「東京在勤若者世代の結婚・出産意識調査」結果について
東京商工会議所
東京商工会議所(小林健会頭)は、東京の将来を考える懇談会(座長:中山泰男 特別顧問・セコム㈱特別顧問)および青年部(会長:神谷智洋 (株)三共リメイク代表取締役)において、初めて都内事業者に勤務する若者世代の結婚・出産にかかる意識調査を実施し、結果を取りまとめましたのでお知らせします。
厚生労働省の人口動態統計によれば、2023年の東京都の出生数は86,347人と戦後最少となり、合計特殊出生率は0.99と全国で唯一1を下回りました。東京の将来を考える懇談会は、昨年11月に少子化対策を含めた要望を東京都へ手交する等、将来的な東京の成長にとって大きな障壁の一つとなる少子化の進行に強い危機感を持っています。東京都も各種施策を実施・検討しているところ、当事者である若者世代が真に必要としている施策を行うことが何よりも重要であることから、このたび当所として初めて本調査を実施しました。
当所では本調査結果を踏まえ、引き続き会員企業の少子化対策を支援するとともに、東京の将来に向けた要望として政策提言活動を展開することで、将来にわたる東京の成長を後押しします。
調査結果のポイントは以下のとおりです。
【 調査結果の主なポイント】
「いずれ結婚するつもり」の若者が約8割も、結婚の最大のハードルは「良い出会いが無い」。出会いの創出による未婚化対策に加え、結婚・出産・子育てに向けた「経済的な不安」の解消も重要。また、東京在勤者の過半数が仕事と子育ての両立を希望しており、東京の企業には共働きを前提とした採用・育成・働き方改革の推進、特に中小企業にはテレワーク環境の整備が期待される
1.結婚への意識
■独身者の78.7%が「いずれ結婚するつもり」と回答。既婚者を含めると結婚に前向きな若者は全体の86.1%にのぼる。勤務先企業規模が大きく、個人年収が高いほど結婚希望が多い傾向(p10-11)
■結婚のハードル・障壁は、「良い出会いが無い」が42.7%で最多。交際相手のいない独身者では67.3%が回答、「婚活が面倒(37.1%)」「異性とのコミュニケーションに不安・接し方がわからない(20.9%)」の割合も、交際相手のいる独身者に比べて非常に多い。独身者の男女別では、男性は「転勤や単身赴任の可能性(20.0%)」「職場に異性が少ない(19.4%)」が女性に比べて多く、女性は「家事や育児の負担増(29.5%)」「キャリアに支障がでる不安(17.4%)」が男性に比べて多い(p12-15)
■交際を考えるにあたって出会いの面であったらよいものとしては、「友人・知人からの紹介」が53.5%で最多、「信頼性が高くリーズナブルなマッチングアプリ」が42.5%で続く(p16-17)
2.出産への意識
■全体の76.4%が「理想的な子どもの数」は2人以上と回答。一方で「現実的に持てると思う子どもの数」が2人以上の割合は44.2%で、全体の55.7%が0人もしくは1人と回答。収入や勤務先企業規模が子ども数の理想・現実に影響しており、収入が多く勤務先企業規模が大きいほど数が多くなる傾向。年収300万円以下の場合、0人を理想とする人は24.6%にのぼる(p21-25)
■子どもを持つ場合のハードルは、「経済的な不安」が74.1%と他に大きく差をつけて最多。次いで「家事や育児の負担増(39.2%)」「自分の仕事へのパートナーの理解と家事育児の協力姿勢(33.7%)」など、共働き社会において増える負担とその分散にもハードルを感じていることが伺える。男性は「長時間の労働(36.4%)」「転勤や単身赴任の可能性(26.9%)」が女性に比べて多く、女性は「家事や育児の負担増(45.9%)」「キャリアに支障がでる不安(34.5%)」が男性よりも多い(p27-29)
3.働き方への意識
■結婚・子育てを想定した場合に望ましいと思う制度は「テレワーク」が61.2%で最多。テレワークの利用率は全体で38.8%のところ中小企業勤務者は25.2%と10ポイント以上低い。また、各種制度を「利用していない」人は全体で42.7%の一方で中小企業勤務者は57.0%と半数を超える(p31-33)
■週1回以上テレワークをしている人は全体の28.7%。勤務先企業規模が大きくなるほどテレワーク導入率が高くなり、テレワーク頻度も高くなる傾向(p34-35)
■育休取得経験は男女で大きな差が見られる。子どもがいる女性の80.5%が「半年以上」の育休取得経験がある一方で男性は3.8%、かつ男性の45.4%は「取得経験なし」。男性は中堅企業勤務者よりも中小企業勤務者の方が取得率が高いが、女性は反対の傾向(p37-38)
■今後の育休取得意向について、男性の76.1%は取得したいとの意向あり。男性の中小企業勤務者は中堅企業勤務者に比べて長期の取得希望者が多いが、取得しない人も多く二極化の傾向(p39-40)
■育休を取得する場合のハードル・障壁として、男性は「上司や同僚に迷惑がかかる(55.3%)」「顧客に迷惑がかかる(16.8%)」が多く、女性は「収入へのネガティブな影響(50.2%)」「キャリアへのネガティブな影響(32.7%)」が多く挙げられた(p41-42)
■自身が希望するライフコースは「両立コース(結婚し、子どもを持ち、仕事も続ける)」が男女ともに過半数を超え最多(男性77.9%、女性55.3%)(p43-45)
■結婚相手やパートナーに選んでほしいライフコースも「両立コース」が男女ともに過半数を超え最多(男性51.9%、女性70.6%)(p47-49)
■結婚・子育てを考えた場合に「都内に住みたい」人は全体の53.3%に留まる。首都圏外の地域出身者には「出身の道府県(首都圏外)に戻りたい(17.1%)」人が一定数見られる(p50-51)
<調査概要>
▽調査期間:2024年4月9日(火)~5月31日(金)
▽調査対象:東商会員事業者を中心とした都内事業所に勤務する 18~34 歳の男女(回答者数:2,198名)
▽調査方法:東商会員事業者および調査会社モニターへのWEBフォームの送付、回答
▽調査項目:結婚、出産、働き方
東京商工会議所
地域振興部
担当 都市政策担当
TEL 03-3283-7621