事業承継事例

株式会社スリジエル(代表取締役:上霜考二、所在地:東京都文京区)は、2015年9月に洋菓子製造及び販売のお店として創業しました。文京区都営三田線春日駅から徒歩1分の立地で「Avranches Guesnay(アヴランシュ・ゲネー)」という店舗を構えています。行列の絶えない地域の人気店です。

お店の強みは、フランスで修行し複数の一流ホテルで豊富な経験をもつパティシエ(上霜考二代表)が創意工夫を凝らして、美しい作品ともいえる洋菓子を創造することです。また、妻である上霜優子氏が販売部門の責任者となって、お客さまに笑顔になって帰っていただくために、接客・サービスにも力を入れて営業しています。




現状と課題

コロナ以前は、100%店頭販売で売場に常時約20名程度のお客様が入り、生菓子や焼き菓子など好きなものを選んでご購入されていました。特に繁忙期であるクリスマスケーキの予約時期(11月1日~12月10日)には平均して通常時の130%以上の来客があります。

コロナ禍により入店人数を制限せざるを得なくなり、店外にはさらに長い列ができるようになりました。その時、店内では「①通常の販売」と「②予約受注作業」が行われ、特に「②予約受注作業」は、アナログ的な作業による入力・支払い・受渡しに、1件あたり5~10分の時間がかかっていました。上霜代表には、従業員の労務負荷が大きいため何とか改善したいとの強い思いがありました。

IT活用の取り組み

このアナログで時間のかかる「②予約受注作業」をオンライン化することで、接触機会の削減とお客様と従業員を守るために、ホールケーキ(クリスマスケーキ)の予約業務は100%『オンライン予約決済システム』に置き換え、販売の流れ(業務フロー)を大きく変更しました。

導入効果

オンライン化により、以下のようなメリット・効果がありました。

お客様と従業員のメリット



効果(1)オンラインを活用した販路拡大


新型コロナウイルス感染防止最優先で入店を制限して営業しているため、店舗の様子を見ただけで帰ってしまう方(見込み客のロス)が発生しましたが、『オンライン予約決済システム』の導入により、今年のクリスマスホールケーキ売上が減ることはありませんでした。

効果(2)労働負荷軽減による作業効率改善


①予約受注の入力業務がなくなったことで、担当者が製造業務の補助などに回ることができ、製造業務の負担軽減ができました。

②オンライン化にあたり代金の事前決済を導入したため、無断キャンセル時の未回収リスクの軽減と同時に代金の未回収と督促の業務もなくなりました。

③商品の受渡時にQRコードによる本人確認を導入したため、予約票と入力データとの突き合わせが不要になり、対面接客時間が大幅に減少しました。

効果(3)食品ロスの削減


今までは、予約の取り違え(サイズが違った等)や製造業務の繁閑調整の不備などにより食品廃棄がありましたが、お客様とお店の双方に予約内容が残るため取り違えの防止につながり、受注内容と在庫調整も改善しました。クリスマス時にキャンセルによるホールケーキの廃棄は発生しませんでした。

今後の課題と展望について

同社では、『オンライン予約決済システム』 導入時に、「QRコード提示に想定以上時間がかかる。」や、「オンライン決済が完了後の受取日の変更ができないことによる、電話対応などにより想定外の時間がかかる。」など当初想定していなかった課題も発生しました。今後この課題の改善を目指すほか、既存のECサイトに予約・決済システムを適用、再構築して、遠方で来店が難しい方も客層として取り込み売上げの安定、更なる業務改善と販路拡大を図りたいと考えています。これにより、「より魅力ある働きやすいお店作りを目指して、社員が一丸となって取り組んでいきたいです。」と上霜代表・優子氏は話します。

本プロジェクトの責任者 上霜 優子 氏




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