東商の活動
金融部会講演会「世界経済・日本経済~これからの勘所~」(講師:中空麻奈氏)を開催しました
東京商工会議所
中小企業部
東京商工会議所金融部会(部会長=北山禎介副会頭・三井住友銀行会長)は10月12日、講演会を開催し、116人が出席しました。
当日は、講師にBNPパリバ証券 投資調査本部長・チーフクレジットアナリストの中空麻奈氏をお招きし「世界経済・日本経済~これからの勘所~」と題した講演をいただきました。
中空氏は、世界のクレジット市場の状況や、欧州のマイナス金利の影響などの観点から、欧州を中心とした金融市場の概況について説明。
世界のクレジット市場ついては、「現時点では落ち着いた動きを保っているが、直近のイタリア総選挙やアメリカ大統領選をはじめとし、来年にかけて選挙が続くことから、注視が必要だ」と述べました。
欧州のクレジット市場におけるリスクについては、①国際原油価格の下落に伴い、高利回り債のデフォルト(債務不履行)率が4%台後半と高く推移していること、②イタリアの不良債権比率が欧州の3分の1を占める高水準であり、2月に欧州連合(EU)と合意した不良債権処理スキームでは処理できていない状況など、欧州金融危機の可能性を挙げました。
また、欧州でのマイナス金利の影響に関しては、経済成長率への効果は薄いとしながらも、金融機関が生き残った理由として、受取利息の減少分を手数料収入の増加で補ったこと、コストの削減、貸出金利と預金金利との差が2%台を維持している点を挙げました。
日本経済については、財政再建の必要性に触れ、ドイツ・イタリア・ギリシャの財政再建のポイントにも言及しつつ、「財政再建ができない場合は、マイナス金利が続き、財政を使い続けるしか日本の景気がもたない」と協調しました。
最後に国内外の状況を踏まえた上で、「2017年は長い目で見るとボックス圏というゆっくりした動きになりそうだが、スプレッド(金利差)や株価に動きが出てくるので(運用資産の)リターンの上げ時や手じまい時をチェックほしい」と述べました。
参加者からは、「グローバルな視点でポイントとなるリスク要素を整理して理解することができた」「マイナス金利導入でも、日本と欧州では状況が違うことが分かった」といった声がありました。
今後も金融部会では、皆様のビジネスに役立つ情報提供をしていきます。
東京商工会議所
中小企業部
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