政策提言・要望

政策提言・要望

雇用・労働政策に関する重点要望について

2025年9月17日
東京商工会議所
産業政策第二部

 日本商工会議所ならびに東京商工会議所(ともに、小林健会頭)はこの度、標記要望を決議しましたので、お知らせします。

 生産年齢人口の減少が進み、人手不足は中小企業の最大の経営課題となっています。また、深刻な人手不足と物価高騰を背景に、中小企業においても賃上げが進みますが、その多くが業績の改善を伴わない「防衛的な賃上げ」であり、持続的賃上げに向けた原資確保が不可欠です。
 日商・東商では、深刻な人手不足を乗り越えるため、採用のみに頼らない「3つのチャレンジ」(「省力化」・「育成」・「多様性」)を通じた「少数精鋭成長モデル」への自己変革を提案しており、デジタル活用等による省力化、公的職業訓練等を通じた人材育成、多様な担い手による多様な働き方の実現に向け、政府による強力な支援が求められます。また、専任の人事担当者や部署を置いていない中小企業が人的課題解決に取り組むうえで、地域の企業、商工会議所を中心とする支援機関、自治体等が連携・協働した「地域共創」による取組みを波及させていくことが重要です。

 こうした認識のもと、政府が取り組むべき雇用・労働政策について、本要望を取りまとめました。当所では本要望の実現に向けて、政府に対して働きかけて参ります。
 なお、本要望と同時に女性、外国人材、シニア、障害者等の活躍推進に関して「多様な人材の活躍に関する重点要望」をまとめていますので、あわせてご確認ください。

重点要望項目


【深刻な人手不足の中、中小企業の「少数精鋭成長モデル」への自己変革、自発的・持続的な賃上げへの力強い支援、「地域共創」による人的課題解決の取組み推進を】

1.「少数精鋭成長モデル」への自己変革に対する支援
(1)「省力化」への支援
 ○ 生産性向上に資する業務プロセス再構築への伴走型支援
 ○ 企業ごとの取組みレベルに応じたきめ細やかなデジタル人材育成支援
(2)「育成」への支援
 ○ 企業内の教育訓練・人材育成強化に資する支援
 ○ 働く人の能力開発を支える雇用保険財政の早期健全化、あり方の検討
(3)「多様な働き方」への支援
 ○ 働き方改革関連法の適切な運用、実態に則した形への規制の見直し
 ○ 時間や場所にとらわれない多様で柔軟な働き方の推進
 ○ 働く人の健康確保に向けた環境整備への支援

2.「地域共創」による人的課題解決の取組み支援
 ○ 「地域共創」の取組みに対する財政面、中核人材・ノウハウの確保、DX推進への支援
 ○ ハローワークなど公的支援機関による「地域共創」への参画・協力促進

3.自発的・持続的な賃上げへの支援
 ○ 賃上げに向けた生産性向上の取組み等に対する支援
 ○ 労務費を含む価格転嫁の推進と実効性の確保
 ○ 価格転嫁の商習慣の定着に向けた、消費者のデフレマインド払拭

4.最低賃金制度の適切な運用
 ○ 中央・地方の最低賃金審議会における法定三要素(生計費、賃金、支払い能力)に基づく熟議の徹底
 ○ 最低賃金引上げへの対応を機とする中小企業の生産性向上等の取組みに対する支援の拡充(業務改善助成金の予算拡充、各労働局での速やかな申請処理)
 ○ 企業経営や地域の雇用に与える影響に関する業種ごとの影響調査
 ○ 労働者の就労調整により中小企業・小規模事業者の人手不足につながる「年収の壁」問題解消

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所
産業政策第二部
担当 橋本、渡邊、其田、清田
TEL 03-3283-7940