港区のビジネス環境の特色
2026.02.03港区の位置、面積、人口数の推移
港区は東京都の特別区(以下、23区)の南東部に位置し、東は東京湾に面し、北は千代田区と新宿区、西は渋谷区、南は品川区、そして北東の一部で中央区と江東区に隣りあっている。
港区の面積は 20.36km² であり、23区全体(627.51km²)に占める面積の割合は 約3.24% で、23区で12番目の面積である。北西一帯の高台地と、南東の東京湾に面した低地と芝浦海浜の埋立地からなっている。また港区は東京23区の中でも最も起伏に富んだ地形である。土地の高低差が大きく、坂の多い地形となっている。また、区の北部には赤坂御用地(約1.3km²)があり、区の面積の約6.4%を占めている。(図表1)
総人口は、平成9年(1997年)頃を底として減少傾向から増加に転じ、以降はタワーマンションの増加等に伴い一貫して増加傾向にある。令和7年(2025年)国勢調査時点で 260,780人 となっている。(図表2)
年齢構成の変化に着目すると、港区では子ども世代と生産年齢人口がともに長期的に増加しており、その傾向は23区平均と比べると明確である。とりわけ生産年齢人口は、再開発の進展や職住近接の環境を背景に安定した増加が続いている。生産年齢人口の割合は他都心区と同水準あるものの、人数規模の拡大と増加が長期的に続いている点に特徴がある。港区には働く世代が集まりやすい環境が維持されていることが分かる。
子ども人口についても、都心では減少傾向がみられる区が多いなか、港区は増加を維持している。住宅環境の改善や子育て世代からの居住ニーズの高さを反映していると考えられる。
高齢者人口は増加傾向にあるものの、伸びは23区平均と比較すると緩やかであり、若年層や生産年齢人口の流入が高齢化の進行を相対的に抑制している。
こうした特徴から、港区は都心部の中にあっても、若い世代や働く世代を継続的に惹きつける力を備えており、人口構造としての安定性と都市としての活力を高く維持しているといえる。
港区の昼間人口の推移
夜間(常住人口)は約26万人の人口であるが、昼間は 118万人(1,181,809人)を超える人々が活動をしている。(図表3)
昼間に流入している人口(約92万人)の内訳は、通勤者(従業者)が約94.5%、通学者(学生)が約5.5%となっている
就業地・通学地集計に基づく就業者・通学者人口(約76万人)の内訳は、通勤者が約96.5%(都内他地域から50.93%、他都道府県から45.57%)、通学者が約3.5%(都内他地域から2.10%、他都道府県から1.41%)となっている。
昼夜間の人口比率(夜間人口100人あたりの昼間人口)は 4.6倍 に達し、千代田区(17.5倍) に次いで23区の中でも突出している(23区平均は1.32倍)。(図表4)
平均年収について
港区の平均年収は、総務省「課税標準額段階別 令和5年度分 所得割額等に関する調」に基づき、課税対象所得を所得割の納税義務者数で除して算出すると、約1,397万円となる。これは東京23区平均(約560万円)を大きく上回り、23区内で最も高い水準である。
港区には、外資系企業や大企業の本社・拠点が集積しているほか、金融・IT・コンサルティング・専門職など高付加価値産業に従事する就業者が多く居住している。また、都心部ならではの不動産保有や金融資産運用による所得を有する居住者も多いことから、課税対象所得が全体として高水準となっている。(図表5)
図表5 港区の平均年収(単位:万円)
出所) 総務省「課税標準額段階別 令和5年度分
所得割額等に関する調
夜間人口、昼間人口の分布
夜間人口の分布を見ると、港区内では芝浦が最も多く、次いで港南、高輪、三田、白金といった地区で夜間人口が多い傾向がみられる。また、南麻布や台場も夜間人口の多い上位地区に含まれている。高輪、三田、麻布周辺は、古くから形成されてきた住宅街としての性格が強く、比較的安定した居住人口を抱えている。一方で、芝浦、港南、台場といった湾岸部では、近年の高層マンションの建設が進んだことにより、居住人口が大きく流入している点が特徴である。(図表6)
昼間人口については、港南が区内で最も多く、次いで東新橋が高い値を示している。これに続いて芝浦、芝、三田といった地区が多く、さらに赤坂も昼間人口の多い地区として挙げられるほか、虎ノ門や六本木も上位10地区に含まれている。特に港南地域は、交通の利便性が高いことに加え、企業や大学などの集積が進んでいるため、通勤・通学による流入人口が多いだけでなく、居住者数も多い地区となっている。(図表7)
MICE(展示会・ビジネスイベント)施設
ビジネスチャンス拡大につながる見本市・展示会は、東京で多く開催されている。港区には、虎ノ門ヒルズフォーラムや東京コンファレンスセンター・品川、ベルサール汐留など、大規模イベントに対応可能な施設が多数存在する。
これらMICE施設を支えるインフラとして、区内の宿泊施設の客室数は約31,200室に達し、これは東京都全体の 15% を占め、都内で最も多くなっている。(2023年3月時点)。この強固な宿泊インフラが、国内外からの大規模なビジネスイベントの誘致・開催を可能にしている。(図表8)
図表8 見本市・展示会・MICE施設数
出所) 「2026年版展示会データベース」掲載の施設を集計
訪日外客数の推移、観光消費額、生産波及効果の推移
訪日外客数、観光消費額および生産波及効果はいずれも、旅行者数の動向と強く連動して推移しており、観光需要の変化が経済全体に与える影響の大きさが確認できる。2018年から2019年にかけては、日本全体における訪日外客数が3,000万人を超え、インバウンド需要は高水準で推移していた。しかし、2020年には新型コロナウイルス感染症の影響により訪日外客数が急減し、2021年から2022年にかけても低水準で推移した。その後、水際措置の緩和を背景に回復が進み、2023年には約2,500万人規模まで回復し、2024年には過去最高水準を更新する水準に達するなど、日本のインバウンド需要はコロナ禍以前を上回る段階に入ったことが示されている(図表9)。
東京都における観光消費額および生産波及効果も、訪都旅行者数の増減と同様の動きを示している。2018年から2019年にかけては、訪都旅行者の増加を背景に観光消費額、生産波及効果ともに高水準で推移していたが、2020年には感染症拡大の影響により観光需要が急減し、両指標とも大きく落ち込んだ。2022年以降は観光需要の回復とともに観光消費額および生産波及効果も持ち直し、2023年には急速な回復が確認できる。2024年には回復局面を超えた拡大局面に入り、東京都における観光消費額は約9兆4,762億円、生産波及効果は約18兆4,844億円と、いずれも過去最高を記録した。これらの数値は、訪都旅行者が都内で消費した金額が、宿泊、飲食、運輸、小売など幅広い産業に波及し、都内経済全体の売上増加につながっていることを示しており、特に外国人旅行者の消費増加が顕著で、2019年と比較しても大幅な増加となっている(図表10)。
観光客の都内訪問場所
観光客の都内訪問場所について見ると、訪日外国人の増加に伴い、東京都内各地への観光客の訪問が広がっている。訪問場所の内訳では、浅草、新宿・大久保、銀座、東京駅周辺といったエリアが特に高い訪問割合を示しており、東京都における主要な観光エリアとして多くの旅行者を集めていることが分かる。
その一方で、港区に該当する六本木・赤坂、原宿・表参道・青山といったエリアも、訪問割合の高い上位グループに含まれており、外国人観光客にとって重要な訪問先となっている。これらのエリアは、六本木における美術館やナイトライフ、青山におけるファッション関連施設など、国際的な認知度の高い都市機能が集積している点が特徴である。
また、港区内には宿泊施設が多く立地しており、都内観光の拠点として国内外からの観光需要を受け止める役割を担っている(図表11)。
図表11 観光客の都内訪問場所
出所) 令和6年 国・地域別外国人旅行者行動特性調査報告書
1km²あたり駅数
港区の1平方キロメートルあたりの駅数を見ると、港区は23区の中で上位に位置している。JRや地下鉄各線、路線バスなどの公共交通機関が充実しており、JRおよび地下鉄の駅数は33駅(2025年時点)に上る。港区の面積は20.37平方キロメートルであり、これを基に算出した1平方キロメートルあたりの駅数は1.62駅となっている。
この数値は、駅が高密度に集中する千代田区(2.23駅)や台東区(2.20駅)と比べると低いものの、23区内では高い水準にあり、駅密度の面でも上位に位置づけられる。港区内にはJR、地下鉄、私鉄など複数の鉄道路線が広く分布しており、特定のエリアに偏ることなく、面的に駅が配置されている点が特徴である。
港区は面積が比較的大きく、オフィス街、住宅地、臨海部など多様な土地利用が混在しているため、駅密度が極端に高くならない一方で、区内各地域において鉄道利用が可能な環境が確保されている。六本木、虎ノ門、新橋、品川といった拠点を中心に鉄道網が形成されており、通勤・通学に加え、業務、観光など多様な移動需要に対応している。(図表12)。
図表12 23区の1km²あたり駅数(JR,私鉄、地下鉄、モノレール・新交通等含む)
出所) 東京都ホームページ、Googleマップより作成 2025年現在