事業承継事例

日本のフードロス問題を解決したいという熱意で起業


株式会社クラダシ(本社:東京都品川区、代表取締役社長:関藤 竜也)は、社会貢献型ショッピングサイト『KURADASHI』の企画・制作・運営を手掛ける会社です。
同社は、日本のフードロス問題を解決したいという考えのもと2014年に創業し、SDGsが国連で採択される7ヶ月前の2015年2月に社会貢献型ショッピングサイト『KURADASHI』のビジネスを開始しました。

同サービスは、ECを活用し、フードロス削減への賛同メーカーより協賛価格で提供を受けた商品を最大97%OFFで消費者へ販売し、売り上げの一部を社会貢献活動団体へと寄付する日本初・最大級のプラットフォームであり、これまで累計5万品以上を取扱い、日本の食品ロスの削減に寄与しています。


関藤社長(左)、河村取締役(右)


創業当初から経営の核にITを活用

同社では、創業当時から経営の核にITツールを活用して売上向上に取り組んでいます。
創業当時、フードロスの削減に向けたビジネスモデルを模索する中で、ECサイトによる売り手と買い手のマッチングがベストな方法と考え、外部ベンダーの協力を得ながらECパッケージを利用してサイトを構築し、2015年2月にECサイト「KURADASHI」がオープンしました。


ECサイト「KURADASHI」


企業規模の拡大に追い付かず基幹システムを改善

その後、同事業が順調に業容拡大する中で、ECサイトのシステムが規模の拡大や技術の進展に追い付いておらず、拡大する対応業務を人でカバーするようになってしまいました。

フードロスの削減を目的としたECサイトという特性上、賞味期限が短い商品もあり、鮮度管理の観点から、多くのアイテムを1週間単位での管理とし、その翌週も販売する商品については、毎週ECサイトのアイテムページの複製作業が必要となっていました。その数は、平均で1週間200件程度にのぼり、スタッフの工数を取られていました。
また、ECサイトで注文を受けた後は、宅配便のWebサービスで出荷伝票を印刷、それを本社とは別の場所にある倉庫に送るという手間も発生していて規模の拡大に伴い負担が増大していました。

こうした状況の中、機械で代替できる仕事は機械に任せるという考え方のもと、ECサイトのシステムリニューアルと在庫管理システム(WMS)の導入を2020年5月に行いました。 その結果、商品入荷状況、在庫状況、出荷指示までをクラウド上で一貫して行うことができるようになり、従来1週間ごとの管理としていた商品の多くを1日ごとの管理とし、アイテムページの複製作業も自動化され、スタッフは販売戦略の立案や仕入などコア業務に専念することができるようになりました。

今後、同社では、スタッフの職人技で行っていた商品の値付けについてもビッグデータに基づいた自動値付けと、需要と供給のバランスにより値段を変動させるダイナミックプライシングの導入を検討しています。

守りのIT活用も積極的に実施

守りのIT活用として、クラウド会計ソフト「freee」を導入し、財務、人事・労務、ワークフローをすべて同ソフトで管理・運用できるようにしています。
昨今、クラウドサービスは多数出ており、財務システム、人事・労務管理、ワークフローそれぞれに様々なツールがありますが、重複する機能や費用が発生しないよう無駄がないように、極力導入ツールを減らすようにしています。

さらに、電子契約サービス「クラウドサイン」も導入し、スタッフに対する意識づけと合わせて、ペーパーレス化にも取り組んでいます。

日本サービス大賞をはじめ数多くの賞を受賞

同社では、売上向上という「攻めのIT活用」と業務効率化という「守りのIT活用」の双方によって、ECサイトで利用者数23万人以上、累計5万品以上の取り扱いを行い、同社のビジョンである「日本で最もフードロスを削減する会社」を目指して積極的に取り組み、その結果2020年第3回日本サービス大賞で農林水産大臣賞を受賞するほか、ここ数年数多くの賞を受賞し、フードロス削減の取り組みが認められています。

ITを活用に向けた意識改革が必要

同社の取締役・最高執行責任者の河村氏は、企業のIT活用について次のように語ります。

「行政のデジタル化が進む中で、より国全体でIT活用を進めていくためには、日本全体でITリテラシーを底上げしていかなくてはならず、企業の経営者も食わず嫌いをせずに経営課題の解決手段としてのIT活用を積極的に検討していくべきです。」

IT・デジタル化と聞いて拒否反応を示すのではなく、自社の経営課題の解決の手段として有用であることを認識して、積極的にIT活用をしてくことが今後ますます必要になってくると思われます。




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