事業承継事例

 バキュームモールド工業株式会社(本社:墨田区墨田、社長:北澤 正起)は、プラスチックシートの真空成形用金型および抜型の設計・製作を行うメーカーです。食品包装容器等の薄物成形品から各種機器のカバー・看板等の厚物成形品まで、金型における生産を一貫して行っています。

デジタルシフト・DXのきっかけ・取り組み

 北澤社長は、2022年に墨田区が実施した事業後継者のためのビジネススクール「フロンティアすみだ塾」に参加。そこで知り合った株式会社セラピア(本社:墨田区向島、デジタル人材育成支援等を展開)の田中社長のDXに対する情熱に触発され、自社でもDXを取り組もうと決意しました。

 2022年10月、墨田区のプロトタイプ実証実験支援事業(デジタル化による区内中小企業の業務改革)に採択されると、セラピア社と連携した取り組みがスタートしました。

 まず、同社のDXを中心的に担う第1期「DXメンバー」を、社内の製造、営業、間接部門から10人(全従業員の約5%)選定。年齢やデジタルに関する知識の有無にかかわらず、今後に期待をこめた人財を社長・各部門長が選びました。中には入社して3ヶ月の社員もいました。

 同社がDXを進める武器として選んだのは、プログラミング不要(ノーコード)のアプリ・Web開発ツール「Adalo(アダロ)」。Webアプリ・スマホアプリの両方が作成可能で、極めて汎用性が高いツールであり、セラピア社の推薦も受けて導入が決まりました。毎週金曜日、13:00~16:00の3時間で、DXメンバーはセラピア 田中社長の指導のもと、デジタルの基本や「Adalo」の操作方法の学習を行うとともに、業務アプリの制作を行っています。社長の「現場を知っている人が痒いところに手が届く業務アプリを作る」という方針に従い、金型管理、物品管理、見積作成など、現場の課題解決に資するアプリの制作が行われています。


毎週金曜日の勉強会の様子

 このうち、チャットアプリ(コミュニケーションアプリ)は、1対1での連絡はもちろんのこと、グループチャットやプロフィールの設定も可能で、全社的な活用が期待できるものとなっています。これまで使用してきた市販チャットアプリはユーザー単位の課金であったため、本格導入されればコストの削減も期待できます。

 普段は製造に携わっているDXメンバーの1人、宍戸さんは次のように語ります。「アプリ制作では、予期せぬバグやレイアウト崩れなどが発生しましたが、メンバー同士で知恵を出し合いながら乗り越えました。従業員が使いやすいUI(ユーザーインターフェース)を目指して日々開発に取り組んでいます。」

 DXメンバーの取り組みは、他の従業員にも「DX推進プロジェクト発表会」という場を設けて情報共有しており、社内のデジタルに対する意識の向上もみられるといいます。

 2023年5月からの第2期では、第一期DXメンバーからリーダーを任命し、メンバー主体の会にするとともに、社内知名度を高める為に新たにDXメンバーを増員し取組みを進めています。当初の社長の想定以上にアプリ開発が順調に進んでおり、現在はアプリの社内での本格展開に向けて、アプリを使うための社給スマートフォンの配布準備を進めているといいます。

デジタルシフトを目指す中小企業経営者へのメッセージ

 デジタルシフト・DXを目指す中小企業に向け、北澤社長は次のように語ります。「デジタル変革は決して難しいことではなく、“やるか、やらないか“の決心の問題です。従業員への感謝の気持ちをもって旗を振れば必ずついてきてくれますし、何よりみんなが楽しんで取り組むことが肝要です。」

北澤社長(左)、DXメンバー 宍戸さん(右)




ぴったりDXのTOPページは こちら