ニュースリリース
企業向け新型コロナウイルス対策情報 第12回 喫煙所における感染拡大防止
東京商工会議所
東京商工会議所では、新型コロナウイルスが感染拡大する中、企業での対策に活用できる情報として、産業医有志グループ(※)より提供される「企業向け新型コロナウィルス対策情報」を配信(不定期)しております。
本対策情報は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)が作成し、厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けたものです。
詳細は本ページ下部の「文責」をご覧ください。
経営者・総務人事担当者のみなさま、喫煙所は新型コロナウイルス等の飛沫感染や接触感染の起こりやすい条件が揃いやすく、感染リスクが極めて高い場所です。
1.課題の背景
新型コロナウイルス感染症に関して、勤務先の喫煙室内でふだん違うフロアで働いている人と30分程度話したことがきっかけと疑われる症例が国内で見つかりました。
喫煙時はマスクを着けずに深い呼吸を繰り返し、喫煙室内では人同士が会話によるしぶきが届く距離に密集しやすいため飛沫感染の原因となります。さらに、ドアノブや手すり等を触った指でタバコを持って口にくわえるため、接触感染の原因にもなります。
また、日本呼吸器学会やWHOなどの情報によると、喫煙習慣や長期間の喫煙で起こりやすい慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease,COPD)がある人が新型コロナウイルス感染症にかかると重症になりやすいことが指摘されています。
受動喫煙防止を目的とする改正健康増進法の全面施行への対応を経験した企業も多いかと存じますが、今回はそれに加えて感染拡大防止の対策について解説します。
2.企業でできる対策
○飛沫感染を防ぐため、同時に利用する人数を制限し、喫煙所内にいる人同士の距離を最低1mは確保する
○接触感染を防ぐため、複数の人の手が触れる場所・物品を最小限にし、やむを得ない場合は拭き掃除・洗浄を行う
○屋内の喫煙室は、厳格な対策が取れない限り閉鎖する。
屋内外を問わず、まず取るべき対策は喫煙所内にいる人同士の距離を最低1m確保することです。具体的には、同時に利用する人数を制限する、可能であれば床に定位置をマーキングするといった方法が考えられます。
次に、複数名の手が触れる場所・物品を減らすこと、例えば各利用者が携帯灰皿を持参する運用にして共用の灰皿をなくす方法があります。他には「喫煙所の出入口へのアルコール手指消毒剤を設置」が考えられなくもないですが、医療機関でさえアルコール手指消毒剤が入手困難な状況下ではお勧めし難いです。
屋内の喫煙室では、設備面の対策の難易度が高くなります。例えば、受動喫煙防止のため換気扇で十分な換気をすると3密のうち「密閉」を防ぐことにもなる一方、換気扇の性能を最大限発揮するには喫煙室内の気積は最小限に、すなわち「密集」「密接」になりやすい状態にする必要があります。
さらに、出入口のドアノブ、照明や換気扇のスイッチなど、複数の人の手が触れる場所が屋外の喫煙所と比べて多くなります。これらの拭き掃除の頻度を増やすと、喫煙を目的としない清掃担当者が喫煙室内に入る頻度も増え、ウイルス感染と受動喫煙の両方のリスク上昇につながります。
屋外で自然に換気されるような場所であれば、出入口のドアは不要で、人同士の距離も確保しやすくなります。よほど厳格な対策が取れない限り、屋内の喫煙室は閉鎖し、屋外のみとすることが望ましいです。なお、全国的にも喫煙所閉鎖の動きは広まっています。
<関連情報リンク>
1)福井県 新型コロナウイルス感染症に係る記者会見(2020年4月7日)
※下部リンク(1)参照
※動画の37:15頃から(県内63例目に関する補足情報)
2)日本呼吸器学会 新型コロナウイルス感染症とタバコについて (2020年4月20日)
※下部リンク(2)参照
3)日本禁煙学会 全国の喫煙所・喫煙室の閉鎖状況
※下部リンク(3)参照
関連情報リンク
【文責】田原 裕之(産業医科大学 産業精神保健学)
※本文章は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成
しました。
厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生
(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。
OHサポート株式会社(代表/産業医 今井 鉄平)では、経営者・総務担当者向
けに必要な感染拡大防止策情報を随時配信しています。本情報は著作権フリー
ですので、ぜひお知り合いの経営者に拡散をお願いします。
また、動画配信も行っております。上部のリンク(4)参照。
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※これまでに配信しましたバックナンバーは、上部のリンク(5)参照。
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