昭和印刷株式会社 代表取締役 田村 耕作
地域に根ざし、顧客ニーズに
きめ細やかに応える老舗印刷企業
- 製造、生産管理
- 11名以上~20名以下
- 販路拡大
- 業務効率化・省人化・業務改善
- ミス削減・不良率低減
- 品質向上
- ハードウェア(機械、タブレットなど)
従来の目視検査や手作業を自動化。
品質向上とともに売上を伸ばす
スマートものづくり
事例MOVIE
1現場で課題と向き合う
保険料納付書印刷の新規受注から始まった
試行錯誤の日々
私は大学卒業後、食品関係の会社に勤めていましたが、1998年24歳の時に当社に入社しました。しかし、印刷業界を取り巻く環境は厳しく、オフセット印刷の需要は時代の変化とともに激減しており、飛び込み営業をしながらどうしたら人から求められる印刷物ができるだろうと考える日々を過ごしていました。
2008年頃、コンビニで、バーコード付き納付書で介護保険料を支払っている方を見かけました。自治体は、被保険者の在宅確認も含め郵送・納付する仕組みのため、確実な印刷需要が見込めると思いました。当時の新規開拓先のひとつに区役所があり、そこにチャレンジしようと、提案に伺いました。この仕事は納付者の氏名、住所などが記載された納付書などの個人情報を扱うので、まず社内体制を整え、安心して発注してもらおうとプライバシーマークを取得。江戸川区の印刷業としては第一号でした。次に、区役所でバーコードを読み取るプログラムをテスト的にやらせてもらいました。システム独自の文字コードをユニコード変換する、外字を取り込むなど、初めて経験することばかりで試行錯誤を嫌というほど繰り返し、やっと区役所の介護保険料の納付書の仕事が受注できるようになったのです。この受注により、保険料の納付書、封筒、中に入れる通知書などが印刷できるので、オフセット印刷機が動かせるニーズが生まれました。
ところが、なんとか受注できたものの、その先も課題は山積みでした。当時の印刷機では保険料の納付書の用紙に印字のズレが発生してしまう。封筒印刷においては連続給紙ができない、封筒に直接宛名印字ができない、1枚1枚異なる内容を印刷するバリアブルカラー印字に未対応、という3つの課題が発生。さらに、封入封緘作業で宛名と中身が違うようなミスを防ぐために、人間の目や手によるチェックで何とか対応しましたが、限界を感じました。
2スマートものづくり実践
徹底したミス防止に向け、
人の力だけに頼らない自動化の推進
公的な納付書という重要な印刷物を扱う仕事なので、ミスは許されない。当社が仕事を得られたのは顧客が当社だったら任せられると判断してくれているからだと思うと、絶対にそれを裏切るわけにはいきません。
人的作業の限界を感じて、2010年からは「ものづくり補助金」を活用して、封入封緘機を購入。これまで3回の補助金を得て、3台購入しています。現場から「こういう機械が欲しい」という声が上がってきたり、私がお客様との話からニーズをキャッチした中から、必要な機械を選択してきました。
高速モノクロオンデマンド印刷機、封筒対応カラーオンデマンド印刷機を導入したことにより、前述の封筒印刷の3つの課題を解決。さらに、全ての出荷物について検査結果データを管理・記録し、万が一ミスが生じて顧客から問い合わせがあっても確実に発生箇所が確認でき、原因を把握できるよう、自動検査装置付きの自動封入封緘機を導入しました。こうして、ログ検査、封入内容確認、フラップ(封筒の蓋)検査、郵便番号区分け、発送者が死亡や脱退した際に発送中止するために該当の封筒を引き抜ける作業まで全ての工程で自動化を達成しました。
入社20年になる当社のベテラン社員も、新しく導入した機械を使いこなして、高品質の製品を納品できることに誇りを持ってくれているようです。
3課題解決
大切な情報を任せることができる
企業として、
信頼を獲得
新規開拓にもつながる
現在、自治体と大手企業の健康保険組合から受注する保険料納付書関係の封入封緘事業は売上の約5割を占めるまでに成長しました。また、大手企業の健康保険組合からの仕事は、担当の方が実際に当社工場を見学に来た上で自動検査装置付きの自動封入封緘機などの設備や個人情報の取り扱い、社内体制などを確認し安心していただいたことが、新規契約につながりました。
当社では、個人情報を扱うPCと印字機はネット回線には繋いでいません。ネットに繋いでいないのでハッキングも不可能。個人情報を取り扱うため、効率性とセキュリティの両方を重視しています。
今後は、郵送物ごとに封入するチラシ・DMの種類を変更できるような機械の導入を考えています。当社は印刷にとどまらず、封入封緘や仕分けなどお客様のニーズがあればとことん対応できる企業を目指していきます。
常にお客様の立場から考え喜ばれるために行動を
かつて新規顧客の開拓に駆けずり回っていた頃は、ビーチフラッグスみたいだと感じていました。ビーチに旗が3本立っていて、それを10社で安さを武器に競争して取りに行く。そんな競争を続けていても意味がないと思います。ふと沖を見ればそこに旗があるかもしれない。私は競争することが目的ではなく、旗を取ること、つまり利益を生み出し社会に還元することが目的だと考えていたので、沖の旗を見つけました。視点を変えると仕事が見つかります。当社の営業は私を中心に、お客様が何を考えているか、お客様がいいと思うものは何かを常に考えて行動しています。
いいと思ったらまずはやってみればいい。挑戦してそれから次を考えたっていい。お客様の立場になって、本当に喜ばれるものを見出すことが重要だと思います。
企業情報
会社所在地:東京都江戸川区中央3-19-20
電話:03-3653-9256
従業員:12人
創業:1957年
資本金:1,000万円
web:http://www.showaprinting.co.jp/
2021年2月時点