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勇気ある経営大賞

受賞企業紹介

※企業概要は受賞当時(2010年)の内容です。

第8回 優秀賞

株式会社長津製作所

代表者名
代表取締役 山野井 清
所在地
神奈川県川崎市
創業
1950年(昭和25年)
従業員数
125名
資本金
3,000万円
事業の
概要
精密プラスチック金型の設計・製作
ホーム
ページ
https://nagatsu.co.jp/
受賞理由

●フィルムカメラの急激な衰退や新興国の台頭等により、従来の主力事業が一気に縮小。これに対応するため、高精密でありながら高耐久性が求められる鏡筒部品(レンズを取り付ける筒)への進出に挑戦。さらに、超短納期・複数型同時進行が求められる携帯電話市場への新たな参入を果たし、これら2つの挑戦により一層の成長を果たした点。

●デジタル技術とアナログ技術の融合を目指し、経験や勘に頼らざるを得ない技術・技能の伝承に注力しながら、超精密ナノ加工による新たな技術の開発を進め、光学分野や医療分野における市場開拓に道筋をつけたこと。

企業紹介

同社は、「日本の中小小売業の活性化」を掲げ、主に中小スーパー向けに、日配食品を中心とする食品の卸売や物流サービス事業等を展開している。日配食品とは、豆腐や総菜、同社は平成22年で創立60周年を迎える老舗プラスチック金型メーカーである。主にフィルムカメラのカバーやボディといった部品の金型を長らく手がけ、その技術力が高く評価されたことから、この分野ではトップ企業として高い市場シェアを確保していた。
しかし、ご存知のとおり、平成7年頃を境にカメラ業界においてフィルムカメラからデジタルカメラへの急激なパラダイムシフトが発生。主力製品であるカバーやボディが不要になってしまうという、同社にとって危機的な状況を迎えることになった。
そこで危機を転機に変えるべく取り組んだ挑戦が、同じカメラ分野における鏡筒部品の金型開発だ。鏡筒とはレンズを取り付ける筒のことで、カメラのズーム機構を構成する重要部品である。複数の筒がお互いに回転しながらピントを合わせるというとても複雑な形状なため、非常に高い加工精度が求められることから、それまでは金型を用いるプラスチック射出成形での製作は難しいとされていた。これに対し、得意としていた複雑形状金型の経験・ノウハウを活かしながら研究を重ね、クライアントが求める品質の金型開発に成功。危機を迎えたことを逆に成長市場に進出する足掛かりとしたという好例である。
同時期に携帯電話分野にも進出。仕様が頻繁に変更されるため超短納期・多数金型対応を要求される世界で、従来手がけていた分野とあまりにも習慣等が異なるため社員の戸惑いも大きかったが、クライアントのニーズに応えることのできる社内体制への変革を進めた。その結果、"高精度"に加え"短納期"という武器を手に入れることにも成功。他の分野の金型の仕事にも良い波及効果を得ることにつながった。
また、同社の成長を一段と加速させたチャレンジが、海外・中国への進出である。軌道にのるまでの苦労は大変なものであったが、高度な技術を要する精密金型を日本で製作し、中国工場で量産成形を行うことができる体制を整えたことで、一気通貫で部品製作を請け負うことが可能となった。このことが成形までの時間短縮や一貫した品質管理につながり、既存クライアントはもちろん、中国に展開する日本メーカー等との取引拡大が実現した。
同社は、現在も、大学や公的研究機関、企業との連携により、次世代の金型開発を目的に超精密ナノレベルの加工、計測、周辺技術の革新に取り組んでおり、光学や医療分野からも関心が集まっている。デジタル技術とアナログ技術の融合を指針に人材育成を行い、受注型から開発提案型企業への脱皮を着実に進めている。

  • 高精度・高耐久が求められる鏡筒

  • PCによる解析画面とベテランの手作業

受賞コメント

創業60周年を迎えた節目の年に受賞できたことは感無量である。この機会に過去の歩みを振り返り、直面する試練を乗り越えることで、さらに力強い存在になっていくことを改めて認識すると同時に次の時代へ向けての決意を新たにしている。「精密プラスチック金型の長津」としてのコア技術に更に磨きをかけ、常に前向きな発想で仕事に取り組み、顧客にとってより存在感の強い金型メーカーとしてモノ作りに取り組みたい。

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