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企業向け新型コロナウイルス対策情報  第53回 まん延期における企業内濃厚接触者調査の留意点 その2

2021年8月31日
東京商工会議所

東京商工会議所では、新型コロナウイルスが感染拡大する中、企業での対策に活用できる情報として、産業医有志グループ(※)より提供される「企業向け新型コロナウィルス対策情報」を配信(不定期)しております。

本対策情報は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)が作成し、和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。詳細は本ページ下部の「文責」をご覧ください。

健康経営倶楽部マガジン臨時号                2021/08/31
                     東京商工会議所 ビジネス交流部
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        企業向け新型コロナウイルス対策情報
  第53回 まん延期における企業内濃厚接触者調査の留意点 その2
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企業の経営者・担当者のみなさま、新型コロナウイルスのまん延期において、
保健所の対応能力がひっ迫しており、職場内で感染者が確認された場合、当面
は企業内での対応が求められる地域が増えています。

1.課題の背景:
本情報配信の第39回「まん延期における企業内濃厚接触者調査の留意点」
(1/25配信)にて、保健所が濃厚接触者調査の対象を重点化し、一般企業等で
の調査は行わなくなった場面で、企業としてどのように企業内濃厚接触者への
対応を進めるべきかについて解説しました。
これまでと大きく異なるのは、保健所での判断がなくなることです。このため、
だれかが企業内で判断をしなければなりませんが、産業医等の産業保健専門職
との連携のない小規模事業場では特に判断の目安が課題となります。また、過
剰な対応になりすぎないようバランスを考えていく必要もあります。
なお、これまで保健所が担っていた機能を、企業がそのまま担うということも
難しいことですので、「できるところまでやる」と割り切ることも必要です。
感染者数の拡大が続き、1月当時と同じ状況が起きている中、上記テーマにいく
つかの論点を追加し改めて説明します。


2.企業でできる対策:
〇感染した従業員に安心して療養してもらう
○「要管理者」を特定し、対応を行う
○企業内で「要管理者」を増やさないための感染対策を強化する

2-1.感染した従業員に安心して療養してもらう
感染したと従業員から報告があった場合には、まずは感染したことで会社に迷
惑をかけると心配になっている従業員を安心させます。また、生活物資や仕事
の残りなどなんらかの支援が必要か確認します。

2-2.「要管理者」を特定し、対応を行う
従業員の感染が確定した場合、まずは下記内容を当人から聞き取りましょう。
なお、接触の調査は感染拡大防止のためにお願いして行っているのであり、対
象者には調査協力への感謝をもって接するようにしましょう。くれぐれも感染
したことを責めることがないよう注意しましょう。また、従業員の行動を追う
のは「業務の範疇」にとどめ、休みの日や就業時間外に社内の関係者以外と何
をしていたのかなど、業務の範疇外の行動の確認は行わないようにしましょう。
また、その対象者に体調を確認するべく伝えてよいかを確認します。
本人の了承が得られない場合も、職場の感染拡大防止の目的であることを説明し、
なるべく了承が得られるように努めましょう。

<感染者した従業員から最低限聞き取る内容>
□発症日
□最終出勤日
□発症の2日前までに飲食、会話、会議をした人
※目安:1m以内で15分以上、マスクの着用は問わない

濃厚接触が疑われる該当者については、企業内では「要管理者」くらいの呼び方
とし、保健所が指定する「濃厚接触者」とは区別します。
 まずは広くリストアップして、あとは接触した時間などを考えて絞っていくこ
とが大事です。明らかに発症前日や発症後に会議をしていたり、食事をしていた
となれば「要管理者」になるでしょう。その他に、たとえば、打ち合わせをした、
マスクをしていた、車に同乗したなど様々な場面がありますが、個別に判断が必
要になります。例えば8時間一緒にいた人と15分いた人は違いますし、そこでマス
クを外して飲食していたかでも違います。総合的な接触の程度から優先度を決め
て、「要管理者」を決めます。
 「要管理者」と特定した従業員については、濃厚接触者が行政検査で陰性だっ
た場合に準じて、感染者との最後の接触から14日間、健康観察と自宅で過ごすこ
とを求めます。この間に症状があれば速やかに会社に報告するとともに、医療機
関に電話連絡の上で受診するよう促します。
現在、医療が逼迫していて検査もしづらい状況下にありますが、会社として「要
管理者」に検査(PCR検査・抗原検査)を実施する場合、たとえ陰性であってもそ
れで感染していないことを証明するものではないことに留意しましょう。
 自宅で過ごしてもらう期間、当該従業員の賃金の扱いをどうするか、悩ましい
ところです。自宅待機とした場合に賃金を減らす等の方法も可能かもしれませんが、
そうした場合に今後報告がされにくくなってしまう懸念もあります。テレワーク
が可能であれば通常の勤務扱いとできスムーズですが、テレワークが難しい場合
はこの機会にオンライン研修を受けてもらうことも一つの方法でしょう。

2-3.企業内で「要管理者」を増やさないための感染対策を強化する
感染者が出た場合、社内で「要管理者」を増やさないために、対策強化として企
業内で行うべきこととして下記項目があげられます。最初に判明した発症者が必
ずしも最初に感染したとは限らず、その方が社内の別の感染者から感染した可能
性もあります。このため、「要管理者」以外の従業員からも発症者が出る可能性
があることに注意が必要です。

□ランチなど飲食の場面では黙食とする
□会議はオンラインを基本として2人以上の会合は当面行わない
□電話の際は必ずマスクをする
□同僚等の車に同乗する場面をなるべく避ける

また、社内で感染者・「要管理者」が出た場合に事業継続がスムーズに行えるよう、
普段から業務内容の共有を行っておくことも重要です。

【文責】今井 鉄平(OHサポート株式会社)
※本文章は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成しました。
和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。

OHサポート株式会社(代表/産業医 今井 鉄平)では、経営者・総務担当者向けに必要な感染拡大防止策情報を随時配信しています。本情報は著作権フリーですので、ぜひお知り合いの経営者に拡散をお願いします。

また、動画配信も行っております。参考情報リンク参照。

※本情報配信に関するご意見・ご要望は、こちらまでお寄せください。
covid-19@ohsupports.com

※これまでに配信しましたバックナンバーは、参考情報リンク参照。

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所
ビジネス交流部 会員交流センター