「流通・サービス業における価格戦略および物流2024年問題に関するアンケート」調査結果(確報版)について
東京商工会議所
地域振興部
東京商工会議所 流通・サービス委員会(委員長=宮入正英・株式会社宮入社長)では、流通・サービス企業等の事業戦略の強化に向けて、価格戦略などの実態や、2024年4月から適用されたトラックドライバーに対する年間の時間外労働時間の上限規制(物流2024年問題)、およびトラックドライバーの不足等による東京都内の荷主事業者や運送事業者への影響と対応状況等を調査し、結果(確報版)を取りまとめましたのでお知らせします。
当所では本調査結果を踏まえ、「流通・サービス業の発展に向けた要望」(※)を取りまとめました。
今後も、流通・サービス業の発展を後押しすべく各事業の展開をしてまいります。
【 調査概要】
【目次】
〇直近の業績(規模別、業種別)について[2ページ]
〇価格転嫁状況(規模別、取引形態別、業種別、業績別)[3,4ページ]
〇賃上げ状況(規模別、業種別)[5,6ページ]
〇価格戦略(付加価値向上)の取り組み状況(規模別、業種別、業績別、取引形態別)[7,8ページ]
〇価格戦略(付加価値向上)の取り組み/目標とする価格以上で販売できている、安価な価格で販売している具体的な理由(取引形態別)[9,10ページ]
〇生産性向上への取り組み状況(規模別、業種別、業績別、取引形態別)[11,12ページ]
〇生産性向上への取り組み(具体的な内容)(取引形態別)[13,14ページ]
〇生産性向上への取り組みの効果、取り組みの必要性を感じる理由、取り組めない理由[15,16ページ]
〇政府の取り組みに対して特に期待すること[17ページ]
〇小規模事業者の状況[18ページ]
〇物流関連2法の改正に対する認識、想定される影響[19ページ]
〇物流2024年問題における影響[20ページ]
〇物流2024年問題に向けた取り組み状況(荷主企業)[21ページ]
〇物流2024年問題に向けた取り組み状況(物流事業者)[22ページ]
〇物流2024年問題へ向けて取り組めない理由[23ページ]
〇物流2024年問題への対応に関する期待[24,25ページ]
〇【東商事業紹介】物流2024年問題特集ページ[26ページ]
【調査結果(確報版)の主なポイント】
〇賃上げ状況[5ページ]
従業員数100名以下の企業において、「前向きな賃上げ」をした企業が24.0%、「防衛的賃上げ」が実施した企業が30.6%、「賃上げを実施していない」企業が33.9%であった。
賃上げ実施企業を100とした場合、56.1%が「防衛的な賃上げ」を実施しているものの、全業種を対象とした他調査と比較すると、「賃上げを実施していない」企業の割合が高く、中小 流通・サービス業においては防衛的な賃上げすら実施できていない。
〇価格戦略(付加価値向上)の取り組み状況 [7ページ]
商品・サービスの「付加価値を高める必要性を感じている」企業は、従業員規模に関わらず約95%であったが、従業員数100名以下の企業においては66.6%の企業が、「付加価値を高める必要性を感じているものの、目標とする価格より安価な価格で販売している」。
〇価格戦略(付加価値向上)の取り組み/安価な価格で販売している具体的な理由(取引形態別) [10ページ]
BtoB企業においては「競合が厳しいため、価格を据え置いている」が最も高く、次いで「取引先からの要請による」が高い。
BtoC企業においては、「消費者の低価格志向が強い」が最も高い。
〇生産性向上への取り組み状況 [11ページ]
「生産性向上の必要性を感じている」企業は、従業員規模に関わらず高いが、従業員数100名以下の企業においては42.6%が「必要性を感じているが、取り組みをしていない」。
〇生産性向上への取り組み(具体的な内容)[13ページ]
生産性向上の具体的な取り組み内容について、「人材確保、育成」は黒字企業では取り組んでいる割合が3割超だが、赤字企業では2割未満。
〇小規模事業者の状況 [18ページ]
4割以上の価格転嫁ができている割合が54.7%、「賃上げは見送る」とした企業の割合が約5割であった。
「価格戦略(付加価値向上)/生産性向上への取り組み状況」のいずれにおいても約3割しか取り組みができていない。
〇物流2024年問題における影響 [20ページ]
荷主企業における影響は「輸配送コストが上昇している」、「輸配送日数が伸びている」が上位にあがった。
物流事業者における影響は「ドライバーの採用難」、「人件費増加に伴うコスト増」、「売上の減少」が上位にあがった。
〇物流2024年問題に向けた取り組み状況 [21, 22ページ]
荷主企業の22.3%、物流事業者の46.6%が取り組みの「必要性を感じていて、取り組みをしている」が、荷主企業の37.7%、物流事業者の27.2%が取り組みの「必要性を感じているが、取り組みをしていない」。
〇物流2024年問題へ向けて取り組めない理由[23ページ]
荷主企業は規模に関わらず「自社内にノウハウがない」ことを理由に取り組みができていない。
【調査概要】
▽期間:2024年9月2日(月)~9月13日(金)
▽対象:流通業・サービス業関連事業者 13,277社(回答数:1,941社(回答率14.6%))
▽方法:郵送・メールによる調査票の送付、郵送・オンラインによる回答
▽回答者属性:卸売業:343社(19.1%)、情報通信業:319社(17.7%)、その他サービス業:309社(17.2%)、専門・技術サービス業:294社(16.3%)、小売業:214社(11.9%)、運輸業:128社(7.1%)、宿泊業・飲食サービス業:117社(6.5%)、生活関連サービス業・娯楽業:75社(4.2%)
▽従業員規模構成:5名以下:39.6%、6~10名以下:9.4%、11~20名以下:9.3%、21~50名以下:10.8%、51~100名以下:6.8%、101~300名以下:7.6%、301名以上:16.5%
(※)「流通・サービス業の発展に向けた要望」
東京商工会議所
地域振興部 観光・流通サービス担当
TEL 03-3283-7658