システムエンジニアリングサービス(SES)事業やシステムの受託開発を手掛ける株式会社イントロダクション(本社:新宿区大久保、社長:髙橋 勇也)。事業を通じたクライアントのデジタル化・DX支援はもとより、自社のDXにも積極的に取り組んでいます。


背景

 「日本で一番ホワイトな会社」を指針に掲げる同社では、社員や所属エンジニアのワークライフバランスの実現に向けて様々な福利厚生制度を導入しており、その一つに勤務中の食事補助制度があります。運用ツールとして外部のアプリケーションを使用していましたが、導入・運用コストが高い/利用可能な店舗が限られる/経理部門の負担が増える など、いずれも一部の課題を解決する一方で新たな負担を生む結果となっていました。これを受け、コスト削減と業務効率化を両立するために、Webアプリの自社開発に着手しました。


デジタルシフト・DXの取り組み

 開発基盤にはGoogle Cloud Platformを活用。同社ではGoogle Workspaceを基盤に使用しているため、システム間の連携を最大限に活かすことを目指しました。こうして作成したWebアプリにより、食事補助制度の運用に係る次の業務が効率化されました。

○AIによるOCR機能の強化
 これまでの、申請内容を手入力+レシートの原本を提出、というフローが、レシートの写真を撮って申請するだけに簡素化。最新の画像認証AIを取り入れてレシートの読み取り精度を向上させ、従業員が手で修正する手間はほぼゼロを実現しています。さらに、LINEから領収書を簡単に登録できる機能を追加し、より手軽に申請作業ができるようになりました。
○経理業務の効率化
 従前の運用ツールでは必須だった「毎月のチケット配布作業」がなくなり、申請承認後のデータを会計ソフトに連携するだけで完了。給与システムもGoogleを基盤に構築されているため、立て替えた経費情報が自動的に反映されることで、経理部門での還付作業が1時間→5分程度に短縮されたと言います。

アプリでの経費精算


生成AI活用の取り組み

 上述アプリの作成にあたり、ソースコードの作成に生成AI(Gemini/Googleが開発した生成AIモデル)を活用することで、「アプリ開発の経験が豊富でない社員でもスムーズに開発が進められた」と振り返る髙橋社長。エンジニアリング業務でも生成AIを有効活用し、大幅に作業効率が高まっているといいます。
 他にも、求人情報に掲載する内容のブラッシュアップや、人事評価基準を検討する際の壁打ちなど、日常業務の様々なシーンで生成AI活用に取り組む同社。月に一度社内で「生成AI研究会」を開き、使い方のレクチャーや業務活用のヒント出しの場を設けています。


生成AI研究会の様子


 またこのアプリにはAIチャットボットを搭載し、従業員の体調チェック通知、天気予報に応じた傘の持参アラートなどきめ細かな機能も。会議のリマインド機能と出欠未回答者へのフォローアップも可能で、従業員の業務負担を軽減。「日常生活をサポートする機能も充実させ、福利厚生の一環としても高い評価を得ています」
 現在、ビジネス用Webアプリ「DX-Touch」として社外提供も開始しています。今後は個々人のGoogleカレンダーとの連携、スケジュールを基にした交通手段・乗り換え情報の提案や遅延情報などのLINE通知機能など、順次新しい機能も搭載していきたいといいます。


デジタルシフト・DXの取り組む企業へのメッセージ

 「AI技術を取り入れた自動化により、これまで手作業で行っていた業務が大幅に削減され、従業員が本来の業務に集中できる環境を整えることができました」と髙橋社長。これからデジタル化に取り組む中小企業・小規模事業者こそ、まずは同社アプリのように少額かつ部分的に導入できるツールを活用して、業務効率化を実感してほしいと語ります。「どんどんと新しいツール・サービスが登場していますが、システム間の連携を最大活用するのがDXを進めるポイント。システムごとの特徴を理解しているITベンダーに相談しながら取り組むのが近道だと思います」


髙橋社長




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