「創業・スタートアップ実態調査」速報値の公表について~業歴10年未満の中小企業の約3割が、自社の事業領域は「ソーシャルビジネスに該当」と回答~
東京商工会議所
中小企業部
東京商工会議所(三村明夫会頭)は、新事業・イノベーション創出委員会(委員長:垣内威彦副会頭・三菱商事株式会社会長)において、東京都内における創業・スタートアップ企業の実態を調査し、結果を取りまとめましたのでお知らせします。
当所では本調査結果を踏まえ、必要な支援策を検討・実施していくことにくわえ、政策提言活動を展開することで、起業・創業の促進や、創業後の事業継続・成果創出の後押しをしていきます。なお、報告書を7月に発表する予定です。
【 調査結果のポイント】
1.直近決算期の収益状況(☞調査結果P6)・現在の事業の状況について(☞調査結果P20)
●直近決算期の収益状況では、「黒字」が41.5%、「収支トントン」が18.4%、「赤字」が40.1%となった。
●創業当初の事業見通しと比較した現在の状況について聞いたところ、「とても順調に推移している」が7.5%、「概ね順調に推移している」が50.5%、「あまり順調ではない」が29.4%、「まったく順調ではない」が12.6%となった。
2.事業の規模や成長に対する考え方について(☞調査結果P8)
●事業の規模や成長に対する考え方を聞いたところ、「規模を拡大し成長を目指す(小規模から中規模以上へ)」が44.5%、「規模を拡大せず成長を目指す(規模維持)」が35.3%、「成長・拡大よりも社会課題解決、社会福祉を重視」が9.9%、「急激な成長を目指す(スタートアップ)」が9.0%、「事業の縮小または廃業を検討している」が1.2%となった。
3.自社の事業領域について(☞調査結果P10)
●創業した事業の領域について聞いたところ、「ソーシャルビジネス※に該当」が30.3%、「DX領域に該当」が20.5%、「いずれにも該当しない」が55.1%となり、約3割の中小企業が社会課題解決に向けた事業で創業していた。「ソーシャルビジネスに該当」の回答者に聞いた社会課題解決のための取り組みは「地域活性化関連(例:地方特産物の宣伝・販売)」が47.1%で最も多く、次いで「女性活躍推進(例:AIによる幼児の昼寝中の自動見守り)」が28.9%、「自然・環境保護(例:生分解性プラスチック複合材料の製造販売)」が27.1%と続いた。
※本調査における「ソーシャルビジネス」とは、高齢者・障がい者の介護・福祉、子育て支援、環境保護、まちづくり等、多種多様な社会課題の解決に向けたビジネスと定義している。
4.新型コロナウイルス感染拡大による売上への影響について(☞調査結果P11)
●2019年1~12月(コロナ以前)と比較した、2021年1~12月の売上状況を聞いたところ、「増加(概ね50%以上・30%以上・10%以上増加の合計値)」が33.8%、「減少(概ね50%以上・30%以上・10%以上減少の合計値)」が53.0%、「不変」が13.1%となった。
5.開業費の総額、資金調達方法とその際の相談相手について(☞調査結果P13-15)
●創業に際し必要だった資金(開業費)では、「100万円超~500万円以下」が最も多く36.8%となり、「1,000万円以下」の回答の合計は84.9%となった。
●開業費の調達方法では、「自己資金」が71.1%と最も多く、次いで「融資(政府系金融機関)」が31.3%、「融資(信金、信組)」が17.1%と続いた。
●金融機関からの資金調達の際の相談相手では、「申込金融機関」が59.2%と最も多く、次いで「商工会議所」が32.4%、「信用保証協会」が18.8%となった。
6.創業準備期における課題について(☞調査結果P17)
●創業準備期における課題について聞いたところ、「資金調達」が53.3%と最も多く、次いで「経営に必要な知識・ノウハウの習得」が45.7%、「販路開拓」が43.1%となった。
【「創業・スタートアップ実態調査」概要】
▽調査期間:2022年2月17日(木)~3月4日(金)
▽調査対象:業歴10年未満の東京都内中小企業事業者12,000社(回答数:1,148社(回答率9.6%))
▽調査方法:郵送による調査票の送付、郵送・WEBによる回答
▽回答者業種の構成:製造業:90社(7.9%)、建設業:76社(6.7%)、卸売業:151社(13.3%)
小売業:110社(9.7%)、サービス業:711社(62.5%)
東京商工会議所
中小企業部
担当 黒田、小森、張替
TEL 03-3283-7724