東商からの重要なお知らせ

事業概要/ビジョン作成の基本ステップ
~初心者でも説得力のある事業計画書を書くための考え方と手順~

2026.02.03

はじめに

事業計画書における「事業概要/ビジョン」は、融資担当者や審査員、支援員などが最初に目を通す、いわば“計画書の顔”となるパートです。ここで事業内容が伝わらないと、どれだけ市場分析や数字を丁寧に書いても、「結局、何をする事業なのか分からない」と評価が伸びません。逆に、この章で事業の骨格と向かう先が明確になれば、計画書全体の説得力は一気に高まります。
ポイントは文章力ではなく整理の手順です。

  • 事業の骨格を一文で言える状態にする
  • なぜ自分がやるのかという必然性を整理する
  • 将来の方向性を短い言葉に落とす

この順に整えれば、初めてでも迷いません。

1.エレベーターピッチにも使える事業概要の書き方

まずは30〜60秒で説明できる「一文要約」を作ります。型は次のとおりです。
「(誰に)〇〇に対して、(課題)△△を、(提供価値)□□で解決し、(収益)××で売上を得る事業である」。

詰まる場合は、要素が混ざっています。次の4点を先に箇条書きにしてください。

  • 主な顧客:地域、年齢層、属性、利用シーン(平日夜/土日、個人/法人など)
  • 顧客課題:困りごと、望み、現状の不満(「時間がない」「選び方が分からない」など)
  • 提供内容:商品・サービスの中身、提供方法(店舗、訪問、オンライン、定期契約など)
  • 収益源:何に対してお金をもらうか(販売、月額、回数、手数料など)

一文要約ができたら、本文は
「全体像→特徴→現状」
の順で組み立てます。

全体像では、業種・提供形態・対象エリアを先に示し、読み手の頭に全体像を描きます。特徴では、競合との差を“機能”ではなく“便益”で書きます。たとえば「予約システムがある」ではなく「待ち時間を減らし、忙しい顧客でも利用しやすい」と表現します。現状では、創業前なら開始時期と準備状況、既存なら主要商品・客層・売上構成(大まかで可)を添えます。未確定部分は「現時点の仮説」と明記すると誠実です。

2.読み手の心を掴む「創業の動機」の書き方

動機は“情熱の作文”ではなく、“必然性の説明”です。おすすめは「経験→気づき→課題→解決策→現在」の5点で整理する方法です。

まず、その領域に関わってきた具体的な経験を書きます。次に、現場で繰り返し見た困りごとを一つに絞って描写します。ここでは「誰が・どんな場面で・何に困っているか」を具体的に書くことが重要です。
続いて、「なぜ既存のやり方では解決されにくいのか」を一行で示します。価格、時間、手間、分かりにくさ、地域に選択肢がない、など理由は様々ですが、この一行があることで事業の必要性が明確になります。最後に「だから自分はこう解決する」と事業内容につなげ、「その結果、現在この事業に取り組んでいる」と締めると、自然で説得力のある動機になります。

3.抽象論にしない経営理念・ビジョンの書き方

理念・ビジョンは立派な言葉より「迷ったときの判断基準」になっているかが重要です。書く前に次の問いに短く答えてください。

  • 誰の、どんな状態を良くするのか(提供先と状態)
  • 提供する価値は何か(速さ、安心、品質、継続、学び、つながり など)
  • 守らないことは何か(値下げで品質を落とす、無理な受注で納期を守れない など)
  • 3〜5年後にどんな存在になっていたいか(顧客からの呼ばれ方、選ばれ方)

答えを材料に、理念は「大切にする姿勢」を一文で、ビジョンは「実現したい状態」を一文で書きます。例として、理念は「分かりやすさと誠実さを徹底し、顧客が安心して選べる意思決定を支える」。ビジョンは「困ったときに最初に相談される存在となり、継続利用で顧客の成果を積み上げる」。事業概要の顧客像・提供内容と矛盾しない言葉にするのがポイントです。

補足として、書き始めは「完成形」ではなく「素材」を先に集めるとスムーズです。たとえば顧客像は、実在の代表的な一人を思い浮かべ、「年齢/職業/生活パターン/困りごと/購入理由」を5行で書きます。提供価値は「時間が減る・不安が減る・成果が出る」など効果の言葉に置き換え、最後に価格の取り方(単発、月額、回数など)を決める。これだけで事業概要の文章は自然に立ち上がります。文章化の型は「現状の困りごと→提供内容→得られる結果」の3文セットにすると読みやすく、長くなりすぎません。

よくある失敗は、①対象顧客が広すぎる、②強みが「経験がある」だけで終わる、③理念が美辞麗句で行動に落ちない、の3つです。対象顧客は「まず誰に一番刺さるか」に絞り、強みは「だから何が早い/安い/安心」まで書く。理念は「断る基準(やらないこと)」を一つ入れると一気に具体化します。最後に、事業概要とビジョンが後段の施策や数字(集客、単価、リピート、投資)とつながるかを確認すれば、読み手が納得しやすい計画になります。

おわりに

事業計画書の中でも、「事業概要」「動機」「ビジョン」は、事業の軸となる最も重要な部分です。
最初から完璧な言葉をつくる必要はありませんが、「誰に、何を、なぜ届けたいのか」が自分の言葉で語れるようになると、計画全体の説得力は大きく変わります。
迷ったときは、今回紹介した手順に立ち戻り、一文で言えるか、具体で書けているかを確認してみてください。そこが整理できれば、事業計画書の土台はしっかり整います。

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