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「中小企業の経営課題に関するアンケート」調査結果について

2023年12月13日
東京商工会議所
中小企業部

 東京商工会議所(小林健会頭)は、中小企業委員会(委員長:大島博副会頭/㈱千疋屋総本店社長)において、標記調査結果をとりまとめましたので、お知らせします。
中小企業委員会では、会員企業の経営実態に即した支援策の実現を目指し、例年、「中小企業対策に関する重点要望」を国、東京都をはじめ関係方面に提出しています。本調査は、各企業の業況や新たな取り組みのほか、人手不足や価格転嫁など、中小企業が直面する経営課題を総合的に検証し、要望事項のとりまとめに供するため、23区内中小企業・小規模事業者を対象に実施したものです。このたび、付帯調査として国際展開(海外への販売・拠点進出等)に関する調査も実施しました。

【 調査結果の主なポイント】

(1)売上・収益の状況(調査結果P7-10)
・本年1月~9月の売上高を昨年同時期と比較すると、「増加」の回答が47.7%と、「減少」の21.3%を26.4ポイント上回り、全業種において回復が見られた。
・コストの状況について、本年1月~9月の「原材料・仕入費用」、「エネルギー費用」を昨年同時期と比較すると、「上昇」の回答が約75%、「労務費・人件費」、「その他経費(運送費、広告費等)」においても「上昇」の回答が約65%にのぼり、全てのコストが上昇している傾向にある。
・収益の状況について、前々期から前期にかけて黒字企業の割合が微増したが、今期の収益見通しにおいて「収支トントン」と回答する割合が増加しており、コスト増等を背景に慎重な判断がみられる。
・経常利益や手元資金の主な使途として、「従業員の賃上げ」を挙げる企業が62.3%、人材に関する項目を回答した企業は全体の76.9%にのぼる。

(2)新たな取り組み(調査結果P11-15)
・80.1%の企業が2020年以降に新たな取り組みを実施している。中でも、「人材の採用・教育の強化」に取り組む割合が最も高い。また、新たな取り組みを進める中で生じた課題について、「顧客ニーズの把握・情報収集」「アイデア出しや企画・戦略策定」といった「企画段階」における課題を多くの企業が回答。
・半数以上の企業が、事業活動において他社等と連携している。連携先と関係構築を図る上で顕在化した課題については、ノウハウ・経験・人材の不足、認識の相違がそれぞれ約3割となった。
・スタートアップ製品・サービスを「活用している」企業は2.3%だが、現在活用していない層のうち「興味がある」企業は16.3%となり、約2割の企業がスタートアップ製品に関心を持っている。

(3)経営資源(調査結果P16-20)
・人員が「不足」している割合は前年比11.5ポイント増加の60.0%となり、急激に人手不足感が高まっている。とりわけ建設業、運輸業、情報通信業では「不足」が7割を超えており、対応が急務となっている。
・資金繰りに関して、31.5%の企業が資金繰りに苦しんでおり、このうち4割は事業自体も厳しい状況である。

(4)取引環境(調査結果P21-23)
・価格転嫁の状況について、「原材料・仕入費用」では約2割、「エネルギー費用」、「労務費・人件費」、「その他経費(運送費、広告費等)」では「全く転嫁できていない」と回答した企業が4割を超えた。
・取引条件の改善に向けた課題として、BtoB企業と、行政との取引がメインのBtoG企業の半数以上が、「価格転嫁・値上げの実現までに時間がかかる」と回答。

(5)事業承継(調査結果P24-25)
・「後継者を決めていないが、事業継続したい」と回答した経営者が約35%となり、「M&A等で会社を譲渡する予定」は、前回調査から1.5ポイント増加の4.4%となった。

(6)<付帯調査>国際展開(調査結果P26-29)
・23.2%の企業が国際展開に取り組んでいる。進出先・販売先は中国をはじめ、アジアが上位を占める。

対 象:23区内中小・小規模企業10,000社
期 間:2023年9月25日(月)~10月20日(金)
回答数:1,429社(回収率14.3%)(うち小規模企業者665社(46.5%))

「中小企業の経営課題に関するアンケート」調査結果、調査票

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所
中小企業部
担当 小野、小森、三島、張替
TEL 03-3283-7724