「裁判員の辞退事由」に関する意見について
東京商工会議所
提言
東京商工会議所(山口信夫会頭)は、このほど標記意見を取りまとめ、日本商工会議所と連名で法務省へ提出した。
本件は、平成21年5月までに施行される裁判員制度の実施にあたり、法務省が募集した「裁判員の辞退事由」に関するパブリックコメントに対応して、意見の取りまとめを行ったもの。本年12月に東商が実施した会員中小企業対象のアンケート調査の結果を踏まえて、意見を作成した。 制度開始後は多くの中小企業従事者が裁判員に選ばれることが予想され、人的または経済的な負担により、中小企業の事業活動に大きな支障をきたすことが懸念される。東商は、これまでも、裁判員の「辞退事由」については慎重な検討がなされるべきと訴えてきた。 今回のアンケートでは、経営者本人、または従業員が裁判員に選ばれた場合の負担について、「負担が大きく、事業活動に支障が出る」と感じている企業は全体の51.4%と半数を超え、この傾向は従業員数が少ない企業ほど顕著であったことから、「裁判員の辞退事由」に関する検討においては、中小企業経営の特性を十分に把握するとともに、用務の重要性ではなく、人員の補完や補充に融通性のない中小企業の実体から判断するよう求めている。
意見の主なポイントは以下のとおり。
1.中小企業の従事者から当該事業の運営に著しい支障が生じるおそれがあるとの辞退の申立てがあった場合には、裁判員法第16条ハ(※)の弾力的な対応がなされるべき。
※ その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあること。
2.特に、従業員数50人以下の企業の役員および従業員については、事業主によるその旨の疎明を条件として、原則として辞退を認めることを政令に明記すべき。
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東京商工会議所
産業政策部 産業経済担当
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