※企業概要は受賞当時(2013年)の内容です。
●分析機器メーカーとしての技術力を武器に、科学的根拠を取り入れた介護予防全自動筋力トレーニングシステム「リハトレーナー」の自社開発に成功。発展形としてクラウドコンピューティングの利用による情報処理によるアドバイス強化に挑戦するなど、介護予防の貢献に大きな可能性を秘めていること。
●超高齢化社会の進展に伴うデイケアサービスの充実化の必要性を痛感し、リハトレーナーを活用したリハビリ型デイサービスの開設支援を決断。利用者の生活相談や脳科学による新たなリハビリを研究するなど、次世代の介護予防に大きな光を照らしていること。
同社の会社案内の最初の文言は「ひとのために、明日のために」そして企業理念は「人のための科学」である。
システム・インスツルメンツはクロマトグラフ用データ処理技術のイノベーションをかさね、分析機器装置の世界では確固たる地位を築いている。同社は業歴41年であるが、これまで大きな製品開発を4回してきた。今回「勇気ある経営大賞」の対象となった商品「リハトレーナー」はその4回目の製品となる。高齢者向け健康市場へ、新しいコンセプトの自社開発商品で進出することは、大きな挑戦だ。
同社は、自社のコア技術である分析機器のノウハウを活かし、日本で初めて介護予防にエビデンス(科学的根拠)を持ち込んだトレーニングマシンの開発に成功した。
リハトレーナーは4つのマシンとコンピュータで構成されたトレーニングシステムとなる。(独) 東京都健康長寿医療センターが提唱している「包括的高齢者トレーニング理論」に基づいたプログラムを採用している。トレーニングによる効果を客観的に測定し、1人ひとりの正確な科学的根拠に基づいたデーターベースを作成し管理する、全自動トレーニングシステムとなる。
しかし、リハトレーナーの販売は、全く振るわなかった。リハビリ病院や介護施設では、リハビリを行っている理学療法士や作業療法士の 職域を荒す存在と見られたようだ。日本は現在高齢化が加速中であり、特に軽度の介護者が急増中である。介護にならないための予防施設が重要と考える同社は、自ら市場を開拓すべく、リハトレーナーを主体とする半日型のリハビリ型デイサービス施設を普及すことから始めた。その結果全国に普及し始めている。
リハトレーナーの開発から5年ほど経た現在、脳科学による新しいリハビリの挑戦として全く新しい商品の市販化をめざしている。リハトレーナーは通常の運動と同じ、脳の命令による筋肉の強化である。これとは逆に脳機能障害者の治療目的に、筋肉を動かして脳機能を再生する新たな技術「BMI」※を産学連携で特許出願中である。同社のこのような取り組みは「人のための科学」の理念に一致し、次世代の自律支援と介護予防に大きな光を照らしている。
ニッチトップを目指す
日本で初めて介護予防にエビデンス(科学的根拠)を取り入れた介護予防全自動筋力トレーニングシステム「リハトレーナー」の自社開発、超高齢化社会の進展に伴うデイケアサービスの充実化を目的とし、「リハトレーナー」を活用したリハビリ型デイサービスの開設支援を行う販売会社を設立した経営実績が評価された。
「合わせ技」で提供するという供給側からのコトづくりを特定分野にかかわらず進められるニッチトップを目指していきたい。
(システム・インスツルメンツ株式会社/濱田 和幸 社長)