事業承継事例

 墨東化成工業株式会社(本社:墨田区千歳、社長:老田勝)は、道路工事に用いる舗装材・建材類を扱う商社です。1910年の創業以来、専門商社として300社以上のネットワークを活かした調達・販売機能に加え、常温アスファルト合材の工場を有し、メーカーとしての製造機能も備えています。取引先には道路やガス・水道・電気等のインフラ工事を手掛ける企業も多く、「現場を止めない。」をモットーに、多様なニーズにスピーディーに対応しています。


墨東化成工業株式会社 本社



デジタルシフトの取り組み

 同社の取引先は、仕入先・卸先合わせて約500社、月間の取引数は3~4万件に上ります。顧客それぞれに合わせたきめ細やかな対応を行うためには、業務のデジタル化が不可欠との考えのもと、資材調達業務を支援するスマートフォン向けアプリケーション「BKK Navi(ボクナビ)」を2023年4月にリリースし、同社と取引がある土木工事業者に対して無料で提供しています。

①マップ検索機能:
 現在地や指定した住所から最寄りの合材プラント・建材店を検索できる仕組みです。元々調達部門で活用していたGoogleマップのデータをベースにしているため、指定地点からのルート検索も可能。取り扱い資材も表示される点に加え、試験管理表を取得できる資材情報のみを掲載することで品質も担保しています。マップ検索機能により、従来は営業担当が電話で個別にフォローしていた業務が利用者のスマートフォン上で完結。担当者の業務負担が大幅に軽減されました。また、アプリのため時間帯を気にせず情報が得られる点で、利用者からも好評を得ています。

②お知らせ機能:
 大型連休の案内や突発的な故障連絡、一時出荷停止情報・解消のお知らせなど、現場に必要な情報を発信する機能です。インフラ工事の場合、工期や作業可能な時間帯が厳しく定められているケースも多いと言います。「材料を取りに行ったのに臨時休業だった!」となれば大幅なロスに繋がってしまいます。そういったトラブルを未然に防ぐための情報を確実に受け取ることができるツールとして活用されています。

③予約・注文機能:
 建材の引き取り予約や生コンの依頼、当社商品の注文ができる機能です。従来は電話やFAXでやりとりしていた予約注文が簡易的に行えるようになりました。また、電話の伝聞では防ぎきれなかった受注ミスの削減効果も生まれました。


マップ検索画面(サンプル)


導入効果

 「BKK Navi」の導入により、資材調達に係る社内業務が大幅に効率化されただけでなく、アプリを利用する工事業者の利便性もアップしました。老田社長は「デジタル化というと自社が便利になる方向に考えがちだが、顧客も一緒に便利にならなければ意味がないですから」と語ります。また、元々の商売の流れに沿ってアプリ開発を進めたため、自社・取引先ともにリリース後すぐに実取引で活用できたこともポイント。双方が使いやすい仕組みとすることで、顧客定着の効果も見込めます。
 同社では他にも、LINEWORKSによる社内コミュニケーション促進・資料共有や、desknet's NEOを活用したスケジュール管理・ノーコード開発など、業務のデジタル化を促進しています。

今後の展望

「BKK Navi」については、現場の声を踏まえた追加機能の搭載も予定しています。また、AI OCR(AI技術を取り入れた光学文字認識機能)等を活用した、手書き伝票のデジタル化にも取り組みたいと意気込みを語ります。

代表取締役 老田 勝 氏




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