ニュースリリース
【中野支部】「中野区区内事業所アンケート」の結果について
東京商工会議所
中野支部
東京商工会議所中野支部は、中野区区内において、区内の事業所の活動状況や経営環境・直面している経営課題等を把握し、実態に即した企業支援策や産業経済政策の検討・地域活性化への取り組みなどに活用することを目的に、中野区、中野区商店街連合会・中野区しんきん協議会、中野中小企業診断士会と連携して標記アンケートを実施し、別紙の通り調査結果をとりまとめましたので、お知らせいたします。
【調査要領】
・対象:中野区内事業所2,400社(回答数:485社(回答率20.2%))
・期間:2023年2月中旬~2023年3月12日
・方法:WEB、FAXおよび聴き取り。
【調査結果の主なポイント】
コロナ以前と比較した売上見通し、収益見通しについて
○2023年の売上見通しについて、2019年(コロナ前)と比較して、同水準以上との回答が全体では63%であり、売上見通しが同水準以上との回答が全体平均を上回ったのは理美容業80%、医療・福祉業80%、情報通信業72%、貨物運輸業69%、不動産賃貸・売買業68%、サービス業(コンサル等)68%、旅客運送業67%、建設業65%である。
一方、売上見通しが減少との回答は全体の37%であり、全体平均を上回ったのは、卸売業47%、飲食業45%、製造業44%、小売業43%、サービス業(ジム運営・撮影所・広告代理店等)39%である。
〇2023年の収益見通しを2019年(コロナ前)と比較すると、同水準以上との回答が全体の58%であり、収益見通しが同水準以上との回答が全体平均を上回ったのは医療・福祉業79%、理美容業75%、情報通信業72%、旅客運送業67%、製造業67%、不動産賃貸・売買業64%、建設業60%である。
一方、収益見通しが減少との回答は全体の41%であり全体平均を上回ったのは、貨物運輸業54%、飲食業52%卸売業49%、小売業48%、サービス業(ジム運営・撮影所・広告代理店等)45%、サービス業(コンサル等)44%である。
〇区内事業所の全体の動向として、売上高はやや回復基調にあるも、『エネルギー、仕入価格の高騰』、『人材確保のための賃上げ』などによりコスト増となっていることに加え、コスト増分を価格転嫁で吸収できず、収益悪化している事業所も多く、厳しい現状がうかがえる。
直面している経営課題・事業への影響等について
○区内事業者の直面する課題として、仕入価格の上昇と回答した事業所は65%、エネルギー価格の上昇と回答した事業所は45%と、外部環境の変化による販売管理費の上昇が収益を大きく圧迫している一方、仕入価格等の上昇に対して、『価格転嫁できたのは50%以下』と回答した事業所は59%と価格転嫁が十分に進んでいない現状が伺える。また、こうしたなか、『返済負担が重い、または重くなる』と回答した事業所は51%と半数を超えており、収益の悪化が資金繰りに影響を及ぼしていること、収益改善が喫緊の課題となっていることが伺える。
〇人手不足と回答した事業所は、全体としては、30%だが、規模別にみると、0名~5名は17%、6名以上は45%と5名を超えると急激に人手不足との回答が多くなり、特に21名~50名では52%と半数以上の事業所が人手不足と回答している。人手不足と回答した事業所の理由をみると、72%が「求める人材からの応募がない」と回答しており、業種別に見ると、不動産賃貸・売買業40%以外は全業種で50%以上の水準となっている。また、「賃上げを実施した・予定している」と回答した事業所は43%だが、うち67%の事業所が、2023年の売上見通しは、2019年(コロナ前)と比べて同水準または減少と答えており、売上が十分に回復しない状況下での防衛的賃上げをせざるを得ない状態となっている。
〇デジタル化投資をしたと回答した事業所は、全体としては22%だが、規模別にみると、51名以上の事業所では53%と半数を超える。また、デジタル化投資以外の設備投資をしたと回答した事業所も、全体として16%だが、規模別にみると39%であり、規模が大きいほど、設備投資が進んでいる。
〇業務プロセスの見直しをしたと回答した事業所は、全体としては、23%だが、51名以上の事業所では45%と、規模が大きいほど、業務プロセスの見直しが進んでいる。
中野区へ求める支援、政策・事業環境の整備について
○区内事業所が求めている「中野区の支援」は、全体としては、「制度融資の拡充などの資金繰り支援」が35%と最も多く、次いで「新規取引先・販路拡大への取組支援」、「人材採用活動に対する取組支援」となっている。一方、業種別に特徴をみると、中野区へ求める支援として、「新規取引先・販路拡大への取組支援」との回答が多いのは貨物運輸業で62%、「広報やマーケティングによる顧客獲得支援」は、サービス業(コンサル等)32%、貨物運輸業31%、飲食業29%の順で多い。人材育成支援については建設業が25%ともっと多く、人材採用活動支援については、建設業35%、貨物運輸業31%、旅客運輸業27%、情報通信業24%の順で多い。また、事業承継については、製造業29%、小売業27%、情報通信業24%の順で多い。
〇中野区による必要な事業環境の整備は、全体としては、「多様な政策を迅速に届ける環境整備」が37%、次いで、「経営全般について相談できる窓口の強化」が25%である。一方、業種別に特徴をみると、感染拡大に備えた感染予防対策の強化は、貨物運輸業23%、医療福祉業20%の順で多い。災害に強い街づくりの推進では貨物運輸業38%、不動産賃貸、売買業37%の順で多い。交通・物流のインフラ整備では、旅客運送業45%、貨物運輸業38%の順で多い。行政のデジタル化の推進では、サービス業(コンサル等)が40%、情報通信業38%の順で多い。産業立地に応じた柔軟な用途地域の設定では、貨物運輸業23%、旅客運輸業18%の順で多い。
〇全体として、全業種共通として、『仕入価格、エネルギー価格の高騰』、『賃上げ』、『価格転嫁』、『生産性向上』への対応としての資金繰り支援、販路拡大などの顧客獲得支援、多様な政策を迅速に届ける環境整備などが求められる一方、業種ごとに「求める声」に異なりがあることも伺える。
中野区区内事業所アンケート調査報告書
東京商工会議所
中野支部
TEL 03-3383-3351