東商からの重要なお知らせ

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勇気ある経営大賞

受賞企業紹介

※企業概要は受賞当時(2018年)の内容です。

第16回 奨励賞

株式会社イリモトメディカル

代表者名
代表取締役会長 煎本 正博
所在地
東京都文京区
創業
2001年(平成13年)
従業員数
9人
資本金
300万円
事業の
概要
がん検診の遠隔診断
ホーム
ページ
https://irimoto.com/
受賞理由

●地方や小さな病院にも高レベルな画像診断サービス提供への挑戦

専門医による健診画像の読影を担い、
全国の健診を支える基盤として医療の質を高める。

全国各地から届く健診画像に対し、テレワークを活用しいかに応えていくか

レントゲン写真、CT(コンピューター断層撮影装置)、MRI(磁気共鳴画像装置)の画像を見て放射線専門医が診断することを読影と言い、当社はその読影により医療を支える役割を担っています。
現在、日本には医師が約30万人いますが、そのうち読影する放射線科医は約2%の6千人程度しかいません。その一方で、日本全国にあるCT及びMRIの数は約2万台、さらに政府は現在5割のがん検診受診率を向上させようと様々な取り組みを行っており、診断できる専門医が足りないのが現状です。
当社会長である私自身、30年近く大学病院などでがん診断の放射線科医として勤務してきました。その中で放射線科医が常駐しない地方や小規模の病院で専門科医以外が読影せざるを得ないことは問題であり、この課題を解決しようと2001年に当社を創業しました。
全国各地の医療機関や人間ドックから送られてくるレントゲン、CT 、MRIの画像について放射線専門医が当社内で集中して画像診断を行っています。2017年、中小企業庁「ものづくり補助金」を受け開発した独自の健診読影管理システム(SIRMAS)を導入し、全国の病院から郵送で受け取り、様々な書式で記入していた紙ベースの読影業務をオンラインでやり取りできるようにしました。
現在、124施設のクライアントから年間約77万件の依頼を受けています。

当社の売上は、健診画像診断が95%、残りの5%が疾病の診断で、健診画像診断に特化しているのが特徴です。新型コロナウイルス感染症の拡大が始まると都市圏での健診は軒並み中止となり、緊急事態宣言中の落ち込みが最もひどく、5月の委託量は前年比7割以上減となりました。

今回、コロナ禍で感じたのは、都市圏と地方との温度差です。
都市圏では感染者が拡大し、健診が延期や中止になった一方で、感染が少なかった東北や九州では、健診は通常どおり行われており、そのニーズに対して当社も応えていく必要がありました。
しかし、感染対策も行わなくてはなりません。政府は人の動き8割削減を提唱していたのですが、当社は100%減の完全テレワークを実施することにしました。読影に関しては、委託量が減ったので、私を含めた常勤の医師だけでこなしました。しかし、医師をサポートする当社の業務部は、医師が画像診断を行うための準備と診断後の納品を紙ベースで行っていたため、全スタッフを在宅勤務に切り替えるためには多くの課題が生じました。

できることから始め、仕事を見直す機会に

在宅勤務によるテレワークに取り組んだのは3月から。まず広報活動や認証・助成金業務を行う企画部などテレワークがしやすい部署から切り替えていき、最終的には業務部も全員テレワークができるように環境を整備しました。在宅勤務で使用するパソコンは会社から支給し、そこからVPN(Virtual Private Network)で社内のパソコンにログインして在宅でもオフィスにいる状況と全く同じ画面の表示を可能に。
また、通常の業務部の仕事は流れ作業で、1枚の紙を回して申し送りして行くことで仕事の流れを管理し進めているのですが、テレワークでは紙を回すことができないため、ビジネスチャットツールを使って、業務の申し送りをしていき各担当の仕事の状況を把握。当社では2、3年前に、営業が外部から会社のシステムにアクセスできるようネットワーク環境を構築し、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証取得もしていたので、そのネットワークシステムを拡張する形で今回全社員のテレワーク化を進めていくことができました。

ペーパーレス化を含めた業務の効率化を考えていたところだったので、コロナによりそれが加速したとも言えます。
申し送りのように紙を使ったほうが効率的な業務と、そうでない業務と、適切に使い分けていくことがいいのではないかと実感しています。 緊急事態宣言が明けて以降、現在もなお、常に2~3割のスタッフが交代でテレワークの体制を継続しています。通勤定期利用は廃止し、テレワーク手当も支給しています。
それは働き方改革としても考えていく必要があるのではと捉えている一面もあるからです。

限りある貴重な人材を有効に活用し、新しい考え方で医療変革の進む未来に挑む

当社の企業理念は「医師資源の有効利用による効率的な健診画像診断サービスの提供」、つまり限りある貴重な人材である医師を資源として捉え、健診画像読影を集中して行うことで、医師を最適に効率的に活用できると考えています。現在の売上は3億円を超えていますが、今後7 億、10億と売上増加を目指していくためには、一層組織だったマネジメント力が不可欠であり、この度の二人代表体制としました。
これは医療変革に対応するための当社の変化とも言えます。今は亡くなる方も少なくないがんも簡単に治癒できる時代が訪れます。するとがん検診は不要になり、当社のニーズもなくなる。医療の変革は時代の進歩とともに必ず起こっていくものです。当社はこれまで蓄積した知識や技術をもとに新たな事業のシーズを生み出していくべく、情報収集や研鑽にも注力し、柔軟な発想で医療を支える企業を志向します。

東京2020大会については、新型コロナウイルス感染症対策をどこまで徹底できるかが課題です。
五輪開催中の交通混雑緩和のためにテレワークを推奨する話が出ていましたが、今回のコロナ禍によって多くの企業がテレワークを取り入れるようになっています。当社でもできることから始め、ひとつひとつ乗り越えることで実施と継続をすることができました。五輪開催まで多くの中小企業がテレワークを継続することで東京集中や公共交通機関の混雑を防げるのではないか、それが新型コロナウイルスの感染対策とされる「人口密度を下げる」「移動を減らす」に繋がります。
中小企業が、新たな一歩を踏み出せたという象徴の大会になったら素晴らしいと思います。

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