「中小企業のIT活用・デジタルシフト推進に関する意見」について ~中小企業のIT活用推進のためには、経営者の‟自分ごと化“と 外部機関(ITベンダー・IT専門家・支援機関等)の伴走支援が必須~
東京商工会議所
中小企業部
東京商工会議所(三村明夫会頭)は、中小企業のデジタルシフト推進委員会(委員長:金子眞吾副会頭・凸版印刷㈱会長)において、標記意見を取りまとめましたので、お知らせします。当所としてIT活用・デジタルシフト推進に特化して意見をとりまとめるのは初めてです。デジタル関連改革法の20年ぶりの見直しやデジタル庁の創設など、行政がデジタルシフト(デジタルガバメント)に向け本腰を入れ始めたことを受け、取りまとめました。
コロナ禍を契機として、企業のデジタルシフトの必要性・重要性はかつてないほど高まっています。中小企業ではコロナ禍において、テレワークやオンライン会議等ITの「導入」に迅速に取り組んでおり、2021年2月に当所が公表した「IT活用実態調査」によれば、約70%の事業者がITを「導入」していると回答しました。一方、同調査において、業務効率化や競争力強化など、生産性向上につながる取り組みにITを積極的に「活用」したと答えた企業はおよそ半数にとどまっており、経営課題の解決手段、そして付加価値向上としてITをより一層活用することが求められています。
このような認識のもと、当所では、今まで行ってきた調査結果や中小企業経営者・IT専門家等へのヒアリングなどを踏まえ、本意見をとりまとめました。とりわけIT活用促進に向けて、中小企業が取り組むべきことのみならず、それを支援する外部機関(ITベンダー、IT専門家、支援機関等)の現状・課題についても指摘していることが特徴です。加えて付加価値向上のために中小企業が取り組むべきポイントや、国や東京都による必要な支援施策などを記載しています。
今後、政府をはじめ関係各方面に提出し、要望内容の実現に向けた働きかけを行ってまいります。
【本意見のポイント】(要点のみ抜粋)
Ⅰ.中小企業のIT活用の現状と課題
弊所「IT活用実態調査」の結果や中小企業経営者、IT専門家等へのヒアリングにより浮き彫りとなった中小企業のIT活用の現状と課題等を取りまとめている。
〇中小企業のIT活用の現状
IT活用実態調査では、ITを「導入」している企業は約70%だった一方、業務効率化、差別化等に「活用」
できている企業は約半数にとどまる。またITをほとんど使っていない企業は、22.7%となり、IT活用の
巧拙が明確となった。
〇中小企業のIT活用の課題
・IT活用の重要性・必要性・有効性に対する経営者の認識不足
・IT人材の不足(IT導入の旗振り役となる人材がいない、IT人材の確保・育成、従業員のIT
リテラシー・IT活用マインドの不足)
・コストの負担(教育コスト(従業員にIT活用のマインドや操作方法をトレーニングするコスト)の
負担や補助金・助成金の課題) 他
Ⅱ.中小企業のIT活用促進に向けた今後の方向性
中小企業のIT活用の課題を踏まえ、中小企業が取り組むべきことや外部機関(ITベンダー・IT専門家・支援機関等)に求めることを取りまとめている。
〇中小企業が取り組むべきこと
・IT活用・デジタルシフトを盛り込んだ経営戦略の策定
・年代問わず、すべての従業員のITリテラシーの向上
・IT人材の確保・育成と、若手従業員の活躍促進 ・外部専門家支援の活用 他
〇外部機関(ITベンダー、支援機関等)の現状と課題、中小企業が求めていること
・<ITベンダー>中小企業のIT活用支援への取り組み不足・接点不足
⇒ 伴走型支援、中小企業の経営実態把握
・<IT専門家>伴走型支援人材の不足
⇒ 企業経営に関する知識の習得
・<支援機関>各機関同士の横の連携、継続的なスキルアップ
⇒ 支援機関同士の横の連携の推進、人材育成
・<教育機関>ITを教育する機関と企業経営を教育する機関が分かれている
⇒ IT、企業経営の両方の要素が入ったカリキュラムの設置
Ⅲ.中小企業のIT活用促進に向けた支援強化(国や東京都への要望)
・経営者の意識改革につながる支援要望事項(IT活用診断制度の周知・利用促進等)
・IT人材の育成に向けた要望事項(リスキリングに対する支援等)
・IT人材の確保に向けた要望事項(リカレント教育に対する支援、GIGAスクール構想推進等)他
Ⅳ.東京商工会議所の取り組み
・「『はじめてIT活用』1万社プロジェクト」の推進
・IT人材育成に向けた研修事業の展開 他
以上
東京商工会議所
中小企業部
担当 松浦・三上・闕山・長嶋
TEL 03-3283-7624