「中小企業の経営課題に関するアンケート」調査結果について
東京商工会議所
中小企業部
東京商工会議所(小林健会頭)は、中小企業委員会(委員長:大島博副会頭/㈱千疋屋総本店社長)において、標記調査結果をとりまとめましたので、お知らせします。
中小企業委員会では、会員企業の経営実態に即した支援策の実現を目指し、例年、「中小企業対策に関する重点要望」を国、東京都をはじめ関係方面に提出しています。本調査は、各企業の業況や新たな取り組みのほか、省力化・業務効率化や価格転嫁など、中小企業が直面する経営課題を総合的に検証し、要望事項のとりまとめに供するため、23区内中小企業・小規模事業者を対象に実施したものです。
【 調査結果の主なポイント】
(1)売上・収益の状況(☞調査結果P8-11)
・本年1月~9月の売上高を昨年同時期と比較すると、「増加」の回答が44.8%と、「減少」の23.1%を21.7ポイント上回り、全業種において回復が見られた。
・前年同期(1月~9月)と比較したコストの状況について、「原材料・仕入費用」、「エネルギー費用」、「労務費・人件費」、「その他経費(運送費、広告費等)」全ての項目で、「上昇」と回答した割合は昨年とほぼ同水準の7割前後となり、昨年から引き続きコストが上昇している傾向にある。
・収益の状況について、前々期から前期にかけて黒字企業の割合が微増したが、今期の収益見通しにおいて「収支トントン」と回答する割合が増加。前期の収益状況を年度推移でみると、コロナ前と比較して赤字企業が約10ポイント増加している。
(2)成長に向けた新たな取り組み(☞調査結果P12-15)
・78.9%の企業が2020年以降に成長に向けた新たな取り組みを実施している。中でも、「人材の採用・開発・教育の強化」に取り組む割合が最も高い。経営戦略の策定有無別では、「策定している」企業において9割が新たな取り組みを実施している一方、「策定していない」企業は6割に留まった。
・新たな取り組みを実施した効果について、「販売数量・取引先の拡大」が41.4%、「競合との差別化」が35.9%となった一方、「販売単価の上昇」は24.8%に留まった。
・スタートアップと「連携・協業している」もしくは、スタートアップ製品・サービスを「活用している」企業は8.5%となった。現在は「連携や製品・サービス活用をしていない」企業も含め、36.9%の企業がスタートアップに関心を持っている。
(3)省力化・業務効率化(☞調査結果P16-18)
・省力化・業務効率化に向けた取り組みを実施している企業は79.6%。 内訳は、「デジタル活用」が36.9%をはじめ、DXにつながるプロセス改善の取り組みが約25%となった。また、取り組みを行う上での課題として人的な課題が上位を占める。
(4)資金繰り・経営者保証(☞調査結果P19-20)
・債務の状況について「債務過剰感あり」と回答した企業は36.5%。前期の収益が黒字でも23.2%が債務過剰感を抱えている。
(5) 取引環境(☞調査結果P21-24)
・価格転嫁の状況について、「4割以上価格転嫁できている」割合は、「原材料・仕入費用」が36.0%に対し、「エネルギー費用」「労務費・人件費」「その他経費」はそれぞれ25%程度となり、10ポイント近くの差が生じた。
・BtoCは価格転嫁が進まず、BtoBでは全ての費用で取引段階を遡るほど価格転嫁できていない。
(6)事業承継(☞調査結果P25-26)
・「後継者を決めていないが、事業継続したい」と回答した経営者が約34%となった。後継者・承継先として「自社の役員・従業員」をあげる割合は3割を超えた。
対 象:23区内中小・小規模企業10,000社
期 間:2024年9月20日(金)~10月11日(金)
回答数:1,447社(回収率14.5%)(うち小規模企業者645社(44.6%))
「中小企業の経営課題に関するアンケート」調査結果
東京商工会議所
中小企業部
担当 小野、三島、張替
TEL 03-3283-7724