「事業承継に関する実態アンケート」集計結果について
東京商工会議所
中小企業部
東京商工会議所(小林健会頭)は、事業承継対策委員会(委員長:渡辺元・渡辺パイプ会長)において、中小企業の事業承継の実態を把握するため標記アンケートを実施し、集計結果を報告書に取りまとめましたので、お知らせします。報告書では、事業承継に取り組むうえでの課題を整理・分析するとともに、企業の声や取組事例、公的な事業承継施策の紹介もしています。調査結果のポイントは以下の通りです。
【 調査結果の主なポイント】
◇事業環境の変化と事業承継への影響(☞ 報告書P6-7)
・新型コロナウイルス感染拡大前と比較し、直前決算期の売上高の減少幅が大きいほど、「事業承継を後まわしにした」もしくは「事業承継を断念した」割合が増加している。
◇事業承継の効果(☞ 報告書P8-9)
・事業環境の大きな変化が伴う状況において、最近事業承継を実施した企業ほど新しい取り組みを行ない、また、利益では黒字の割合が高い傾向となった。
◇中小企業の事業承継の現状(☞ 報告書P10-11)
・後継者(候補含む)がいる企業は約5割。「後継者を決めていないが、事業は継続したい」企業は約3割。
・後継者との関係では、親族内が72.6%と高い割合を占めている。一方で、従業員(親族外)は27.4%。 後継者が従業員と回答した割合は3年前の調査より約8ポイント上昇している。
◇事業承継に要する期間(☞ 報告書P12-15)
・後継者候補を選定してから、後継者を決定するまで3年以上要した企業は約4割。後継者を決定してから事業承継完了まで3年以上必要な企業は約5割にのぼった。
・事業承継は時間がかかるものの、事業承継計画を作成している企業は2割にも満たない。
◇事業承継の課題(☞ 報告書P16-21)
・後継者(候補含む)がいる企業の事業承継の課題の上位3つは「後継者への株式の移転」(43.4%)、「後継者教育」(32.9%)、「従業員との関係構築」(32.7%)。
・自社の株価評価(相続税評価額)を過去に実施したことがない割合は約3割。
・後継者へ株式の移転を行う際の障害では、資金面で障害を抱える企業が多い。
◇事業承継税制について(☞ 報告書P22-26)
・後継者(候補含む)がいる企業において、事業承継税制を「利用・検討したことがある」割合は26.4%。
・「内容を知っているが、検討していない」企業(34.0%)の障壁として、「適用期限(2027年12月)までに事業承継を完了することができない」(23.9%)、「後継者候補はいるが、経営者としての人材育成が終わっていない」(32.9%)などがあがった。
・「事業承継税制を知らない」企業(39.6%)では、「後継者への株式の移転」よりも「借入金・債務保証の引継ぎ」に課題を抱えている企業が多かった。
◇事業継続に向けたM&A(☞ 報告書P27-33)
・「後継者を決めていないが、事業は継続したい」「自分の代で廃業する予定」の企業の約9割はM&A(譲渡)を検討したことがない。
・M&Aを検討しない理由としては「M&Aに対して良いイメージを持っていない」(26.5%)、「自社がM&Aの対象になるとは思えない」(24.6%)などがあがった。一方で、従業員10名以下の企業がM&A(譲渡)されていることも明らかとなった。
対 象:主に東京23区内中小・小規模企業10,000社
期 間:2023年7月14日(金)~8月10日(木)
回答数:1,661社(回収率16.6%)
東京商工会議所
中小企業部
担当 小野寺、小森、張替
TEL 03-3283-7724