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「創業・スタートアップ実態調査」報告書の公表について~「規模を拡大し成長を目指す」企業が最も多い一方、「スタートアップ」や「社会課題解決・社会福祉を重視」する企業も一定数存在、創業の目的・動機が多様化している実態が判明~

2022年7月15日
東京商工会議所
中小企業部

 東京商工会議所(三村明夫会頭)は、新事業・イノベーション創出委員会(委員長:垣内威彦副会頭・三菱商事株式会社会長)において、東京都内における創業・スタートアップ企業の実態を調査し、去る4月22日に速報値を公表いたしました。このたび、調査結果を分析し、さらに「スタートアップ企業×DX領域」や「再チャレンジ企業」など背景の異なる6社の創業に関する事例を盛り込んだ報告書を取りまとめましたのでお知らせします。

 当所では本調査結果を踏まえ、必要な支援策を検討・実施していくことにくわえ、政策提言活動を展開することで、起業・創業の促進や、創業後の事業継続・成果創出の後押しをしていきます。

【 調査結果のポイント】

1.事業の規模や成長に対する考え方について(→調査結果P5)
●「規模を拡大し成長を目指す(小規模から中規模以上へ)」企業が最も多く、次いで「規模を拡大せず成長を目指す(規模維持)」企業となった一方、「成長・拡大よりも社会課題解決、社会福祉を重視」や「急激な成長を目指す(スタートアップ)」企業も一定数存在するなど、創業することの目的・動機が多様化している。

2.事業の規模や成長に対する考え方×現在の状況について(→調査結果P8)
●「規模を拡大し成長を目指す」企業において、「とても順調・概ね順調」の回答が最も多かった一方、スタートアップ企業では、半数以上が「あまり順調ではない・まったく順調ではない」と回答。

3.創業検討時期、創業した動機について(→調査結果P12)
●学生時代に創業を考え始めたのは約1割程度であり、今後起業・創業を増やすうえで、学生時代からのアントレプレナーシップ(起業家精神)の醸成が必要だと考えられる。
●人生100年時代を迎える今後、会社員として身に着けたスキルを活かした定年後の起業・創業が今後増えていくと予想される。

4.ソーシャルビジネス×収益状況・現在の状況について(→調査結果P16)                                                
●ソーシャルビジネスにて創業した企業では、他の領域にて創業した企業と比較し収益を上げることは難しい。創業当初の見通しと比較した現在の状況についても「とても順調・概ね順調」の回答が少なく、困難な事業運営をしている企業が多いことが窺える。

5.業歴×収益状況について(→調査結果P17)
●「業歴3年未満」の企業と「3年以上~10年未満」の企業の収益状況を比較すると、業歴が浅い方が黒字企業の割合が少ない。 「業歴3年未満」企業の半数以上が赤字となっており、業歴が浅い業への支援が必要だと考えられる。

6.事業拡大に向け希望する支援策について(→調査結果P20)
●創業年にかかわらず「補助金・助成金、融資制度の充実」を望む声が多い。また、「販路開拓」「専門家による経営支援」は創業初期に希望する声が特に多い。

7.新型コロナウイルス感染症の影響について(→調査結果P21)
●新型コロナ感染拡大以降、9割弱の企業が新たな取り組みを開始または既存の取り組みを強化したと回答。


【企業ヒアリング】(→調査結果P23~P28)
創業の事例として、6社を紹介。
各社の「創業のきっかけ」・「創業時の課題と解決方法」・「今後の展望」について掲載しています。

<企業一覧>
(1)「スタートアップ企業×DX領域」:ICS-net株式会社
~食品ロスの問題をデジタルで解決~
従業員:11名、所在地:千代田区(本社:長野県長野市)、創業年:2017年
取扱い製品・サービス:食品原材料のプラットフォーム「シェアシマ」の運営

(2)「スタートアップ企業×DX領域」:株式会社パンダビジョン
~コロナ禍でBtoBからBtoCへ事業計画を転換、海外展開を視野~
従業員:9名、所在地:渋谷区、創業年:2019年
取扱い製品・サービス:広告代理業、動画制作などのクリエイティブ制作

(3)「規模を拡大せず成長を目指す×ソーシャルビジネス」:株式会社tobirako
~一人でも多くの困っている方の助けになるべく活動~
従業員:0名、所在地:大田区、創業年:2016年
取扱い製品・サービス:発達障害を持つ児童向け教材・教具の企画・製造・販売

(4)「成長・拡大より社会課題解決、社会福祉を重視×ソーシャルビジネス」:アイ-コンポロジー株式会社
~各種公的支援を活用し、環境に配慮したプラスチック素材の開発に成功~
従業員:0名、所在地:品川区、創業年:2016年
取扱い製品・サービス:環境プラスチック複合材料の開発・製造・販売

(5)「再チャレンジ企業」:日本シールド株式会社
~廃業を検討中の事業者と連携し、全く新しい事業領域で創業~
従業員:0名、所在地:大田区、創業年:2012年
取扱い製品・サービス:事故等による海への流出油、工場で排出される汚染油等の油処理剤の
           開発・製造・販売

(6)「再チャレンジ企業」:さくらサービス東京
~企業を退職後、自分のペースで仕事をするべく創業~
従業員:1名、所在地:大田区、創業年:2021年
取扱い製品・サービス:仏壇回収や墓じまいなどの終活サービス全般

【「創業・スタートアップ実態調査」概要】
▽調査期間:2022年2月17日(木)~3月4日(金)
▽調査対象:業歴10年未満の東京都内中小企業事業者12,000社(回答数:1,148社(回答率9.6%))
▽調査方法:郵送による調査票の送付、郵送・WEBによる回答
▽回答者業種の構成:
製造業:90社(7.9%)、建設業:76社(6.7%)、卸売業:151社(13.3%)
小売業:110社(9.7%)、サービス業:711社(62.5%)

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所
中小企業部
担当 黒田、小森、張替
TEL 03-3283-7724