東商の活動

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~事業承継パネルディスカッション~「後継者が伝える『従業員承継』とは」を開催

2018年6月18日
東京商工会議所
ビジネスサポートデスク(東京西)
真剣に語るパネリスト

真剣に語るパネリスト

 ビジネスサポートデスク(東京西)では、2018年6月18日に3年以内に従業員の中から事業承継を経験した現役経営者2名をお招きし、「経営者が後継者に伝えておいてほしいこと」や「事業承継後に苦労したこと」などの生の経験談を会員企業の経営者・後継者に伝えていただく、パネルディスカッションを開催しました。

 当日は、ビルメンテナンス会社経営の佐藤健一社長、システム開発会社経営の大井健一社長から貴重な実体験に基づく話を披露いただだき、参加された方々からも、「自社の事業承継について改めて考えさせられた」、「専門家による事業承継セミナーと一味違う話を聞くことができた」などの感想の声が寄せられました。


【パネリストの事業承継の経緯】
 佐藤社長 : 26年間従業員として勤務し、取締役に就任。
        前代表者から明言されなかったが、いずれ経営を引き継ぐという雰囲気はあった。
        2年前に前代表者が倒れたため、急きょ代表者となった。
       ⇒『突然、代表者として会社を背負うことに』

 大井社長 : 5年前に中途入社するまでは、自社と異なる業界で勤務。
        元々、別に後継者として指名を受けていた人がいたが、退職。
        3年前に後継者指名を受け、引き継ぎを受けながら、昨年代表者になった。
       ⇒『ある程度、事前準備をしたうえでの代表者就任』

【パネルディスカッションでの話題】
1.事業承継の経緯
 佐藤社長からは、ビジネスサポートデスク(東京西)の支援を受けて、前代表者が取り組んだ「知的資産報告書」づくりに担当者として関わっていたことが、結果として自社の全容を理解するうえで、突然の承継にあたっても役立ったとの話があった。

2.事業承継することが決まった時の率直な気持ち
 大井社長からは、勤務年数が短く本業のシステム開発については専門性がなく、自社の舵取りに不安を感じた話が、佐藤社長からは「自分では無理」との気持ちもあったが、周りの従業員のことを考えると年長者でもある自分がやるしかないと思ったと、当時を振り返った言葉があった。

3.取引先や金融機関への引き継ぎ
 大井社長は、金融機関対応は元から任されていたため対応しやすく、営業面についても社内で分業されていて前代表者が抱えていなかったため、比較的問題にならなかったとのこと。
 佐藤社長は、当然の交代のため、引き継ぎはなかったが、金融機関には迅速に前向きに取り組む姿勢をPRすることから始めたとの話があった。

4.事業承継を進めるうえでの課題
 大井社長は、株式の自身への移転に多額の資金が必要になり、メインバンクの協力で乗り越えられたこと、佐藤社長からは代表者保証の引き受けや前代表者から自社への貸付金(代表者借入)への対応、その他財務面の対応が経営者として課題になったとのこと。

5.事業承継後に苦労した点
 大井社長は、技術面がわからないながらも、経営者として様々な決断・決定を行うことが大変で、単年や中期の経営計画に立ち返り、論理的に考えることが重要という点と、権限委譲の大切さについての話があった。
 佐藤社長は、就任直後から自社の預金が僅かで資金繰り対応に奔走したこと、前社長のご家族との信頼構築に注力した点を語った。

6.従業員承継をスムーズに進めるには。
 大井社長は、代表者が何でも行うのではなく、自分がいなくても事業が回る体制・仕組みづくりの重要性を、佐藤社長からは次の承継に向けて後継候補になる人にはマインド教育は早めに行うことや株式や財務に関して教えていくことが大切ではないかとの意見があった。


 その他に参加者からの質問への質疑も交え、90分のディスカッションは盛況のうちに終了しました。

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所
ビジネスサポートデスク(東京西)
担当 髙橋・山本
TEL 03-6279-0761