まずはここから!財務計画の基本
~数字が苦手でも大丈夫。お金の流れを整理する実践ガイド~
2026.02.03
はじめに
「財務計画」と聞くと、「数字が苦手」「計算が難しそう」「専門知識がないと作れないのでは」と、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、財務計画は会計の専門家になるためのものではありません。目的はとてもシンプルで、事業がきちんと回るかどうかを、お金の面から確認することです。
事業計画書の中でも、財務計画は特に重要なパートです。なぜなら、どれだけ良いアイデアや強い想いがあっても、お金が回らなければ事業は継続できないからです。本コラムでは、財務計画を初めて作成する方に向けて、「必要な資金の考え方」「売上計画の立て方」「資金繰りや利益の見方」などを、できるだけわかりやすく解説します。
1.数字が苦手でも大丈夫!「必要な資金」と「調達方法」の考え方
最初に整理したいのが「いつまでに、いくら必要で、それをどのように調達するのか」です。必要な資金は、大きく二つに分けて考えます。
一つ目は設備資金です。店舗や事務所の内装工事費、機械・備品、車両など、まとまって必要となるお金です。
二つ目は運転資金です。仕入れ、人件費、家賃、広告費など、事業を継続して動かすためのお金で、最低でも数か月分を見込んでおくと安心です。
次に考えるのが調達方法です。代表的なものとして、
- 自己資金
- 親族や知人からの借入
- 金融機関からの融資
- 補助金・助成金
などがあります。
ここで重要なのは、「借りられるだけ借りる」のではなく、返済後の経営まで見据えて無理のない計画を立てることです。財務計画は、資金調達のためだけでなく、その後の経営を安定させるための基盤となります。
2.売上計画(売上予測)の立て方と3つの算出方法
財務計画の出発点は売上計画です。売上が決まらなければ、利益も資金繰りも考えることができません。
売上は基本的に、
売上=客数×客単価
という考え方で整理します。そこから、事業内容に応じて分解していきます。
代表的な算出方法は次の三つです。
方法①:客数×客単価方式
飲食店やサロンなどで使いやすい方法です。
1日の来店客数×平均客単価×営業日数、という形で考えます。
方法②:単価×販売数量方式
物販や製造業で使いやすい方法です。
商品単価×月間販売個数を基本とし、複数商品がある場合は主力商品ごとに分けて考えると、現実的な計画になります。
方法③:契約件数ベース方式
コンサルティングやサブスクリプション型サービスなどに向いています。
月の契約件数×月額料金、という形で整理します。
どの方法でも共通して大切なのは、「なぜその数字になるのか」という根拠です。商圏、想定顧客数、自身の稼働可能時間など、簡単で構いませんので、数字の裏付けを意識しましょう。
3.これがないと始まらない!「資金繰り表」の作成方法とチェックポイント
資金繰り表を作成する目的は、お金の流れを見える化することや、資金ショートを防止することです。
例えば、年間の収支が黒字であっても、月ごと、週ごと、あるいは日ごとに見ていくと、一時的に資金残高が足りなくなることは十分にあり得ます。仕入れや家賃、人件費の支払いが先に発生し、売上の入金が後になるなど、お金の動きには時間差があるためです。
この時間差を可視化し、「いつ・いくら足りなくなる可能性があるのか」を事前に把握するために作成するのが資金繰り表です。
資金繰り表では、実際のお金の出入りを時系列で整理します。初心者の方は、次の三つの区分で考えると分かりやすくなります。
一つ目は経常収支です。これは日々の事業活動に伴うお金の流れで、売上の入金、仕入れ、人件費、家賃、水道光熱費など、通常の営業活動から生じる収入と支出が含まれます。
二つ目は経常外収支です。設備の購入や売却、内装工事費など、毎月は発生しないものの、まとまった金額が動く項目です。特に開業初期は、この経常外収支が資金残高に大きく影響します。
三つ目は財務収支です。借入金の入金や元金返済など、資金調達や返済に関するお金の動きが該当します。損益計算書には直接表れにくいものの、実際の資金残高を左右する重要な要素です。
この三つを月ごとに整理することで、
- 入金と支払いのタイミングに無理がないか
- 借入金の返済をきちんと織り込めているか
- 資金残高が極端に少なくなる時期がないか、あるいはマイナスになる時期がないか
といった点を確認できます。
資金繰り表は、「お金が足りなくなってから考える」ためのものではありません。足りなくなる前に気づき、対策を打つための道具です。これが、資金繰り表を作成する最大の意義といえるでしょう。
4.いくら儲かる?「損益計画(損益計算書)」の作り方
次に作成するのが損益計画です。これは、「売上から経費を差し引いて、最終的にいくら利益が残るのか」を示すものです。
基本構造はとてもシンプルです。
ここで意識したいのは、この利益で生活費や借入返済をまかなえるかどうかという視点です。黒字であっても金額が小さければ、実際の経営は苦しくなります。
また、経費は「変動費」と「固定費」に分けて考えると理解しやすくなります。固定費が大きいほど、一定以上の売上がなければ赤字になるため、売上目標とのバランスが重要になります。
5.すぐに使える簡単な収支計画の作り方
最後に、初心者の方におすすめのシンプルな作り方をご紹介します。
- ① 月ごとに売上を置く
- ② 主な経費(仕入、人件費、家賃、水道光熱費など)を書き出す
- ③ 売上-経費=利益を計算する
- ④ 借入返済額を差し引き、手元に残るお金を確認する
最初はざっくりで構いません。重要なのは、「どのくらい売れれば、どのくらい残るのか」という感覚をつかむことです。違和感があれば、売上や経費を調整しながら、現実的な数字に近づけていきましょう。
おわりに
財務計画は、難しい計算をするためのものではなく、事業の将来を見える化するためのツールです。
数字が苦手でも、一つずつ分解して考えれば、必ず形になります。完璧な計画を最初から作る必要はありません。まずは簡単な売上計画と収支計画から始めてみてください。本コラムが、財務計画作成の第一歩となれば幸いです。
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