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導入企業事例

導入企業事例

日進精機株式会社

日進精機株式会社 代表取締役社長 伊藤 敬生

オープンイノベーションで
見える化に取り組む
金型製作メーカー

  • 製造、生産管理
  • 保全、保守、点検
  • 101名以上~
  • 業務効率化・省人化・業務改善
  • 技能伝承・脱属人化・人材育成
  • 稼働率向上・見える化(機械設備・人)
  • センサー・カメラ

機械のトラブルを事前に検知する
音センサーを用いた
IoTツールを開発

スマートものづくり
事例MOVIE

1現場で課題と向き合う

コストの安い海外との戦い、職人の暗黙知を見える化する必要性

コストの安い海外との戦い、
職人の暗黙知を見える化する必要性

当社は自動車や精密機械などのハイテク部品の金型・プレス製品を製作しています。2008年のリーマンショック時には売上が半分以下になるなど大打撃を受け、また、現場で作業する職人の高齢化に伴う技術伝承も課題としてありました。私たちの業界では、プレス機械を操作している職人が音や匂いの変化を感じ取り、異常を事前に察知していました。こういった技術は簡単に身につくものではなく、長い経験を積み重ねて知識やノウハウとして蓄積していくもの。しかし高齢化に伴い職人と呼ばれる熟練の技術者が減ってしまいました。
 そのため、機械の定量的な管理が業界として課題になってきたのです。例えば、前回の使用実績をもとにプレス金型を耐用できるショット数を100万回と決めたら、100万ショット毎にメンテナンスを行わねばなりません。しかし条件が異なり200万ショット生産できるケースもあるかもしれません。そうすると200万回プレスできるかもしれない金型を100万回しか使っていないケースがでてくる。またその逆に50万回で不良品を生産してしまうこともあるかもしれません。その結果、生産性が下がってしまい、コストの安い海外のものづくりと勝負にならない。生産性を最大限に高めるため、機械をギリギリのところまで稼動させないといけないと考えました。

2スマートものづくり実践

職人が機械の異常を感じ取っていた音に着目システムメーカーと異常検知システムを開発

職人が機械の異常を
感じ取っていた音に着目
システムメーカーと
異常検知システムを開発

昨今のデジタル革命により、ラズベリーパイと呼ばれる制御コンピュータなどが安く購入できる時代になっています。ギリギリまで生産性を向上させるために出来ることは無いかを考え、私たち職人が機械の異常を音で察知していたことに着目しました。プレス機に音センサーを取り付けて機械から出る音の周波数の波形をとり、良い音と悪い音を聞き分けるシステムをシステム会社と開発しました。センサーがプレス音を集音し、過去の音とクラウド上で比較することで異常予兆を検知できるというものです。
 2016年から開発を始め、約1年間に渡り音を聞き分けるためのデータを取り続け、集音の精度を高めていきました。また、機械の稼働を確認する加速度センサーも導入。2つのセンサーのデータをクラウド上に集約し、加速度センサーが止まったところと音センサーの周波に異常があった時間を照らし合わせることで、稼動停止した際に、どのような音の変化か、停止の前にいつから始まっていたのかなど、機械異常の解析に役立つと考えたからです。

3課題解決

機械の異常が事前検知できるように新しい事に挑戦する気風が広まる

機械の異常が
事前検知できるように
新しい事に挑戦する気風が広まる

システムが完成すると、今までは熟練の職人しか感じ取れなかった音の異常を事前に検知できるようになりました。誰でも刃先の摩耗や製品のバリ発生などのトラブルを事前に検知できるため、不良の予防も容易になりました。また、プレス機械の稼働率向上にもつながりました。
 まだ具体的な成果を図れていませんが、概ねプレス金型の使用回数を5~10%上げることにつながったと思います。以前は担当者が機械を稼働したまま現場を離れ、作業が終わった頃に確認に行くと、不具合で機械が止まっているケースもありました。異常が起きた際は現場の担当者にメールなどで通知するシステムを搭載しているため、作業時間の遅延も改善。こうした新しい事に挑戦していくと、自発的に行動する従業員も増え、社内の雰囲気も良くなってきました。現在は作業日報の電子化にも取り組んでいます。電子化することで異常検知システムとクラウド上での照合が可能となり、機械停止の原因解析の正確性がアップするからです。また、作業や原価管理の効率化も、さらに進められると確信しています。


 従業員と日頃から積極的にコミュニケーションを取り、意志疎通を図ることが大切だと思います。失敗しても叱らずに、失敗した従業員から再び意見が出るような、チャレンジできる環境を作ってあげることが大事。全体を見る立場の人間がしっかりとマネジメントをして、世の中で新しい技術が出たり活用できるものが何かを知ることが必要だと思います。また、私たちは自分たちの持っていない技術は、オープンイノベーションにより補完しようというスタンスです。これからも様々な業種と一緒になって取り組んでいくことが大事だと思います。

企業情報

会社所在地:東京都大田区多摩川2-29-21
電話:03-3758-1901
従業員:900名
創業:1957年
資本金:8,475万円
web:http://www.nissin-precision.com
2019年2月時点