政策提言・要望

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中小企業施策に関する要望 ~21世紀に相応しい新たな中小企業像の確立を目指して~

2001年6月14日
東京商工会議所

金融・産業の早期一体再生を
 わが国は、金融機関の不良債権処理など構造的問題を早期に解決し、前向きな企業活動や成長が期待される産業分野に円滑な資金供給が行なわれるよう諸改革を断行し、本来有するダイナミズムを一刻も早くとり戻すべきである。
 しかしながら、金融・産業の再生に至る道程には相応の痛みを伴うので、健全な中小企業や個人に深刻な影響が及ばぬよう、セーフティネットの整備・拡充に万全を期し、そのうえで、市場の競争原理にしたがい公正な企業間競争が展開されるよう規制改革の推進や法規・制度・基準等の改正に努められたい。
中小企業の競争力強化に全力を
 米国の例にみられるように、革新的なビジネスモデルを生み出す中小企業の活躍こそが経済再生の原動力であり、中国の台頭などアジア諸国が著しい成長を遂げる中、わが国が将来にわたり世界に冠たる産業技術立国の地位を保つためには、その基盤を担うべき中小企業の競争力強化に全力を傾けるべきである。
 政府におかれては、わが国が改革期から新たな成長期に移行すべき重要な3カ年(2001年度~2003年度)の過程にあるものと強く認識のうえ、2002年度予算編成に臨まれたい。
中小企業関連支出の飛躍的拡大を(総額1兆円規模に)
 その際、①公共投資を地方から都市部重視に改めたうえで、複数年度にわたる産業再生・都市再生の特別枠を設定し、②財政措置のみに頼らず金融・税制などの政策をベストミックスし、③今後成長が期待される先端研究領域(ナノテクノロジー、ヒトゲノム等)においても中小企業が積極的に参入出来るよう環境整備を図るなど、中小企業関連の政策的支出を飛躍的に拡大されたい。

 東京商工会議所は、中小企業の活性化抜きにはわが国経済の再生は達成出来ないものと認識しており、今後、10万会員の叡智を結集し、21世紀に相応しい新たな中小企業像と企業システムの確立を目指す所存である。
 この際、既述のような認識の下、中小企業関連施策について以下のとおり要望するので、趣旨をご賢察のうえ、特段の配慮を賜りたい。

要望



     Ⅰ.市場競争の活性化と万全なセーフティネットの構築のために
 経済社会の健全な発展には、過剰な経済的規制を撤廃するなど市場環境を整備し、公正かつ透明なルールに基づく活発な市場競争の展開が不可欠である。
 この際、市場への新規参入が容易となるよう阻害要因を解消する一方で、企業・事業の再生手続きを見直し、退出者が再び市場に参入可能となるような包容力のある社会の形成が待たれる。
 また、証券市場改革を断行することにより1400兆円とも言われる個人金融資産を株式・投資信託市場に呼びこみ、有望なビジネスへの資金供給システムを強固なものとされたい。
1. 市場における企業間競争の活性化
(1)創業、新規事業分野進出への支援
 ①制度融資の担保条件等の緩和
  企業の新規事業分野への積極的な参入を促すため、制度融資(成長新事業育成特 別融資、新規事業育成融資)については担保条件等の緩和、助成制度(新事業開拓助 成金等)については審査基準の明確化とともに自己資金の枠内助成を上限とする考え を改め、一定水準を超えた優れた新規ビジネスプランについては枠外交付を可能とし、 併せて予算規模を拡充されたい。
 ②創業支援者ネットワークの構築
  各種専門家、企業経営者、企業経営者OBなど創業者等に対する支援者(メンター)の 創出を促すため、商工会議所等を実施機関とする新たな資格制度を創設し、そのネット ワーク化を図るための支援策を講じられたい。
  その際、行政や民間企業等に所属する中小企業診断士、技術士等、公的資格所有者 の有効活用のため、休日等を利用してメンター活動を行なう場合には、報酬の一定額を 非課税とするなどの政策的な措置を講じられたい。
 ③エンジェル税制の拡充
  ベンチャー企業等に対する投資を促進するため、当該企業への出資や株式取得等に より投資家が被った投資損失を他の所得等との損益通算が可能となるよう、いわゆるエ ンジェル税制を拡充し投資家の創出を促進されたい。
 ④健全なFC成長への支援
  開業や既存企業の事業転換、新規事業分野進出等を促進する一形態としてフランチ ャイズ・チェーン・システムが注目を集めている。
  今後、フランチャイズ本部に対しては、中小小売商業振興法による契約内容の事前開 示、事前説明の徹底を図るため、加盟者を対象とする経営指導を商工会議所等と連携 して強化するよう促されたい。
 ⑤LLC創設の検討
  会社法制全体のあり方を見直すにあたっては、人的会社を含め検討すべきである。こ の際、米国にみられるLLC(Limited・Liability・Company)のような制度の創設を検討し、 SOHO、マイクロビジネス等の創出促進を図られたい。
(2)規制改革の推進による成長産業育成
 ①経済的規制等の緩和
  今般設置された総合規制改革会議は、経済的規制の撤廃・緩和に加え、社会的規制 の改革に力点を置くとしており、改革推進が期待される。
  この際、一層の成長が見込まれる分野(人材派遣、IT関連サービス、健康増進サービ ス、環境・リサイクルなど)やこれまで民間による参入が制限
 されていた分野(教育、医療など)において重点的に取り組まれたい。
 ②官民の共同研究の推進
  産業技術力強化法等の施行により、国公立大学教官・試験研究所員の民間企業役員 への兼業規制が緩和されたが、これに留まらず官民の人材のモビリィティーを高め、民 間企業との共同研究に一定期間専従出来る体制とするよう検討されたい。
 ③TLOの機能強化
  企業の技術開発推進のためには、外部資源の有効活用が不可欠であることから、 TLO(Technology・Licensing・Organization:技術移転機関)に関する支援策を拡充すると ともに、その活動範囲をより広くするため、技術移転を行なった企業に対する出資や研 究員の派遣が可能となるよう検討されたい。
(3)競争ルールの徹底と迅速な紛争処理
 ①公正取引委員会の機能強化
  公正取引委員会の陣容を強化し、親事業者の下請事業者に対する優越的な地位の 乱用による下請代金の支払遅延、減額、返品などが起こらないよう、下請取引適正化の 監視とともに処分の迅速化を図られたい。
  また、サービス経済化が進展する中、例えば映像メディアや情報サイトに係わるコンテ ンツ製作者が不公正な取引に巻き込まれるケースが懸念されることから、取引適正化 のため独占禁止法の運用を強化されたい。
 ②適正な官公需の受注機会確保
  中小企業者の官公需受注機会の増大を図るため、「官公需についての中小企業者の 受注の確保に関する法律」の趣旨徹底に努められるとともに、発注情報等の提供につ いては、インターネットの積極的な活用を検討されたい。
 ③ADRの普及
  市場重視・自己責任原則に基づく事後チェック型社会実現に向けて、企業取引に係る 紛争処理に関しては、迅速、簡便、安価な問題解決手段である、あっせん・調停・仲裁 等のADR(Alternative・Dispute・Resolution:裁判外紛争処理制度)の浸透に努められた い。
  その際、地域中小企業支援センターを有効活用し、中小企業が利用しやすい環境づく りに配慮されたい。
(4)投資意欲を高めるための環境整備
 ①証券投資税制の改正
  個人投資家の株式投資を促進する税制改正は喫緊の課題であり、株式譲渡益の少 額非課税制度の創設や、高齢者向け少額貯蓄非課税制度(マル優)の対象となる株  式投資信託の規制撤廃等に加え、株式譲渡益の申告分離課税税率の引き下げなどにも 早急に取り組まれたい。
 ②IPOアドバイザーの設置
  新興企業向け三市場(店頭株式市場、マザーズ、ナスダック・ジャパン)を健全に育成 するためには、上場を志向する企業の事業計画や財務内容に係る情報開示を徹底す る必要があることから、地域中小企業支援センターにIPO(Initial・Public・Offering:新規 株式公開)アドバイザーの設置を検討されたい。
 ③REIT市場の育成・普及
  資産デフレを解消するためには、土地流動化の促進が不可欠であることから、本年創 設された不動産投資信託(Real・Estate・Investment・Trust)市場を広くPRし普及を図る ことで不動産投資効率を高めるなど都市再生に資するものとされたい。
2.セーフティネットの拡充
(1)雇用面における対策
 ①離職者に対する支援策の拡充
  構造改革の進展に伴い、大企業のリストラや企業倒産の増大が非自発的失業者を増 加させることが懸念されるので、政府におかれては、雇用面における万全なセーフティ ネットを用意し、勤労者の不安を解消すべきである。
  具体的には、完全失業率に危機ラインを設け、情勢変化に応じて、失業手当給付日 数を一定期間大幅に延長するなど、緊急雇用対策を機動的に発動するとともに、再就 職促進関連一括法の施行により円滑な人材移動を促進されたい。
 ②求職情報の適正な開示
  雇用・就業に関する情報の一元化を図り、求人・求職のマッチング機能を強化するた め、求職情報の効果的な開示と相談体制を整備されたい。
 ③公共職業訓練の民間委託の推進
  公共職業訓練は、企業や個人の多様なニーズに応え、需要が見込まれる分野であ る、プログラマー等ITや介護福祉等を中心に民間機関を活用する方向への政策転換を 進められたい。
  また、新規事業分野への進出等のための人材育成に資する企業内訓練に対する助 成等については一層拡充されたい。
(2)円滑な企業・事業再生の促進
 ①DIPファイナンスの活用
  民事再生法が適用され健全な再生計画に基づき再建手続きを行なっている企業に対 しては、円滑な再生を促進する観点からDIP(debtor‐in‐possession:占有を継続する債 務者)ファイナンスを活用し、必要な資金供給を図られたい。
 ②M&A等の活用
  会社分割法制を認める商法改正により企業組織の柔軟かつ迅速な再編が実現するこ ととなったので、関連法規の周知を徹底するとともに譲渡する法人の帳簿価額の引継ぎ による原則非課税の税制上の優遇措置など、優良な経営資源の市場での再評価が可 能となるような政策的な措置を講じられたい。
  また、M&A(Mergers&Acquisitions)やMBO(Management・Buy-Out)も企業・事業再生 の有力な手法であるので、これらに係る法務・税務の周知に努められたい。
③個人保証制度の見直し
  多くの中小企業経営者は、融資を受けるに際し個人所有の資産に担保権を設定する など個人保証を行なっているため、倒産時に基本的生活権さえも侵されるケースが見受 けられることから、私的整理においても定められた基準の下で一定の個人財産の確保 が保証されるよう貸し手側への指導等に十分に配慮されたい。

       Ⅱ.意欲ある企業が活発な企業活動を展開するために
 今後、わが国が持続的な成長を遂げるには、既存の中小企業がIT化など時代の要請に感応し、蓄積された経営ノウハウ等を活かし新たなビジネスモデルの構築に挑戦するなど、自ら経営革新を図ることが不可欠である。
 そうした意欲的な取り組みを促進するには、金融・税制・IT化対応など各種支援制度の整備・拡充が必要であり、具体的には以下のような施策を講じら
れたい。
1.IT革命を企業経営に活かすための支援
(1)パソコン等情報機器の導入に関する支援
 政府系金融機関による情報化融資制度については、中小企業支援センターが選定した企業に対し専門家を派遣し診断・助言を行ない推薦状を交付した場合や事業可能性評価委員会において評価書を交付した場合に優遇金利が適用されている。
 この際、金融機関と中小企業支援センターとの緊密な連携体制の整備ととも
に専門家の育成にさらに傾注するなど、中小企業のIT化が迅速かつ円滑に行
なわれるよう配慮されたい。
(2)IT化に関する相談体制の整備
 企業経営者の身近な相談相手となり得る「ITヘルパー」等人材育成に努め、商工会議所にITヘルプデスクを設置出来るよう相談体制の整備に取り組まれたい。
(3)電子商取引への円滑な対応
 企業間の電子商取引が定着しつつある中、中小企業においても早期の対応が迫られていることから、業界や地域内で活用しやすい決済システムや物流システムの改善に係るソフト開発等への公的支援を拡充されたい。
(4)コンテンツ・ビジネスの育成
 著作権等の登録・移転等に係る相談体制を整備されるとともに、登録に係る負担軽減のための助成制度や制度融資の創設を検討されたい。
(5)オンラインマーク制度への支援
 適格な通信販売事業者を認証するオンライン・マーク制度事業の趣旨を消費者・事業者双方に十分に周知するなど、制度の円滑な普及に係る支援策を講じられたい。
(6)商工会議所のIT化への支援
 各地の商工会議所において、事業者や創業予定者等に対する経営をはじめとする各種相談や事業者同士の交流、商取引をインターネット上で展開するための取り組みが始められている。
 IT化が急速に進む中、今後、ますますこうした取り組みの必要性が増すものと思われることから、これに係る設備投資等への支援を一層拡充されたい。
2.中小企業の金融円滑化への支援
(1)中小企業信用リスク情報データベース(CRD)の活用
 本年4月より運用が開始されたCRD(Credit・Risk・Database)を活用し中小企業の信用リスクを定量的に評価出来る体制を整えることにより、融資実行に際し、物的担保や保証人に偏重することなく借り手の総合的な経営力や事業の将来性、代表者個人の能力等を判断基準として重視されたい。
(2)売掛債権の流動化
 中小企業が保有している売掛債権に対する公的保証制度の付与や保険制度を創設するなどの信用補完措置を講じ、債権流動化を促進されたい。
(3)特定社債(私募債)保証制度の適債基準の緩和
 特定社債(私募債)保証制度の発行基準(純資産額5億円以上、自己資本比率15%以上等)を緩和するなど、一層の普及・定着に努められたい。
(4)新たな融資手法の開発・普及の促進
 コミットメントライン(融資枠)契約における適用企業の範囲を拡大し、中小企業が利用可能となるよう検討されたい。
(5)小企業等経営改善資金(マル経融資)等の拡充
 小企業等経営改善資金は、融資限度額を1,000万円まで引き上げるとともに、新規開業者経営改善貸付については恒久化されたい。
 また、融資対象となる小企業の従業員規模については、とりわけ情報関連等サービス業の人数要件の緩和を検討されたい。
 さらに融資要件となっている経営指導員による原則6カ月以上の経営指導期間を短縮化し、事前指導から事後指導重視の方針に変更されたい。
(6)金融庁による中小企業専門金融機関に対する検査のあり方
 信用金庫・信用組合等中小企業専門金融機関の検査に際しての債権の分類方法や債務者区分の検証にあたっては、査定基準を機械的・画一的に当てはめるのではなく、借り手中小企業の総合的な経営力や事業の将来性、代表者個人の能力、地域経済への貢献度等を含めて判断するよう十分配慮されたい。
(7)既往貸付に関する金利減免措置の継続
 平成13年10月18日で期限切れとなる金利5%を超える政府系中小企業金融機関からの既往貸付に対する金利減免措置については、取扱期間をさらに1年延長するとともに、昨今の金融市場での超低金利という状況を勘案し、減免措置の基準金利(5%)の引き下げも検討されたい。
(8)保証制度の弾力的な取扱い
 本年3月末に終了した中小企業金融安定化特別保証制度利用者の返済条件の変更については、返済期間の延長を含め柔軟に対応されたい。
 また、保証料については、対象企業の業績等によりスライド制を設けることを検討されるとともに、保証決定までの審査期間の短縮化を図るため、信用保証協会の審査陣容の強化および保証力増強と経営基盤強化に配慮されたい。
3.中小企業関連税制の拡充
(1)法人事業税への外形標準課税導入に反対
 外形標準課税は、政府税制調査会において全国一律課税の意見がみられるが、雇用や投資の抑制要因となったり、価格競争力の減退につながりかねないなど、中小企業の活力減退や創業意欲を削ぐことが懸念される。
 加えて、既存の応益課税との二重負担(法人住民税の均等割や固定資産税と
の兼ね合い)であることは明らかであり、導入には断固反対である。
(2)事業承継の円滑化
 中小企業の円滑な事業承継を実現するため、①相続人となる後継者や配偶者の事業への貢献度を評価し、事業承継を前提に基礎控除等非課税枠を大幅に拡大する、②事業継続を前提に相続税の納税猶予を認める、③相続する自社株を額面評価により認める等、新たに事業承継に係る税制措置を検討されたい。
(3)相続税・贈与税の見直し
 現行の相続税・贈与税については、最高税率を50%まで引き下げるとともに、税率の累進構造を緩和すべきである。
 また、贈与税の非課税枠を300万円まで拡大されたい。
(4)中小企業の法人税制等の改正
 中小企業にとって社内留保は経営体質の強化や安定化にとり不可欠なものであり、中小企業の同族会社の留保金課税制度は、早期に撤廃されたい。
 また、中小企業軽減税率の適用所得金額(800万円以下)については、昭和56年以降据え置かれたままとなっており、中小企業の活性化あるいは経営基盤強化の視点からも、引き上げを図られたい。
(5)中小企業投資促進税制等の特別措置の延長
 中小企業投資促進税制、中小企業新技術体化投資促進税制(メカトロ税制)、中小企業技術基盤強化税制など、中小企業の試験研究に係る環境整備に資する特別措置の適用期間が平成14年度末となっているので、その重要性に鑑み、延長を図られたい。
4.既存企業の経営革新への支援
(1)中小製造業の技術開発に関する支援
 ①中小企業技術革新制度(SBIR)の拡充
  中小企業技術革新制度(SBIR)は、予算を拡充するとともに、利用する企業の年度計 画に配慮し、その募集・審査時期の設定や決定後の速やかな補助金の交付等について 配慮されたい。
  また、研究開発成果の事業化を支援するため商工組合中央金庫に創設された融資制 度については、機動的な貸出に努められたい。
 ②公設試験研究機関の機能強化
  公設試験研究機関は、試験研究機能を一層高めるとともに人材育成事業の拡充を図 られたい。
 ③休眠特許活用の推進
  休眠特許の流通を促進するため、地域中小企業支援センターと協力して特許流通アド バイザーによる相談機能を強化されたい。
(2)商店街の活性化に関する支援
 ①ソフト・ハード両面にわたる支援策の拡充
  商店街自らが行なう後継者育成対策や空店舗活用対策等に対しては、専門家の派遣 など支援策の一層の充実に努められたい。
  また、街路整備等、商店街のユニバーサルデザイン化に取り組む事例につ
 いては、省庁間の連携の下、長期低利の高度化融資制度等を活用するなどの支援策 を積極的に講じられたい。
 ②地域コミュニティの中核的存在に
  商店街を地域コミュニティの中核的存在として再確認し、高齢者にやさしい街づくり、リ サイクルの推進、地域固有の歴史・文化の保存・理解促進等の推進、観光等来街者へ の対応などの拠点となるよう、政策的意図を持って振興策に取り組まれたい。
5.都市再生と総合的なまちづくりへの支援
(1)産業振興に資する都市再生策の推進
 政府の都市再生本部は、大都市圏での大型プロジェクトを推進する意向を示しており、都市機能の向上や低未利用地の活用等につながることが期待される。
 特に、東京首都心(センター・コア)改造、臨海地域の再生策、東京国際(羽田)空港の国際化や交通混雑の緩和、エコタウン設置等の推進にあたっては、産業振興、まちづくり、タウンセールスの観点からもきわめて重要であり、国家プロジェクトとして取り組まれたい。
(2)中心市街地活性化策の推進
 中心市街地活性化策については、商店街活性化策に留まることなく、まちづくり推進の観点から、在住・在勤者も含めた市民参加の検討、交通基盤整備の推進や再開発計画等との整合性確保、容積率や税制のインセンティブの付与による土地の有効活用、駐車場の固定資産税の軽減を実施した地方自治体に対する助成措置など、総合的な支援策を講じられたい。
(3)公共施設の移転への対応
 中心市街地からの公共施設のやむを得ない移転に際しては、その構想段階から地域住民・企業に対する必要かつ十分な情報提供に努められるほか、施設跡地の有効活用についても企業等関係者からの意見聴取に努め、地域経済の発展に資するよう配慮されたい。
(4)TMOに対する支援策の拡充
 TMO(タウン・マネージメント機関)に対する支援については継続的に行なうとともに、地域においてまちづくりを担う人材の育成、タウン・マネージャー養成など関連事業の一層の拡充を図られたい。
(5)大規模小売店舗立地法の適正な運用
 大規模小売店舗立地法が昨年6月より施行されたが、同法の具体的な運用・手続きについては、出店者、住民、地域商業者など関係各方面に周知徹底し、出店等に係る混乱が生じないよう努められたい。
 また、経済産業省および各経済局に設置された相談窓口においては、地方自治体等に適切なアドバイスを行なうなど、従来にも増して行政間の緊密な連絡調整を図られたい。
6.年金制度改革への対応
(1)確定拠出年金制度の円滑な普及
 本年10月に施行される予定の確定拠出年金制度(日本版401kプラン)は、従来の企業年金制度に人数要件等から加入できなかった中小企業やベンチャー企業による導入が可能となり、また労働移動に対応したポータビリティを確保出来ることから、中小企業の福利厚生制度の拡充に資するものである。
 この際、本制度は、加入者に対し金融商品の選択や資金運用について自己責任を求めるものであるので、制度創設を予定する企業や加入予定者については、啓発・情報提供など普及に向け万全の体制を敷かれたい。
(2)確定給付企業年金法への対応
 既存の企業年金制度の再編を目的とする確定給付企業年金法の成立により、現存する税制適格退職年金は、今後10年以内に基金型と規約型のいずれかに移行しなければ税制適格要件を喪失することとなった。
 本制度は、中小企業にとって従業員福祉増進の観点からこれまで極めて重要な役割を担ってきたので、移行に際しては事務手続きや情報開示について過度の負担とならぬよう十分配慮されたい。

     Ⅲ.21世紀に相応しい中小企業像、企業システムの確立のために
 経済のグローバル化、市場経済化の進展により、企業はその規模に拘わらず国際的な視点での法規・制度・基準への対応が求められている。
 わが国経済の成長を支えてきた企業間の経済慣行は最低限保持しつつも、先駆的に国際化対応に取り組む中小企業をサポートするためには、税制優遇措置ほか諸制度におけるインセンティブの充実が必要である。
1.会計制度改革への対応と情報開示の推進
 中小企業向け直接金融市場が徐々に拡大するのに伴い、投資家に対する経営情報の提供やディスクロージャーが不可欠となっている。
 この際、中小企業が円滑に会計制度改革に対応出来るよう、地域中小企業支援センターが中小企業を対象に公認会計士等によるセミナーなどを開催する際には、その関連経費の一定額を公的助成するなどの配慮をされたい。
2.ISO等国際標準・規格への積極的対応
 中小企業においては、人材・資金等に限りがあることから、認証取得に係る助成枠の拡大、取得後の定期審査や更新審査における負担軽減のための助成とともに、認証取得企業への優遇措置として、公的制度利用に係る各種申請に際しての提出書類の免除等、インセンティブの付与を図られたい。
 また、ISOの新たな認証創設に関する動向について、中小企業に対する情報提供活動等を強化されたい。
3.資源循環型社会構築への貢献
(1)PRTRの周知徹底
 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)が本格施行され、中小企業も化学物質の排出量・移動状況を都道府県に届け出るよう法制上義務づけられた。同法については、引き続き普及・啓発が必要な段階と思われるので、一層のPR等に努められたい。
(2)PCB対策への配慮
 事業者、とりわけ中小企業にとっては、PCB(ポリ塩化ビフェニル)の処理、保管にかかる経済的負担が大きいことから、コスト負担軽減のための支援策を講じられたい。
(3)容器包装リサイクル法への対応
 容器包装リサイクル法の施行に伴い、本来負担すべきリサイクル費用を回避している「フリーライダー」企業の存在が明らかとなっている。
 このことは社会的コスト負担の公平化に反するので、所管官公庁や自治体による監視機能を強化し法の趣旨の徹底に努め、企業が資源循環型社会づくりの一翼を担えるよう配慮されたい。
4.中小企業の国際化支援策の拡充
 中小企業の海外での生産拠点整備を円滑化するため、進出国の投資手続き等の情報提供を行なう現行の国際化支援アドバイザー制度を質量ともに拡充し、地域中小企業支援センターに中小企業者のための海外投資に関する身近かな相談窓口が開設出来るよう配慮されたい。

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所