会頭コメント

会頭コメント

社会保障・税一体改革の原案について

2011年12月30日
東京商工会議所

 税制調査会において、社会保障・税一体改革素案(案)が取りまとめられたが、消費税引き上げの具体的なタイミングや幅が明記されたものの、社会保障分野については、いつまでに何をするのかが不明確である。全体として、給付の拡充が優先され、重点化や効率化の多くが先送りされた上、高齢者雇用や有期労働契約の規制強化などが盛り込まれており、「税・社会保険料・自己負担のバランス」、および「給付と負担のバランス」の観点からすると、これまで以上に事業主や現役世代の負担に大きく依存する内容であると言わざるを得ない。

 社会保障と税の一体改革にあたっては、今回先送りされた検討項目を含め、引き続き、徹底した給付の重点化・効率化を図ることにより、社会保障制度の持続可能性を確保することが、最も重要である。素案(案)に盛り込まれている通り、政府・国会においては、徹底的に身を切る政治改革・行政改革を実行するとともに、社会保障改革の具体的な時期と内容を明確にして消費税引き上げとの整合性を図り、負担が集中しないように、全体をパッケージとした改革を果断に進めるべきである。

 また、消費税の引き上げは、景気や経済成長、中小企業経営に大きな影響を及ぼすため、デフレ脱却を実現するとともに、引き上げに伴う景気の下振れリスクをカバーする経済対策の実施など、経済への影響を最小限に止める措置を図ることが重要である。更に、価格転嫁が困難な中小零細事業者にとって、円滑な価格転嫁は極めて重要であり、政府においてあらゆる手立てを講じていただきたい。

以上