 そして、5年後10年後の世界および日本を見据えると、他に先駆けて開発に要する期間をいかに短縮していくかという開発の最速化がキーになると思っています。それに対応できる企業として当社が生き残っていくには、世界最速の教育が必要です。従来一人前になるには5〜10年かかると言われている金属加工の職人の技術を1年でできるようにしたい。そこにはIoTを活用し、熟練の職人技術の暗黙知を見える化することで、若手に承継できるようにしていく仕組みを考えています。当社は10人規模の企業ですが、だからこそITを活用することによりキャパシティや可能性を広げられるのだと確信しています。

文系出身の私にもできたITへの挑戦。苦と思わず、あえて楽しんでやれば試行錯誤を乗り越えられる。

  • インターネット上には情報が溢れ、本も手軽に入手できる時代。そういう意味では挑戦し放題の環境だと前向きに捉える。
  • まずはできることからやってみる。その先が難しかったら一旦やめてもいいし、業者に頼んでも良いと線引きを決めておけば、気楽に挑戦できる。
  • 従業員にはIT化による自分たちのメリットを理解してもらうことで協力を取り付ける。

企業情報

会社所在地:東京都大田区京浜島2-13-9
電話:03-3790-0666
従業員:11名
創業:1950年
資本金:1,000万円
web:https://muso-technologies.co.jp/
2022年2月時点