丸和繊維工業株式会社(本社:墨田区亀沢、社長:深澤 隆夫)は、ニット製品の製造・販売、および、紳士、婦人、スポーツ、ゴルフカジュアルウェアのOEM生産を行う製造業です。
 2010年宇宙飛行士の船内普段着(ポロシャツ)の開発に成功し、採用された経験から、自社オリジナルのファクトリーブランド「INDUSTYLE TOKYO」を2011年に立ち上げました。東京本社のほか、青森県と福島県に自社工場、茨城県に物流倉庫を保有し、4拠点を中心に運営。東京本社にも縫製ラインを構えているため、企画から裁断・縫製、仕上げ、納品までスピーディーに対応できます。

デジタルシフト・DXの取り組み

 同社の取り組みについて、社内の「IT担当」として業務のデジタル化全般を担っている大衡さんと後藤さんにお聞きしました。

 私たちはIT担当も兼務しており、社内で生産管理等のDXを図りたいと考えていましたが、何から取り掛かれば良いか悩んでいました。その時、東京商工会議所墨田支部で開催する、IT担当者育成のためのセミナーの存在を知り、受講しました。
 同セミナーでは、プログラミング不要(ノーコード)のアプリ開発ツールを用いて知識を学んだ後、実際に自らアプリを開発することになりました。業務に直結するアプリケーションを開発することはすぐには難しいため、手始めに業務外のものから開発することに。2023年4月からアプリ構成や仕様の検討・開発を約2カ月かけて行い、同年7月にテスト運用を開始、9月に社内での運用をスタートしました。コストは制作者の人件費のみ。セミナー講師に相談しながら、「お弁当アプリ」「サンキューカード」を完成させました。

「お弁当アプリ」
 当社では、従業員に希望者に昼食のお弁当を手配しています。今までは、外部の弁当屋から、毎週メニューをFAXしてもらい、紙に印刷して社内で回覧、各従業員が弁当の要否や希望する弁当を記入していました。従業員が記入したメニュー表を担当部署が取りまとめ、弁当発注書を作成して弁当屋に発注していましたが、紙のメニューを回覧・取りまとめる作業に時間がかかっていました。そこで、「お弁当アプリ」を開発。従業員はアプリ上で、要否や希望する弁当を選択して送信します。取りまとめ担当者は、アプリのデータベース上で従業員の登録状況を確認でき、数量・種類を管理し、発注まで行います。

「サンキューカード」
 当社では2011年頃から、社内のコミュニケーションを図ることを目的に、紙版「サンキューカード」という取り組みをしていました。業務でお世話になった人やお礼を伝えたい人にサンキューカードを書き、社内のポストに投函すると贈りたい人に届く、という仕組みです。毎年の新年会で、送る側・貰う側両者に報奨金を渡しています。しかし、サンキューカードの取りまとめ・管理する部署の負担軽減が課題となっていました。
 そこで、アプリ化を検討しました。アプリ内で「(頑張っている人へ)いいね!」「(お洒落な人へ)グッドルッキン」等の項目を選び、メッセージを入力。PCや社用スマートフォンからも利用できます。アプリ化したことで、メッセージの通知や今までの履歴をすぐ見られるようになりました。また、アプリのデータをCSVデータに出力できるように設定し、管理部署の手間も省くことができました。アプリ化したことで、他部署とのコミュニケーション促進にもつながっています。

アプリ「MRW2.0」 「お弁当アプリ」と「サンキューカード」

デジタルシフト・DXの効果

 従業員に対して、朝礼等でアプリの目的・使い方を丁寧に説明したことで、アプリに対して抵抗なく、すぐ使い始めてくれました。「お弁当アプリ」では、管理部署の作業時間を大幅に削減することが可能となりました。「サンキューカード」では、アプリ化したことで流通数が、アプリ運用前の400枚(1か月あたり)から現在は600枚に増えました。社内でのデジタル活用やDXの理解が深まったと感じています。
 現在は、「MRW2.0」という社内管理アプリを開発・テスト運用し、今後はさらなるコミュニケーション向上につなげたいと考えています。「MRW2.0」では、社内掲示板の役割を担えるよう、会社・ブランドに関する新着情報や従業員の安否確認、社長へのQ&Aなど、機能を追加しています。

今後の展望

 今後は、すでに運用を開始しているアプリの機能・デザインを改善していくとともに、「デジタル版社内報」「社内勉強会」「生産管理」「店舗売上分析」といった、新たなアプリを開発し、社内コミュニケーション向上・生産性向上に寄与したいと考えています。
 常に自分で情報収集することが重要です。セミナーやイベントだけではなく、インターネット上の記事や動画、生成AI等、学べる機会は多くあります。社内の理解を得ながら、仲間とともに取り組めたらさらに進めやすいと思います。『前例がないからチャンスがある」、そう考えて邁進しています。

デジタル活用等を担っている大衡氏と後藤氏




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